タグ

ブックマーク / ensaigaisai.seesaa.net (44)

  • 桜を見る会の問題と政局

    桜を見る会が炎上しており、来年度は中止に追い込まれています。ワタクシなりの結論は、法律に違反したかどうかはグレーに近い白だけれど、実質的にはそれよりも悪質、ということです。もちろん主語は安倍首相です。色々な意見があります。この程度のこと、とか前からやってきたのに今更問題にするのはおかしいとか、いろいろ野党の対応も批判されていますが、ワタクシの意見としては、やはりおかしいものはおかしい。金額の多寡とか問題になった時期とか、たしかに「ためにする議論」みたいな部分がないとは言いませんが、やはり根っこのところに公職選挙法とか政治資金規正法とか大臣辞任に追い込まれた例もあるような事例に近いとも思えるので、さてどこまでが問題がなくてどこからが問題なのか、そこをはっきりしておく必要はあるのではないでしょうか。特に首相ですからね。 論点は大きく分けて二つ。招待者の選び方や、その選ばれた人々に対して供与する

  • 悲惨な戦い

    最近の為替、特にドル円を見ていると、どうしてもそういう印象を受けてしまいます。よく、経済のファンダメンタルズだけ見ているとどうして円高になるのかわからん、と質問を受けるのですが、かなり長期ではファンダメンタルズ(成長率とか)が効いてくるとしても数年程度の短期では需給(通貨供給量その他)や金利差はフローに大きな影響を与えますから、長い目で見た弱い国の通貨が上がることもあります。その上、名目金利ではそれほど差がない国同士でも、デフレ国のほうが実質金利は高いわけで、そうなると、実質金利差によって、景気の悪いデフレ国のほうの通貨が買われることもある意味当然ともいえます。 実質金利差というのがわかりにくければ次のような具体例で考えて見ましょう。 A国の通貨:物価上昇率年率2% B国の通貨:物価上昇率年率マイナス2% 両国とも名目金利はゼロ。 お金が自由に動けるとして、私がA国の通貨でお金を預けたら金

  • 巨額銀行増資について

    三菱UFJが1兆円規模の増資をすると日経新聞が報じていた。これまでも世界中で資調達は活発であり、なんだか慣れっこになってしまった感があるが、やはりこれは重い。 債券投資家としては、銀行増資は悪い話ではない。銀行システム安定の材料だし、個別銀行の債務履行のバッファーが大きくなるわけだから、原則的には安全性が増す(原則的には、と書いたのは、やはりその時の状況によるとしか言いようがないからであるが)。とりわけ、これまでバランスシートの右側のかなり下のほうにあった優先出資証券や劣後債券の投資家にとっては、さらにリスクの引き受け手が下に入ってくれる形となるので、安心感は増すはずだ。しかしながら、株も運用する年金や一般機関投資家としての立場からはやはり迷惑千万としか言いようがないと思う。とりわけ、最近のような普通株増資については直接的なダイリューションと需給の悪化が同時に来るわけであるから、個別株に

  • いったい銀行はどうすればいいのでしょうか(本日の日経「大機小機」)

    全体の論旨は「銀行には決済という公的役割が託されている」から「大きく価格変動する証券の保有が規制されるのは理にかなう」というものだ。そこで株を保有することについての疑問がまず述べられている。会計基準を非難するのが筋違いかどうかは、銀行だけの問題ではないからともかく、銀行が株を持ち続けるリスク、それはまあわかる。しかし勢いで、「国債保有に制限を」といいはじめるあたりからわけがわからなくなった。 そもそも、銀行が国債を買うという状況は、大機小機でも書いてあるとおり融資ニーズの不足が大きな原因であり、その前提は景気の不振である。その状況で、景気対策で国債が増発されているのはほとんどの先進国で見られる現象だ。不況のなかで不良債権を増やせない銀行の安全運用ニーズと国債増発ニーズがうまくマッチしていまの低金利環境(日だけではない)が維持されているとはいえないか? 個人向け国債も出してはいるが、今すぐ

    いったい銀行はどうすればいいのでしょうか(本日の日経「大機小機」)
  • 新疆ウィグル自治区騒乱

    新聞等で見る限り、事の発端はネットで南部のあるところで中国人女性がウイグル人男性から暴行されたといううわさが流されたことらしい。これがさらに拡大し、ほかにも性的嫌がらせを受けたというような話が広がり、おもちゃ工場で漢人がウィグル人労働者を襲うという騒ぎに発展したようだ。それが逆にネットでウィグル人コミュニティーに広がり、新疆ウィグル自治区での暴動につながったということのようである。 限られた情報で色々判断するのは危険だというのは承知の上であえてコメントするなら、情報操作で暴動ぐらい簡単に起こせそうだと思った。最初の暴行はあくまでうわさであり確認されていないとWSJにも書いてある。民族同士の不満という枯れ草の上に放り投げられたうわさというマッチの火は一気に燃え上がった感じだ。 もうひとつ気になったのが、テレビで報道される映像を見る限り、ウィグル自治区での暴動というかこのところの抗議活動で女性

  • 某フラッグキャリアのこと

    政府系金融機関から政府保証つきの緊急融資という事態にあいなりました。政府保証までして政府系金融が資金を出すということは、普通に資金調達が出来ないということです。今回の「緊急性」はワタクシの目にはGMに匹敵する状況と映ります。 日経の社説にもありましたが、一民間企業に政府が支援して金を出すという場合、まずその企業が国民生活上きわめて重要な役割を背負っていること、次に国民の税金をリスクにさらす以上、来その企業がその支援の必要性が一時的であり最終的には損失をかぶらなくてもすむ蓋然性が高いこと、について説明責任を負うはず。最初の点については、たしかに地方交通や競争政策の観点から重要であることは疑いありません。しかし後者については、過去6年間のうち半分がネットの赤字で累積でも巨額の債務をかかえている企業ですし、高コスト体質の是正も図られず、環境問題や原油価格など外部環境に対してきわめて脆弱な体質を

  • 州レベルで顕在化してきた危機

    カリフォルニア州がかなり厳しい状況に追い込まれていることはすでに知られているところでしたが、日のワシントンポストにはこのような記事が。 http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2009/06/15/AR2009061503249.html?wprss=rss_print カリフォルニア州独自の事情として、この記事があげているのは固定資産税の少なさとキャピタルゲイン税への依存度の高さ。とりわけ、キャピタルゲインについてはカリフォルニアで課税対象額が2年で420億ドルも不足を生じてしまったとのこと。 こうした場合、自治体がとれる手段としてまず、増税があります。しかしこれは住民によってあっさり否決。次に州は連邦財務省に泣きつきます。しかし、これもガイトナー長官などからあっさり足蹴にされました。まだ努力が足りない、ということです。

  • 気になる金利

    画像は米国の30年国債と30年モーゲージ債券との金利差を示したもの(下段)です。どう見ても最近の急激な縮小振りは不自然ですね。国債買い入れプログラムの金額が話題になっていますが、MBSの買い入れのほうは金額も大きくしっかりやっている。この差が出ているのでしょうか。 昨日はS&Pによる英国のアウトルック引き下げが心理的に波及して米国債への不信任につながり金利上昇となりました。既存の流通可能な米国債だけで6.36兆ドル、ゴールドマンさんの推計では今会計年度の国債発行3.25兆ドル、財政赤字も当初の見通しより5%も公式に増えてしまった今、なんとなく米国債市場の行く末にはまた重いムードが漂っています。ファンディング危機への心理を反映して(たまに現在の状況を景気回復への期待感だという人が居ますがそれは違うと思います)2年ー10年の長短金利差は過去最大レベルになっています。日と比較してもらうとアメリ

    気になる金利
  • ムーディーズ、日本を格上げ

    ムーディーズ(格付け会社)は日政府の自国通貨建て債務(一般には日国債)をAa3から1ノッチあげてAa2にした。一方で外貨建て債務格付けはAaaから2ノッチ引き下げてAa2にしたが、もともと一部の政府機関の政府保証債ぐらいしか外貨建て債務はないので、実質的には格上げのインパクトのほうが大きい。 これを見た関係者の疑問はおそらく次の2点に集約されると思われる。 1. なぜ今後政府債務のGDP比がますます拡大してしまう日を格上げするのか 2. なぜこの格付けアクションをやる前に米国債などの格下げをしないのか 1、についてはIMFの想定でも2008年にGDP対比約2倍と見られる政府債務は2010年には2.2倍以上に拡大すると見られており、むしろバランスシートの悪化が予定されているから、その面からは来格上げではなく格下げではないか。実際事前にプレス発表の予定がアナウンスされたときは関係者は「

    mfluder
    mfluder 2009/05/18
    わっはっはー
  • 死人がでました

    http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=20601087&sid=a8JzwTx_x8LY&refer=home フレディマックのCFO(最高財務責任者)代理です。自殺だそうです。 金融危機と関係がないわけがない。ご冥福をお祈りします。 そして、この件が会計や政治的な妙な問題と結び付かないことを切に祈ります。

  • NHKの番組の雑感

    今回の金融危機を解きほぐしていこうという試みは賞賛されるべきですが、視聴者のレベルを意識しすぎるあまり、説明を過度に省略したり、感情的な部分をやたら強調しすぎているように感じました。なんだかはじめから結論ありき、みたいな作りで。まだシリーズは続くようなので、今後に期待です。 特に気になったのは、やはり金融というものの社会に対する意見の相違があるにもかかわらず、かなり一方的な立場から描かれていたのではないかということです。ワタクシ自身は実は番組(およびその中で紹介されていたカウフマン氏)と同じく「金融脇役論」に近い考えですが、これは必ずしも多数派ではないかもしれません。金融イノベーションによってこれまで資金が回らなかったところにまで資金が回って幸せになった人もいたでしょう。とりわけモーゲージ債(MBS)については、社会的に大きな役割を果たしたのだと思いますし現実に今でも大いに役立っているでし

  • 英国債入札札割れの恐怖そして管理通貨制度崩壊の足音 厭債害債(或は余は如何にして投機を愛したか)

    先週行われた英国の40年国債入札で札割れ(応札が予定発行額に満たない)がおきました。現状の金利が低すぎる、つまり将来の国家のファイナンスリスクに対して十分なリスクプレミアムが乗っていない、という市場の評価がそのまま反映されたと見るべきでしょう。国債価格は一瞬急落しましたがなぜかすぐに戻りました。とはいえ、この事実は軽く見るべきではないでしょう。 3月末が近いということや、たまたま同じ日に発表されたインフレの数字が大きかったことが一つの要因であったともいえますが、経常赤字国にとってそのファイナンスの肝ともいうべき国債オークションが札割れになる事態が恒常化すれば、国家のソルベンシーに大きな暗雲が垂れ込めることになります。結果的に長期の市場金利が上がっていくなら、景気回復はますます遠のくことになります。 これを防ぐには、未来永劫にわたってその国が「信用に足りる国」であり、今要求しているリスクプレ

  • AIG救済 厭債害債(或は余は如何にして投機を愛したか)

    バーナンキFED議長ではないですが、確かにこの金融危機のエピソードの中でももっとも腹立たしい出来事の一つでしょう。ワタクシにとっては仕事上もさまざまな理由はあるのですが、それはおいておいても、きわめて中途半端な形で米国政府がお金を出し続けさせられ、あのかつて山の上にAAAの旗を立てるコマーシャルを日テレビで流し続けて同業他社を馬鹿にし続けたALICOがそれを撤回することも無いまま、のうのうと「国営」化してビジネスを継続するというのですから。まさに「ゾンビ」。 昨日ブルンバーグを見ていたら、さらに腹立たしい話が。それは30年以上もトップとして君臨して不正会計疑惑で辞めさせられたグリーンバーグ氏がAIGに対して訴訟を起こしているらしい。しかもその理由が振るっていて、自分が退職金としてもらった株の価値が大きく値下がりしたため損をしたのは、もともと退職金としてもらう株の評価を高くしすぎたからで

    mfluder
    mfluder 2009/03/06
    カルマが深い
  • 英国の状況が示唆するシナリオ

    英国のRBS(ロイヤルバンク・オブ・スコットランド)が極めて厳しい決算内容で、株価が一日で66%も下落し11ペンス台という殆ど無価値に近い状況になっています。3兆円を越える損失など貧乏人のワタクシには想像もつかない。もっとも株価の下落は、同時に政府保有優先株が普通株に転換されるという決定によって普通株の大規模な希薄化が生じたことも一因ですが、どっちにしても根っこは同じです。(但しRBSにとっては優先株配当に資金を回す必要がなくなり、資金やコスト負担は若干減るから来はプラスのはず)。英国では週明けに早速新たな金融システム安定策を打ち出しました。(以下某銀行さんからいただいた情報より。) ・ 政府保証資金調達のissuance windowが当初の年4月9日までから2009年末までとなる(但しEUの認可が条件)。保証対象の3分の1は2014年4月までロールオーバーでき、残りの3分の2は20

  • 信用市場の一物三価

    最近、信用リスクのスプレッドについて一物三価という言われ方をすることがあるそうだ。たとえば、ある企業に対する信用リスクの指標としては、その企業がどのぐらいの借り入れ金利で資金調達が出来るか、が指標となるが、この借り入れ金利についてまずいわゆる「融資」と「社債発行」でそれぞれ金利が違うのが現状である。不思議なことに、一般的に流動性があり保有者にとってのリスクも手間も少ないと考えられる社債のほうが高い金利がつくことが多い。 近時はこれに加えて更にCDS(クレディット・デフォルト・スワップ)が登場した。このブログでも何度か取り上げているが、CDSというのはある企業の信用リスクをプレミアムの受払いという形で取引する、一種の保険取引であり、当該企業と全く関係のないところでも二人の当事者間で契約することが出来る。 一般的にCDSは文字通りスワップであり、形式的には基準金利(LIBOR)とその企業のリス

    mfluder
    mfluder 2009/01/09
    融資、社債、CDS
  • 暗黙のコール保証?は成り立たない。

    昨日ブルンバーグを見ていたら、ドイツ銀行がある劣後債(10年満期、5年コール)のコール期日にコールオプション(発行企業が期限前に償還させるオプション)を行使しないことを決めたという記事が出ていた。つまり2009年1月に予定されていたコール期日に弁済を行わないで、2014年まで期限が延びることを意味する。こうした劣後債は、優先(シニア)債権者より劣後して弁済を受けられるということで資性を持ち、BIS上もローアーティア2に入るため、多くの銀行が発行しており、日の金融機関だって国内で大量に発行している。 こうした期限付き劣後債の場合、あまり長いと投資家が存在しないため、短くするためにコールオプションをつけ、さらにコールを事実上強制するためにコールしなかった場合その後の利率が大きく上昇する仕組みになっていることが多い。今回のドイツ銀行の場合、L+88bpへ上昇する。ところが、最近の状況にかんが

    mfluder
    mfluder 2008/12/20
    "少なくとも日本の劣後の発行市場においては「暗黙のコール保証」が価格に織り込まれているのではないかと言うことだ"
  • CDS取引のモラルリスク

    CDSの取引は主に金融のプロ同士が行ううえ、それを取り締まる法律も特になく、相対取引の枠組みの中で取引は大きく伸びた。最近米国の決済機関DTCの親会社であるDTCCが公表した今年10月末のCDSの想定元総額は、個別主体に対するものとインデックスを対象とするものを合わせると、33.6兆ドル(約3300兆円)にのぼる。これ以外にも米国で金融保険を業務とする会社などが相対でやっていて報告されていないものもかなりあるようだ。もっともDTCの数字のうち9割程度は業者間取引が両建てでカウントされているため、実質的なリスクはその1割程度という見方も出来る。それでも市場では少なくとも数百兆円を超える企業倒産リスクポジションを誰かがとっているということである。 CDSのカウンターパーティーリスク(及びそれに伴う決済リスク)はそれ自体大きな問題であるが、そもそも、このような取引は契約自由の名の下に自由に当事

  • DTCCによるCDSのデータ開示

    DTCC(The Depository Trust and Clearing Corporation=米国の証券決済機関DTCの親会社)が10月31日の週末現在からCDSの取引及び残高データを開示しており、昨日公表されたようだ。 http://www.dtcc.com/products/derivserv/data/index.php?lpos=home_splash_promo&lid=index.php的に相対取引であり実態がよくわからないためただですら疑心暗鬼になりがちなところに加え、巷間でノーショナルと実体リスクを混同しがちな議論がまかり通ったりするので、こういう試みは市場の余分なノイズを減らすという意味で大いに歓迎されるところである。また、いずれはCDSそのもののクリアリングハウス(決済機関)もできるだろうから、カウンターパーティーリスクの軽減も図られる。「山よりでっかい獅

  • バブルと時価主義

    困る人が増えてきたみたいで会計ルールの一部見直し(解釈の柔軟化も含む)が議論され始めているようです。個人的にはこれまでからあまり厳格な時価会計はむしろ有害だろうという意見を持っていました。時価会計というのもバブルやレバレッジを前提とした経済といった時代の風景の一部ではないかと思います。つまり時価主義を極端に進めることはレバレッジを通じたバブルの生成と崩壊において重要な触媒の役目を果たしたと思います。いま崩壊局面で時価会計が取り上げられていますが、実は生成局面で果たした役割にも注目しないと片手落ちだろうと思うのです。 経済が膨らんでいく過程で株価が上昇する流れが出来ると、その株を市場で処分することなく、自分の成長に使うために「時価」を損益や資産評価に取り入れ、その仮の交換価値をほかの目的に使えれば、これほど楽なことはありませんね。じっさいLBOとか一部の株式交換によるM&Aなどはそのやり方で

  • ひとつのたとえ話

    今の状況について、一言で言えば「有価」証券が有価ではなくなったと見る人が増えて価値のよりどころを見出せなくなっているということでしょう。あらゆるペーパー資産が勝手に動き始めて連携が取れなくなっている。つまりまともなマーケットで見られる裁定がまったく成立していない。3月のベアスターンズショックのときにも見られましたが、今回の規模はその何倍も大きいです。株と同時に国債が売られる。国債の先物と現物の動きがまったく一致しない。何よりも象徴的なのは超長期の国債がスワップ金利より0.4-0.5%も上になっている。ご存知のとおりスワップは銀行間の与信金利と考えていただいていいのですが、金利水準だけ見る限り国債のほうが銀行より信用がないという水準です。もちろん当はその逆。マーケットがゆがんでいるのです。別に超長期国債が売られているのではなく、超長期の円固定金利の受け(まあ俗には「買い」と理解していただい