思想・意見・主張・感情などを表現し、発表する自由、いわゆる「表現の自由」は守られるべきものだが、その表現のために他者を過剰に攻撃したり、威力業務妨害まがいの行為を繰り返したりするのは、彼らにとっての「正義」のためとはいえ許されることなのだろうか。ライターの森鷹久氏が、「コロナは風邪」と主張し、新型コロナウイルスを新たな感染症として考えること自体を拒否するグループによって生じている混乱と、戸惑う人々についてレポートする。 * * * 12月、ある平日のお昼過ぎ。客足がパタリと止んだかと思うと、外が少し騒がしくなったことに気がついた。こっそり店外を覗くと、プラカードを持った男女が数人、通行人に向かって何か叫んでいるのが見えたという。宗教か何かの勧誘か……にしては騒々しい。少し観察して、思わず「あっ」と声を上げた。 「男の人たちが大声で『コロナは風邪です!』と叫んでいました、マスクもしないで。テ
これらには医師などの専門家から「科学的根拠が疑わしい」と批判の声も多い。特に、“医者に頼らなくてもがんは消える”のように医療を否定・批判する本は、それを読んだ患者が適切な受診機会を逃し、命に関わる可能性もある。 このような健康本について、出版業界の「中の人」は、実際のところ、どう思っているのだろう。BuzzFeed News Medicalが複数の出版関係者に話を聞くと、変わりゆく出版業界の姿が浮かび上がってきた。 「そんなの9割ウソだから」「作っているのオレなんだから」と、健康本ライターは母に言いたい。健康本を作っているのは、どんな人なのか。例えば、Aさんは何冊か健康本を執筆した経験のある、50代の男性。理系ジャンルが専門のライターだ。 どんな本を執筆したのか、そのうちの1冊を見せてもらった。タイトルと内容は「ある食品が認知症に効く」と謳うものだった。 著者はAさんではなく、ある医師の名
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