筑波大学知的コミュニティ基盤研究センター 磯谷順一名誉教授、量子科学技術研究開発機構 小野田忍博士、住友電気工業の角谷均博士らは3月9日、ハーバード大学、ウルム大学、プリンストン大学、カリフォルニア大学バークレー校などのグループとの共同研究により、世界最高濃度の室温量子スピンを有するダイヤモンド結晶を作製し、これにより「時間結晶」の室温観測に成功したと発表した。 液体や気体は密度が一様な状態で一つの点から別の点に移動しても変わらないという「連続的並進対称性」というものを持つ。また、原子が規則的に並んでいる結晶では単位肪ごとに移動すると元の状態と区別がつかなくなるという「離散的並進対称性」というものを持つ。たとえば、水が氷になるのは連続的並進対称性を破り、離散的並進対称性へ相変化が生じているということになる。一方、時間も連続的並進対称性を持つと考えられるが、それを破り離散的並進対称性を持つ「
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ 物性研だより第 56 巻第 3 号 10 東京大学大学院工学系研究科 物理工学専攻 渡辺 悠樹 物性研究所 量子物質研究グループ 押川 正毅 1.はじめに 私たちの身の回りは対称性の自発的破れで満ち満ちていま す。例えば結晶は空間の並進対称性を自発的に破っている と言われます。もともと結晶がなければ、空間自体は完全 に滑らかで、どの点に注目しても全く等価です。そのため 結晶を構成する原子の一つ一つの運動法則は空間の位置に よりません。これが空間の連続的並進対称性です。ところ がひとたび結晶ができると、結晶内部の原子は周期的な配 列をなし、空間の「原子がある点」と「ない点」が明確に 区別されます。したがって空間の各点の等価性が壊れてお り、並進対称性が破れたことになります。結晶ができた後 も、結晶の単位胞は全て等価なので、結晶は基本並進ベク トルの整数倍の重ね合わ
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