今の職場に来て間もなくだったと思う。何か他の話をしている際、同僚からぽつりと「僕たちは、ライ麦畑のキャッチャーだからねえ」と言われたことがあるのを覚えている。自分のしている仕事にいったいどういう意味があるのか。そういったことを考えなくてはならない折には、今でもその言葉の含蓄について考える。 ライ麦畑のキャッチャーと言えばもちろんサリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』である。見通しの悪いライ麦畑で遊ぶ子どもたちが、崖から落ちないようにじっと見守っている「キャッチャー」。しかしまたどうしてそんなものに自らをなぞらえるのか。 「日本政治思想史」という学問を専攻している。この「日本政治思想史」は政治学の一分野であるので、同僚には政治学者が多い。そしてわれわれの政治学科は法学部の中に属している。ということで同僚には法学者も多い。 なぜ、法学部の中に政治学が属しているのか。日本の大学では割合に多いパタ