「首つり役人ですか?」 尋ね返したステファノの声がかすれていた。 「斬首刑なら首斬り役人だろう? うちは絞首刑だから首つり役人てわけさ。そのまんまだと聞こえが悪いだろ? だから、縛り屋って呼ばれるのさ」 罪人の頭から麻袋をかぶせ、首に縄をかける。それがジェラートの役目だった。 罪人は踏み台の上に立たされている。刑の執行役が台を蹴り飛ばし、罪人は首を縄でつるされる。 踏み台はそれほど高い物ではない。なので、罪人は落下の衝撃では死なず、窒息して死ぬ。 縛り方が悪いと、苦しみが長く続くことになる。 「捕縄術の専門家なら縄の扱いに慣れているだろう。そう言われて祖父の代からお役についたそうだ。確かにその通りだけど、ありがたい役目とは言えないね」 死に切れなかったり、縄が切れたりすれば、処刑はやり直しとなる。罪人が許されることはない。 「王様に頂いた役目だからね。文句は言えないよ。誰かがしなきゃいけな