同じ過ちを犯していることに気がつけない N-Gageプロジェクトがキャンセルされた2009年春、バンクーバーのサイトだけでも半数に及ぶ数百人もの大規模なレイオフが実施された。当時の世界経済の流れから見ると違和感はなかったし、これが外資のやり方なのかとただ物珍しく傍観していた。唯一の誤算は、私を採用したボスまで影響を受けてしまったため、一年後にヘルシンキに移してもらうという約束がさっぱり消えてしまったことだ。 しかし消えてしまったのは私の移住計画だけではない。 タイトルを供給して頂いていたサードパーティーとの契約もプロジェクトの失敗から学んだ教訓も引き継ぎは一切なし、アーカイブもなし、担当者と共にきれいさっぱり消えてしまったのだ。残ったのは基幹システムで管理されていた膨大なバグ報告だけだろう。さすがに私もこれにはたまげた。 尻拭いは個々の担当者に委ねられており、散々リスクを引き受けて頂いた取