本稿は、「債権管理と担保管理を巡る法律問題研究会」(メンバー〈五十音順、敬称略〉:井上聡、内田貴、沖野眞已、神作裕之、神田秀樹、倉澤資成、小塚荘一郎、瀬下博之、早川吉尚、樋口範雄、前田庸〈座長〉、松下淳一、森田修、森田宏樹、事務局:日本銀行金融研究所)の報告書である。 担保法制の目的のひとつは、担保付与信を行う者に対してその経済的なニーズに応じた法的保護を与えることによって、担保付与信を望む債権者・債務者の両当事者にそのニーズに応じた与信取引を可能とすることにある。そのような意味で、担保法制のあり方は、産業金融法制のあり方を探るうえで重要な地位を占める。 本報告書では、まず、担保の機能について分析・検討した。担保は、優先弁済確保機能のみならず、従来、あまり中心的に論じられることがなかった倒産隔離機能や管理機能を有していることを指摘したうえで、それらについて、優先弁済確保機能と独立した形で正