小泉純一郎元首相が2度目の北朝鮮訪問を行ってから22日で20年となった。一方で、29日には拉致被害者らの再調査を北朝鮮が約束した2014年のストックホルム合意から10年を迎える。小泉政権時の日朝平壌宣言に基づく両国の歩み寄りは、問題解決への期待感を抱かせたが、16年に日本が独自制裁を強化すると合意は頓挫。その後も対話の扉は閉ざされたままだ。ストックホルム合意時の外務事務次官、斎木昭隆氏に当時の交渉の様子や今後の課題を聞いた。【聞き手・鈴木悟】 ――北朝鮮と日本の間で交わされた14年5月29日のストックホルム合意から10年です。当時、安倍内閣の外務事務次官として、どのような思いで交渉に当たっていましたか。 ◆水面下の交渉も含めて外務省を中心に一生懸命、北朝鮮側とさまざまなやり取りをしました。外務事務次官として「一刻も早く家族の所在を確認し、日本に連れ戻す努力を」という被害者ご家族の強い思いを