北海道室蘭市崎守(さきもり)町の崎守埠頭(ふとう)で6月28日未明、闇の海に落ちた市内の主婦(57)が「警官」「釣り人」「愛犬」という三つの偶然の要素が重なり、奇跡的に助かった。 「海に人が浮いている」。同日午前1時54分、埠頭にいた釣り人から110番通報があった。室蘭署員が急行すると、岸壁から約30メートル沖に人影が。幸い海は凪(なぎ)。うめき声が聞こえた。 救命浮輪を投げても届く距離ではない。パトカーのライトでは光量が足りない。そんな時、釣り人が次々と車のライトで海面を照らし始めた。救命胴衣も差し出された。 海面までの高さは地上3階とほぼ同じ約7メートル。同署刑事1課の熊谷克弘警部補(43)と同署中島交番の白戸博警部補(41)が救命胴衣を借りて飛び込んだ。2人はかつて道警本部のレスキュー隊に所属。白戸警部補は水難救助の専門訓練の経験者だった。 通報から49分、救助された女性の腕