まだ令和が始まる前、2019年の1月中旬のことだ。東京ドームのグッズショップには「ありがとう長野久義」コーナーができていた。 巨人にFA入団する丸佳浩の人的補償での広島移籍が決まった数日後、店のど真ん中の棚を全部使って展開という異例のチョーさん送別祭。苦楽を共にしたG党も、彼が華麗に飲み歩いた東京の夜の街も泣いていた。退団選手や背番号変更の選手は、通常別コーナーでまとめてセール販売されるケースが多いが、長野の場合は値引き等も一切されていない。それでも、タオルやTシャツといった定番モノから、ティッシュケースまで片っ端から背番号7グッズをカゴいっぱいにいれるファンの姿も目立った。 09年のドラフト1位で入団以来、新人王や首位打者に輝き、在籍9シーズンで計1271安打、137本塁打を放った功労者との突然の別れ。当時、ファンは原監督の3度目の復帰や丸佳浩獲得の喜びが霞むほどの衝撃を受けたが、長野本