2012年03月11日14:04 カテゴリ それを「希望」と名づけよう(佐野元春) ブログネタ:自作小説アレコレ!? に参加中! それを「希望」と名づけよう 佐野元春 街が揺れた夜、君はひとり無断で、 市営プールに潜りこみ、身体を水に浸した そして暗がりの中、瞑想した 人は時に、光に水に、雨に風に、感謝し、 人は時に、光に水に、雨に風に、屈服する この闇の向こうに震えるのは 誰か、嘆きの声 同胞の不在は確かに不可解だ それはそうだ しかしどうだろう 君は偽善の涙など流さないと誓ってくれ 決まりきったお悔やみなど無用だと言ってくれ 夜が明けて、そこにいつもどおりの太陽が照り、 草木は首をもたげ、 鳥たちは空を往く あぁ、美しくも残酷なクリシェ! 一方で、 君の身体の細胞ひとつひとつに染みいる光はどうだ 傷だらけではあるが依然雄々しいその筋肉はどうだ そうさ、君は同胞の不在を気にかけているんだ