能登半島地震を引き起こした、約150キロにも及ぶ海底活断層の姿が徐々に見えてきた。海底の探査で、ノーマークだった「未知」の断層が動いたのではなく、国も把握していた「既知」の存在だったことが明らかになってきたのだ。なぜ防災に生かせなかったのか。 海底の探査で新たな段差発見 「既に知られている海底活断層の深部が動いたことでこの地震が起きたと考えられる」。地震から約2カ月がたった3月11日。政府の地震調査委員会の定例記者会見で、委員長の平田直・東京大名誉教授は海底活断層との関係に言及した。地震直後は情報が少なく「関係があるともないとも言えない」と曖昧に答えざるを得なかったが、この間の調査で、さまざまな証拠が集まってきた。 まず海上保安庁は1月以降に船で海底を音波探査し、能登半島北側の海岸沿いを走る複数の活断層付近で海底の隆起を確認した。北東沖の「珠洲沖セグメント」では3メートル、北西沖の「猿山沖