その部屋にはYシャツと私しかなかった。 私が思いだせる最初の記憶は、真っ白な四角い部屋と、綺麗に畳まれて重ねられたまっさらなYシャツ、そしてYシャツを着た私。私はそこでYシャツに包まって寝て、Yシャツを刻んで食べて生を繋いだ。その部屋の天井はとても高くかった。でも、その真ん中に天窓がついていて、私は青い空や雲、夜は月や星を見て過ごした。天窓以外の唯一の外界との接点は、部屋の四方の壁に付けられた鉄格子の窓と、一つの白いドア。鉄格子には私の手は届かないし、白いドアは押しても引いてもびくともしなかった。 私はYシャツがYシャツであることがわかった。天窓という言葉を知っていた。部屋も、壁も。ドアが開くものだと知っていた。私がここにいることはおかしなことなのだと言うことも。誰かが私を閉じ込めたのだということも。でも、私が誰なのかはわからなかった。 なるべく綿100%のYシャツを選んで食べた。一度、ポ