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ブックマーク / huyukiitoichi.hatenadiary.jp (8)

  • 活版印刷以来の最大の革命を引き起こした、現代のインターネットともいえる「電信」の誕生──『ヴィクトリア朝時代のインターネット』 - 基本読書

    ヴィクトリア朝時代のインターネット (ハヤカワ文庫NF) 作者:トム スタンデージ早川書房Amazon約200年前の19世紀。科学は未発達で、現在は一般的なものが存在しない時代だ。抗生物質はみつかっていないし(抗生物質は20世紀)、ライト兄弟が飛行を成功させたのも1903年のこと。しかしヴィクトリア朝時代には「インターネット」はあったのだ──というのが、書『ヴィクトリア朝時代のインターネット』の主張である。 いくらなんでもヴィクトリア朝時代(一般的に、ヴィクトリア朝は、ヴィクトリア女王がイギリスを統治していた1837年から1901年の期間を指す)にインターネットはないでしょと思うだろうし、実際現在と同じようなインターネットは存在しない。しかし19世紀には「電信」が存在し、それは現在のインターネットと同じものとして機能していた。都市間、国家間にケーブルを張り巡らせることで、今のインターネッ

    活版印刷以来の最大の革命を引き起こした、現代のインターネットともいえる「電信」の誕生──『ヴィクトリア朝時代のインターネット』 - 基本読書
    dekaino
    dekaino 2024/05/15
    そりゃあ証券市場とその投資家ってでかい顧客がいるから電信はもてはやされますよ。
  • ヤドカリやハチやタコの「経験」はどのようなものなのか?──『メタゾアの心身問題――動物の生活と心の誕生』 - 基本読書

    メタゾアの心身問題――動物の生活と心の誕生 みすず書房Amazonこの『メタゾアの心身問題』は、タコやイカがどのような「意識」を持っているのかについて様々な観察・研究をもとに紹介した、『タコの心身問題』の続篇にあたる。 『タコの心身問題』は邦での刊行が2018年で、その後何度も「人以外の生物の心、意識」や「タコの知性について」語る時にこのブログや他所の原稿で何度も取り上げてきたノンフィクションだったが、作(メタゾア〜)もそれに勝るほどの知的興奮を与えてくれる傑作だ! 作でもタコの話題が前作より最新の情報とともに語られているので、ある意味では続篇にしてアップデート版といえる内容に仕上がっている。 タコの心身問題――頭足類から考える意識の起源 作者:ピーター・ゴドフリー=スミスみすず書房Amazonタコに続いての「メタゾア」なので、当然作ではメタゾアの心と意識について触れていくわけだが

    ヤドカリやハチやタコの「経験」はどのようなものなのか?──『メタゾアの心身問題――動物の生活と心の誕生』 - 基本読書
    dekaino
    dekaino 2023/12/25
    タコやカラスは知性が高い動物と思われているけれども、視覚優位の動物がみせる知的行動は人間に理解しやすいからだけかもしれない。仮にヤドカリやハチが高い知性もって行動しても人間には理解できない可能性が高い
  • 既存の「わかりやすい」人類史を現代の知識・研究でとらえなおす、『ブルシット・ジョブ』著者の遺作となった大作ノンフィクション──『万物の黎明 人類史を根本からくつがえす』 - 基本読書

    万物の黎明 人類史を根からくつがえす (翻訳) 作者:デヴィッド・グレーバー,デヴィッド・ウェングロウ光文社Amazonこの『万物の黎明』は、世の中にはやってもやらなくてもいいようなクソどうでもいい仕事で溢れているのではないかと論を展開した『ブルシット・ジョブ』で知られるデヴィッド・グレーバーの最新作にして、遺作となった大作ノンフィクションである(単著ではなく、考古学の専門家デヴィッド・ウェングロウとの共著)。今回テーマになっているのは、サブタイトルに入っているように、「人類史」だ。 多くの(特に売れている)人類史には、環境要因に注目したジャレド・ダイアモンド『銃・病原菌・鉄』や「虚構」をテーマにしたユヴァル・ノア・ハラリの『サピエンス全史』のように「わかりやすい切り口」が存在するものだが、書(『万物の黎明』)の特徴の一つは、数多語られてきた「わかりやすい切り口」の「ビッグ・ヒストリ

    既存の「わかりやすい」人類史を現代の知識・研究でとらえなおす、『ブルシット・ジョブ』著者の遺作となった大作ノンフィクション──『万物の黎明 人類史を根本からくつがえす』 - 基本読書
    dekaino
    dekaino 2023/10/11
    資本主義は豊かさも生んだが争いも生んだろうなあ
  • 『三体』三部作の裏側で起こってきたことに光を当てる、まさにこれが読みたかった! と思える公式スピンオフ──『三体X 観想之宙』 - 基本読書

    三体X 観想之宙 作者:宝樹早川書房Amazonこの『三体X』は、劉慈欣による中国SF最大の話題作である《三体》三部作の、宝樹による公式外伝(スピンオフ)である。公式外伝といっても種類はたくさんあるが、作が描き出すのは基的には『三体』の第三部で起こっていたことの裏側になる。 三体の第三部はそれまでの第二部とは異なって極めてスケールが大きくなったこともあって、小さなことは置いてけぼりに物語が進行していった。作(『三体X』)はそのあたりの拾われなかったSF設定を広げたり、キャラクタ間のありえたかもしれないやりとりを補完したりといった、二次創作的な色の強い作品となっている*1。扱い的にも正史の中に組み込まれているわけではなく、あくまでもパラレルワールドだ。 《三体》三部作は楽しんだけど二次創作はええかな〜という人もいるだろうし、僕も読み始める前はその気持ちがあったが、読み終えてみればそうも

    『三体』三部作の裏側で起こってきたことに光を当てる、まさにこれが読みたかった! と思える公式スピンオフ──『三体X 観想之宙』 - 基本読書
    dekaino
    dekaino 2022/07/15
  • 数学概念が人類に生まれつきそなわっていないことを示す、数と言語人類学──『数の発明――私たちは数をつくり、数につくられた』 - 基本読書

    数の発明――私たちは数をつくり、数につくられた 作者:ケイレブ・エヴェレット発売日: 2021/05/08メディア: 単行 はじめに 数の概念は、生まれつき備わっているものではない 数の概念がないなんてことがあるのか? 1〜3 おわりに はじめに 『ピダハン──「言語能」を超える文化と世界観』という、左右や数字の概念を持たない珍しい言語の持ち主であるアマゾンの少数民族について書かれたノンフィクションがある。この、少数民族の話ながらもそこからチョムスキーの言語能否定の話や、幸せとは、文化とは、宗教とは、といった話に繋がっていく普遍的な話を展開しており、そのユーモア溢れる筆致もあって世界的に話題になっていった。 今回取り上げたい『数の発明』は、その『ピダハン』の著者ダニエル・L・エヴェレットの息子、ケイレブ・エヴェレットによる著書である。親子揃って言語学者とは凄いが、ケイレブは父親であ

    数学概念が人類に生まれつきそなわっていないことを示す、数と言語人類学──『数の発明――私たちは数をつくり、数につくられた』 - 基本読書
    dekaino
    dekaino 2021/05/12
    直接扱いにくい事柄を単語とかフレーズと対応させることで扱えるようにするテクニック。乗算の九九とか、√2のヒトヨヒトヨニヒトミゴロとか元素周期表の水兵リーベ僕の船 の類かな?
  • テクノスリラーの傑作『アンドロメダ病原体』の正統続篇にして、ド直球のSFとして拡張してみせた快作──『アンドロメダ病原体-変異-』 - 基本読書

    アンドロメダ病原体-変異- 上 作者:マイクル クライトン,ダニエル H ウィルソン発売日: 2020/05/26メディア: Kindle版テクノスリラー&SFの傑作マイケル・クライトンの出世作『アンドロメダ病原体』の、別の著者による正統的な続篇がこの『アンドロメダ病原体-変異-』である。 『アンドロメダ病原体』は架空の病原体をめぐる5日間の騒動を描いた小説である。通常の語りとは異なり事態の進行を客観的に記録した報告書のような体裁で、写真や図など具体的な資料が随所に挟み込まれている、特殊なスタイルの小説であった。この『変異』も、そうした小説上のスタイルをきちんと受け継いでいる。 とはいえ、元はマイケル・クライトンの出世作になったことからもわかる通り、科学面でのノンフィクション的な語りなど、氏のスタイルが色濃く出ている作品で、続篇とはいっても難しい面もあるんじゃないかなあ……昔あったコンテン

    テクノスリラーの傑作『アンドロメダ病原体』の正統続篇にして、ド直球のSFとして拡張してみせた快作──『アンドロメダ病原体-変異-』 - 基本読書
    dekaino
    dekaino 2020/05/29
  • BIを導入したら本当に人は働かなくなるのか?──『みんなにお金を配ったら──ベーシックインカムは世界でどう議論されているか?』 - 基本読書

    みんなにお金を配ったらー―ベーシックインカムは世界でどう議論されているか? 作者: アニー・ローリー,上原裕美子出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2019/10/11メディア: 単行この商品を含むブログを見るベーシックインカムという、最低限所得保障の考え方がこの世に存在する。簡単に説明すれば、一月3万なり10万なりを、制限をつけず全国民に配布しちゃいましょう、という考え方である。「え、毎月10万貰えたらメッチャ嬉しい、やったー!」と気分が沸いてくるが、実際には利点に関しても欠点に関しても様々な議論がある。 BIの想定される利点と欠点 たとえば、そもそも財源をどうするんだ、という問題がある。また、全国民に配分するということは、金持ちにも同様に配るわけなので、貧困者を狙い撃ちにしたほうがもっと効果的なんじゃない? 説もある。他にも、毎月10万も(仮に)もらえたとしたら、人々は働かなくな

    BIを導入したら本当に人は働かなくなるのか?──『みんなにお金を配ったら──ベーシックインカムは世界でどう議論されているか?』 - 基本読書
    dekaino
    dekaino 2019/10/15
    働かずに子供を産むことに注力する家系がどんどん増えるので、経済的にBIの仕組みが維持できなくなって破綻するんだよ。成長し続けしないと死ぬ資本主義同様にBIも持続可能性に乏しい制度なのだ。
  • 死にたくない時に読む本──『なぜ老いるのか、なぜ死ぬのか、進化論でわかる』 - 基本読書

    なぜ老いるのか、なぜ死ぬのか、進化論でわかる 作者: ジョナサン・シルバータウン,寺町朋子出版社/メーカー: インターシフト発売日: 2016/01/27メディア: 単行この商品を含むブログを見る僕はわりと死にたくないが、なぜ死にたくないのかといえばそれはやっぱりよくわからないものだからではないだろうか。『すべてがFになる』の中で、『死を恐れている人はいません。死にいたる生を恐れているのよ。苦しまないで死ねるのなら、誰も死を恐れないでしょう?』というセリフがある。苦しまなくても「消滅」の恐怖は残るのではないかと思うが、やはり死ぬときにあるであろう苦しみは怖いし、できれば味わいたくはない。それはいったいどれぐらい苦しいものなんだろうか。 書は、生物がなぜ死を生み出したのか、なぜ老化するのか、どのようにして死んでいくのかをさまざまなアプローチから描きだす一冊だ。なぜ死ぬのかを詳しく知ったと

    死にたくない時に読む本──『なぜ老いるのか、なぜ死ぬのか、進化論でわかる』 - 基本読書
    dekaino
    dekaino 2016/02/11
    似た類の話で品種改良で家畜を晩婚/高齢出産させるのを何世代も重ねると、寿命が長くなるってのがあります。早死にする遺伝子が淘汰されるからだろう。
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