「盗賊なんてそうそう食っていけるもんかよ」 馬車から馬を外しながら、ダールが言う。 「この馬車を襲うとするか? 大人だけでも男6人いるぜ」 「俺も大人の内ですか?」 「そこはどうでもいいだろ? 1人や2人の人数じゃ馬車は襲えねえ」 「はい」 「だがよ、大人数を集めちまったらすぐに食い詰めるぜ」 毎日追い剥ぎができる訳ではない。人数が多ければそれだけ生活費も掛かる。 「せいぜい4、5人が関の山だ」 「それじゃ返り討ちが怖くて、馬車を襲うのは無理ですね」 「そういうことだぜ。歩きの旅人を狙おうったって、大金を持ち歩く奴なんかいるもんか」 「金があるなら馬車に乗りますね」 「結局まともには成り立たねえんだ。盗賊なんてのは小さな村を襲って、食い物を奪って逃げるような連中のことさ」 逃げ場のない村人が、盗賊の食い物にされる。 「卑怯な奴らですね」 馬に水を与えながらステファノは腹を立てた。 「けっ!