用語の混乱:病原性大腸菌とは そもそも大腸菌は、健康なヒトの大腸の正常細菌叢を構成する細菌の一種である。しかし、ある種の大腸菌が乳幼児の下痢の原因になることは、1920年代から報告がある。1940年代半ばに、主としてイギリスの乳児院において大腸菌による集団下痢が相次いで報告され、下痢原因菌としての大腸菌の重要性が注目を集めるようになった。その頃、デンマークのKauffmannがサルモネラ属菌と大腸菌の血清型の研究成果を発表した。その結果、イギリスで乳幼児の下痢の原因になった大腸菌は、Kauffmannの提唱した血清型でO55とO111に属することが明らかになり、やがてこの一群の大腸菌にenteropathogenic E. coli(EPEC)という名称が付された。そして「病原性大腸菌」が和名となった。 病原性大腸菌の一部をenteroinvasive E. coli (EIEC) と
笈川 和男 2009年6月12日 金曜日 キーワード:食中毒 食肉の生食の習慣があるのは、世界でも東南アジアの一部、北極圏近くに住むエスキモー、それに日本人くらいです。日本人は、世界でも数少ない魚類を生で食べる習慣を代々受け継できた国民であり、1965年以降、生の獣肉(牛肉、馬肉、時には豚肉)を食べる食生活が難なく定着するようにまってきました。しかし、獣肉はカンピロバクター、腸管出血性大腸菌O157などの細菌、肝炎ウイルス、寄生虫などに汚染されていることがあり、生食は大変大きな危険を伴っていることを再認識する必要があります。今年に入って、「レバ刺し」による食中毒が相次ぎ発生しているのです。 次に、09年の「レバ刺し」による食中毒事件の速報を示します。詳細は不明ですが、「レバ刺し」以外の獣肉(鶏肉を除く)の生食(牛刺し、ユッケ)でも発生しているようです。 ・3月14日、山口県下関市、飲食店で
笈川 和男 2009年5月22日 金曜日 キーワード:食中毒 食中毒菌の中で、最も毒性が強いのはボツリヌス菌だと考えられています。しかし、毒性が強いのは、菌が産生する毒素であって、ボツリヌス菌自体は弱い細菌で、ほかの微生物がいると増殖が抑制されます。そして、空気を嫌う嫌気性細菌でもあります。したがって、最も怖い食中毒菌というわけではありません。最も怖いのは、やはり腸管出血性大腸菌で、その中で一番強いO157だといえるでしょう。今回は、今年4月に新潟県で発生した大規模な腸管出血性大腸菌O157中毒事件についてレビューするとともに、O157の食中毒対策についてまとめます。 O157食中毒は1人でも発生すれば新聞記事になるのに、新潟県のこの事件は患者数が31人と大規模なもの。しかし、不思議なことにほとんど報道されませんでした。そのため、詳細を調べるのに苦労しましたが、4月14日の新潟県の発表と1
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