糸井重里さんが社長を務める「ほぼ日」は2020年秋、青山から神田に引っ越した。新オフィスの近くには「ほぼ日の學校」の収録スタジオを設け、動画配信事業に乗り出した。なぜ「学校」を始めたのか。なぜ神田なのか。糸井重里さんに聞いた――。(前編/全2回) 4時間の山道を歩かせる力が「学校」にはある ——ほぼ日が、なぜ「学校」を始めるのでしょうか? 【糸井】教育はいわば空気から何かを取り出すような、原材料のなさそうな産業ですが、それがつくってきたものが世の中のほとんどすべてだな、と思ったんです。 何かしようと考えようとすると、いろいろなものが学校にぶち当たるんです。たとえば僕らの友達で自国のネパールに学校をつくっている青年がいます。彼は小学生のときに特待生に選出され、国のお金で首都の質の高い教育を受けることができ、日本の大学に留学してソフトバンクに入社したのですが、自分がそうした機会を得られているの