NANDフラッシュメモリーを使ったSSD(Solid State Drive)の普及で大容量記憶装置の主役の座から追われつつあるHDD(Hard Disk Drive)の読み出しヘッドの技術が“新大陸”を発見した。医学や医療の分野である。これまで、主に電気、具体的には体表面の電位差を測っていた心電図や脳波計が、この読み出し磁気ヘッドの技術、具体的には「GMR†」や「TMR†」という技術を使う心磁図や脳磁計に置き換わり、心電図などよりはるかに詳細な生体情報を知ることができるようになる見通しが出てきた。これまで約10年間、開発が続けられてきたが、いよいよ実用化が見えてきたのである。2022年6月にはTDKが医療用途向けの「MRセンサー」(同社)を量産する計画だ。 †GMR(Giant MagnetoResistance)=巨大磁気抵抗(効果)。それぞれ約1nm厚の強磁性層と非強磁性層を交互に積