生まれてから高校卒業までを過ごしたこの街は県庁所在地というだけあって都会機能の一揃いがひとつまみずつ鎮座している それは物理的距離や交通の不便から他の同規模以上の都市に気軽に移動できない(できてしまわない)ことの裏返しかもしれない 人口は微増から微減へと転じたらしい 他市町村から吸い上げていてこれかとも思うが、東京という巨大なブラックホールを抱えたこの国では仕方のない自己相似なのだろう 学生時代は米より安いパスタを茹でるか、白飯おかわり無料の店へ行くか、絶食して寝るかの3択を繰り返していた 自炊は1人ぶんをつくるのが一番高くつくのを知った数年だった 逆に言えば数人分であれば外食よりも随分と自炊のほうが安くすむ 父の料理趣味もあって、よほど忙しくなければ外食をしないのが「うち」の不文律だ 不文律というには例外がある 日曜にもかかわらず年度末の怪物に忙殺されてしまった料理番が「昼は適当に食え」