前回に続き、先月末の「常温常圧で超伝導現象を示す物質『LK-99』の合成に成功した」というニュースに関する続報をまとめる。騒動の発端となった原著論文が投稿されてから本日でちょうど1ヶ月が経過し、複数の研究チームによる再現実験のデータが集まってきた。本稿では主な追試結果について簡単に紹介する。 「LK-99」に関する詳細な経緯に関しては、先日のエントリを是非ご覧いただきたい。公開当初から多くの方に読んで頂けたようで、超伝導現象に関する世間の関心の高さが窺えた。 LK-99は本当に常温常圧超伝導を達成しているのか もはや総括の必要も無いように思われるが、物性物理学の話題がこれほど世間を騒がせることも珍しいので、最後まで付き合ってみよう。 結論 最初に結論を述べておこう。これまでに報告された複数の再現実験の結果を総合的に考えると、LK-99は常温常圧超伝導体ではないという結論に至るのが自然である