今日の朝日新聞の夕刊に「後世へ伝える集合住宅の星」という記事が載っていた(7月25日)。小見出しが「赤羽台団地のスターハウス(東京都北区)」とあり、大きな写真も載っている。 記事によると、 都市部の勤労世帯に向け、旧・日本住宅公団(現在の都市再生機構)が1950年代から整備を進めた「公団住宅」。ステンレス製の流し台や水洗トイレなど、当時の先端設備が備えられた「団地」は、高度経済成長期を象徴するあこがれの住まいだった。 花形はスターハウス。1フロアあたり3戸が3方向に拡がるように配置された、特別な建物だ。素っ気ない長方形の「板状住棟」が並ぶ団地のなかで、景観にアクセントを与える狙いなどから配置され、人気が高かった。 東京23区内で初の大規模団地として62年に誕生した北区の赤羽台団地。老朽化に伴い高層の「ヌーヴェル赤羽台」として建て替えが進むが、3棟のスターハウスと1棟の板状住棟が保存されると
地震に豪雨、日本を立て続けに災害が襲っている。目を引くのは、地域や住む場所によって、災害による被害の程度が大きく異なることだ。当然のことと考えられるかもしれない。しかし、「国民は平等である」という建前で運営されている「国家」の内部で、大きな格差が生まれることを放っておいていいのか。 6月に発生した大阪北部地震は、こうした文脈のなかで「大阪という都市圏」について考える一つのキッカケとなった。何より目を向けるべきは、災害がこの街を襲う際に浮き彫りになるであろう「被害の不平等」だ。すなわち、均質な人々が集住する安心の空間・郊外と、インナーシティ(旧都市周辺部)との間の不平等である。 その不平等の向こう側に浮かび上がってくるのは、国家や自治体が「財政健全化」という大義名分のもとに、公共投資から撤退してきた事実だ。そして現在、大阪はさらにその動きを推し進めている。生活のあらゆる場面で人々に対して「金
[第5章「郊外」で起業するということ-後編-] ■ 豊永真美 [昭和女子大現代ビジネス研究所研究員] ■ 移民出身の成功者としてのアメッド・アニュ ここまで、Ki-oon社の歩みを紹介してきたが、アニュはマンガ出版社の社長としてでなく、アフリカ系移民の成功者としての顔も持っている。このことは非常に重要だ。 Tonkamのような日本のマンガ出版社は、日本のマンガに興味のある人からしか興味を持たれない。これに対し、GlenatやKANAはマンガに興味がない人や企業でも親会社の経営状態に興味を持つ人や企業はいる。このように「関心をもたれている」ということはフランス社会においては非常に重要だ。 フランスでは日本のポップカルチャーが人気といわれているが、大半の人は全く日本のポップカルチャーに興味がない。クラブ・ドロテの時代は、日本のアニメに嫌悪をいだく人でもその存在を知っていたが、今は地上波で日本ア
私の専門は環境倫理学である。ここ数年は、「都市の環境倫理」についての研究を続けている。2014年に刊行した拙著『都市の環境倫理』では、次の3点を主張した。 (1)都市は地球の持続可能性に貢献できる。戸建て住宅に分散して住み、マイカーで移動する郊外型のライフスタイルよりも、集住と公共共通の利用を中心とする都市型のライフスタイルのほうが、資源とエネルギーが節約できるからである。 (2)都市における自然に目を向けるべきである。都市の中にも動植物は存在する。緑地も川もある。アスファルトの下には大地のデコボコがある。「都市には自然がない」と言ってしまうと、現にそこにある自然に目が向かなくなる。 (3)都市生活はストレスが多いと言われるが、それは仕事のしかたや人間関係の問題が大きく、必ずしも都市生活に起因するわけではない。都市で快適に過ごしている人もいる。地方への逃避を考えるよりも、都市生活のアメニテ
「東京のような発展」へのオルタナティブ 市内中心部を東西に貫く四条通で、車道を半減させ、あえて自動車の利便性を下げる工事が始まったが、これは東京や大阪との差異化を徹底して「京都ブランド」を前面に押し出す政策へと転換する動きの一端である(写真は清水寺近くの二寧坂) 2630ben-iStockphoto.com 京都市に四条通という道がある。平安京の条坊制の名残を今に伝える名前だが、市内中心部を東西に貫くこともあって、近代以降は京都随一の繁華街として賑わってきた。とりわけ八坂神社のある祇園(東大路通との交差点)から烏丸通と交差する四条烏丸までは、大阪方面と京都市内を結ぶ私鉄である京阪電鉄や阪急電鉄がすべての列車を停める大きな駅を構え、デパートや高級ブランド店、大規模書店、和装など京都ならではの老舗、さらにメガバンクの京都支店なども並ぶ。 今年の春先から、この四条通で大規模な工事が始まった。そ
「消費の状況はよくない。下期も厳しい」 百貨店最大手・三越伊勢丹ホールディングスの大西洋社長は、決算説明会の場で、同社の置かれた市場環境を厳しい表情で語った。 中間期(2016年4~9月期)の業績自体は好調だった。売上高は前年同期比5.5%増の6139億円、営業利益に至っては同48.6%と大幅増の145億円で着地。2008年4月に三越と伊勢丹が統合して三越伊勢丹HDが誕生して以来、中間期の営業益は2期ぶりに過去最高を更新した。 免税品を除くと、売り上げの伸びはわずか しかし、好調な業績の内訳をひも解くと違った景色が見えてくる。同社の業績を牽引したのは、ひとえに訪日中国人客による免税品の購買だった。上期に免税品売り上げは前年同期比約3倍の301億円に拡大。その影響を除くと、国内百貨店の売り上げの伸びは2%にとどまった。 前期は4月に実施された消費税の増税による影響で特に上期は急激に消費が落ち
農業をまじめにやる気のない「農家」が、最も指摘されたくない弱みを突いたといえるだろう。耕作放棄地への課税を強化する――。政府の規制改革会議(議長・岡素之住友商事相談役)が16日に出した答申だ。農業の衰退を防ぐには、たんに規制を緩めるだけではなく、むしろルールを厳しくすることが必要なときもある。答申は、農地にひそむ問題をじつに明快にあぶり出した。「農業をやる気がないのに、農地を持ち続ける人がいる
現在なんとなくコンセンサスを得られているのは以下の2つである。 東京一極集中は良くない コンパクトシティを推進すべきだ つまりマクロな部分では分散させた方がいいが、ミクロの部分では集中させた方がいいというのが結論のようだが、その境目はどこか? もっとも集積の経済的メリットを評価する人は、6大都市圏に「ヒト」「カネ」「モノ」を集中させるべきだと考える(更にアグレッシブな「東京一極集中肯定論」は流石に防災リスクが経済的メリットを上回ると考える人が多いようで、そういった持論を展開する人はお見かけしない。)。だいたい道州制推進論者はこの考え方の人が多い。なんでも都道府県一つは必ずあるようなインフラ整備は費用対効果が悪いので、6大都市に集中投資して、それ以外の県庁所在地はそれらの都市の衛星都市のようにしてしまう考え方だ。 ただこの考え方は政治的コンセンサスを得るのが難しい。道州都に選ばれなさそうな府
空き家率40%時代に備えよ! 田原総一朗が迫る、日本の空き家問題 『空き家が蝕む日本』著者・長嶋修氏に聞く 情報 #新刊インタビュー#空き家が蝕む日本#都市再生特別措置法等の一部を改正する法律案 日本の空き家率は増加の一途――。7月に総務省発表によると、全国の「空き家率」は820万戸となり、総住宅数に占める割合が13・5%と過去最高を更新した。社会問題化しつつあるこの「空き家問題」に、どう対処すべきなのか。田原総一朗氏が、『「空き家」が蝕む日本』の著者・長嶋修氏にインタビューし、不透明な不動産取引の実態、「新築ありき」の政策や人口減少との関連など、「空き家問題」の本質に迫った。 田原 まず、長嶋さんの『「空き家」が蝕む日本』を読んでびっくりしたのは、マンションの空き家率が、千代田区36%、中央区28%、荒川区19%。なんでこんなに高いんですか? 地方や東京の郊外ではね、古くなった公団住宅や
約30年かけて街作りを地道に進めたことが功を奏した格好だ。人口減少社会に突入した日本も、各地域が長期的な視点に基づいて都市開発の戦略を練る必要性がある。特集の終章では、右肩上がりの成長という幻想を約10年前から打ち捨て、日本でも長期ビジョンに沿って街作りを進めている富山市に触れた。 世界5都市がコンパクトシティの先行事例 米国のポートランドと北陸の富山。何らつながりもなさそうな両都市だが、実は共通点が存在する。郊外の開発を極力控える一方で、街の中心部にヒト、モノ、カネの機能を集約する「コンパクトシティ」の先行事例として世界で注目されているのだ。OECD(経済協力開発機構)は両都市に加え、パリ、メルボルン、バンクーバーの5都市について、2年前に分厚い研究書を公表した。 そもそも、コンパクトシティとは何か。 OECDは「定義が曖昧で論争の的になることも多いが、近年、都市戦略にとり入れられること
特集です。 ある美術館の計画に対して、賛否の声が上がっています。 建物を建設し、そこに美術作品を入れて寄贈するという、大変ありがたい話のように聞こえるんですが、どこに問題があるんでしょうか。 住民の声から取材しました。 大阪・枚方市の郊外にある、香里ヶ丘中央公園。 ラジオ体操や散歩など憩いの場として親しまれているこの場所で 今、ある施設の計画をめぐって住民の間で論争が起こっています。 「大変やろと思うけどね、建てたってね」 「反対運動しようかいうことでね。大事なところ失くしたくないから、みんなで頑張ろういうて」 問題となっているのは、公園の中のこの森に枚方市がすすめている、「美術館」の整備計画です。 「こちらの公園に美術館が建設される予定です。今、この場所に美術館が必要なのか、住民たちから賛否両論の声が上がっています」 「庭園の森美術館」。 2階建て、床面積、約1,800平方メートル。
だが、車両約150台が放火され、数十人が逮捕され、警察署やスーパーなどの窓ガラスが割られ、ドアが破壊されるなどにより、ストックホルムでの被害額は1000万クローナ(約1億5000万円)に上った。この数字には、他県から派遣された応援隊のコストは含まれていない。 さらに、暴動は全国のあらゆる移民コミュニティに飛び火した。筆者の住む人口10万の市は、ストックホルムから470キロ離れた通常は静かな街だが、ここでも車両やタイヤへの放火、警察署の建物の窓ガラスが数十枚割られるなどの被害があった。 英国やオランダなどの各国外務省や在スウェーデンの米国大使館などが、自国民に注意を喚起している。 警官による移民射殺事件で溜まっていた怒りが爆発 暴動の発端は、ストックホルム郊外のヒュースビー地区に住む69歳のポーランド系移民の男性を、彼の自宅で、彼の妻の目前で警察官が射殺したことだ。ヒュースビーは住民の8割を
北京(Beijing)郊外で農作業を行う人(2007年11月22日撮影、資料写真)。(c)AFP/Frederic J. BROWN 【3月26日 AFP】中国当局は過去数十年間にわたり、農家から収用した土地を不動産開発業者に転売することで30兆元(約454兆円)の収入を得ている──。中国国務院発展研究センター(Development Research Centre of the State Council)の経済学者、呉敬璉(Wu Jinglian)氏が語った。 国営新華社(Xinhua)通信によると、先週末に開かれた経済フォーラムで呉氏は「控えめに見積もっても、一部の(政府)機関はここ数十年間の都市化政策で、土地価格の差額により約30兆元の収入を得た」と話した。呉氏は、1998年から2003年まで首相を務めた朱鎔基(Zhu Rongji)氏の顧問を務めた経歴がある。 中国では、大規模な
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