桜蔭の「問題児」 「田中さんは、桜蔭の中ですごく目立っていました。彼女が歩くと、『あ、テレビに出た人だ』ってみんながこそこそ話す。有名人でしたよ」 桜蔭高校の後輩が、26年前の田中絵里緒(44歳)のことを憶えていた。高校時代は、“問題児”だったと自らが証言すとおり、切れ味の鋭いナイフを心の中に隠しているような女性――。そんな印象を持って彼女と会った。 福岡のホテルに、約束の時間に少し遅れて現れた田中は、フェミニンなワンピースを着ていて、かわいらしい感じの人だった。大きな袋の中から取り出したのは桜蔭の卒業アルバムだった。 「これが私、これが豊田(真由子、元衆議院議員)さん」 写真を指差しながら、教えてくれた。天下の桜蔭である。聡明で、まじめそうな女子の顔が並ぶ。教師も圧倒的に女性が多い。「勤勉・温雅・聡明であれ。責任を重んじ、礼儀を厚くし、よき社会人であれ」という校訓が厳格な女子高を思わせる