言葉で浮かぶモヤモヤは、言葉で晴らすのが一番だ。 昨日はそのことを改めて実感した。仕事帰り、初めて行く美容室で髪を切った。想像以上に居心地もよく、仕上がりにも満足した。しかし、家に向かって歩き出すと、鬱々とした気持ちが蘇ってきた。 会社での帰り際、とても理不尽な頼まれごとをされたのだ。それに対して私はまっとうな理由を述べ、断った。仕事ではない。送別会でのスピーチに関することだ。しかし断ったものの、すっきりしない。“断る”という行為にも、それなりのストレスがかかるのだ。 私はわだかまりを抱えたまま家に帰った。娘と触れ合うが、視界には薄暗いベールのようなものがかかり邪魔をする。気を抜けば、会社での出来事を思い出し、不愉快な気持ちになる。依頼主に対してもの申したい言い分が洪水のように押し寄せてくる。 気持ちの整理がつかないまま、家族みんなでお風呂に入った。暖かい湯船に浸かりながら、ふと見上げると