「先生、『共依存』ってよくないんですよね?」 V子さんが、心療内科の外来で問いかけてきた。 「家族問題のグループで、そう言われたの?」 「そうなんですよ。お母さんとの関係が苦しくて仕方がないので、皆さんの前でその話をしたら、『それは共依存だから、何とかしなきゃ!』って言われちゃいました……」 V子さんは、35歳の女性。外来での診断名は「抑うつ状態」だ。3年前から通っており、時々、家族問題のミーティングにも顔を出している。 彼女の家族は、もともと仲の良い一家だった。両親と兄とV子さんの4人暮らし。父親も兄も穏やかな人柄で、彼女の面倒をよく見てくれた。小さい頃は本当に幸せだったと、今でも彼女はよく思い出す。 その幸せを奪ったのは交通事故だった。 高齢者の危険運転で、父親と兄の命があっという間に奪われたのだ。彼女と母親は奇跡的に助かったが、その後の生活は悲惨なものになった。 母親は仕事に出るよう