昨年末、2024年度予算が閣議決定した。うち水産予算は前年度補正を併せて3169億円と、過去最高だった前年の3208億円(前年度補正含む)をやや下回るものの、3100億円台を維持した。18年度まで水産予算は2300~2400億円程度であったが、同年末に国会を通過した漁業法の改正に歩調を合わせ、予算は一気に増額した。 漁業法の改正で目指されたのは、科学的な資源管理に基づく水産資源の回復と水産業の持続的な発展であると言える。これまで国が資源評価対象としていたのは計50魚種で、漁獲総枠(「漁獲可能量(Total Allowable Catch: TAC)」と呼ばれる)を決めて管理を行っていたのは8種に過ぎなかった。 水産庁によると、資源評価対象を23年度までには200種程度に拡大(22年3月現在192種)するとともに、資源評価方法についても過去数十年のトレンドから「高位」・「中位」・「低位」と分
漁師が全力で「働き方改革」をしたら…収入が増えて勤務時間が半減した 30代の夫妻が見いだした、環境に優しくて持続可能な漁業
魚などの水産物を、海ではなく陸上の施設で育てる「陸上養殖」。養殖の技術や設備の性能が高まってきたことなどもあって、従来の養殖にはない付加価値を提供する動きが広がっています。 街なかで「取れたてのサバ」を 駅徒歩1分のビルに向かうと… サバの陸上養殖の研究が行われていた 大阪・豊中市の商店街。駅から1分ほどのビルの中で行われているのは、サバの陸上養殖の研究です。 サバの卸売会社などの経営者が営む会社「フィッシュ・バイオテック」が、この施設を手がけています。 水槽で泳ぐ約80匹のサバ この陸上養殖施設が提案している「新たな価値」は、「取れたてのサバがどこでも手に入る」ことです。鮮度が落ちやすいサバの刺身も、大都市圏の近くで養殖すればより多くの人に提供できると考えています。
1つの生簀に約3万匹の銀鮭。内陸の淡水で育てられた稚魚を海上の生簀で約半年育成、水揚げ量に応じて出荷用の生簀に移したのち、1日餌抜きをしてから水揚げ。次々、網ですくわれ氷を入れたボックスに移されます。すぐに氷水に入れると身が締まります。船上でも美味しさのひと工夫。 やはり、水揚げし立ての新鮮な鮭はまず刺身で。適度に脂がのった身はふっくら柔らかく、旨味は濃厚なのに後味爽やかでいくらでも食べてしまいそう。 カルパッチョやムニエル、ホイル焼きと、身質は柔らかいので焼いた時に硬くならず、調理によってまた違う味わいを楽しめます。 <銀王>誕生 銀鮭はコーホーサーモンとも呼ばれ、一般的なサケ、アキサケやシロサケとも呼ばれる魚とは、別種です。 天然の銀鮭は寒冷な海域の魚で、ロシア南東部からアメリカ・カリフォルニア州北部にかけて生息し、日本近海には天然ものは生息していません。 <銀王>を扱うマルキンの創業
冷凍庫に山積みにされているホタテ=北海道紋別市の水産加工会社「丸栄水産」で2023年9月14日午後3時51分、本多竹志撮影 政府は18日、日本産ホタテの殻むきなどの加工業務を、受刑者の刑務作業に加える方針を固めた。東京電力福島第1原発にたまる処理水の海洋放出を受け、中国は日本産水産物の全面的な輸入停止措置を続けている。中国で日本産ホタテの加工ができなくなっていることから対応策を決めた。 農林水産省と法務省の幹部が同日、自民党幹部に経緯を説明した。中国に輸出されるホタテは、加工後に中国から米国に再輸出されるケースがあった。日本では加工業務を担う働き手不足が課題となっており、受刑者の刑務作業に加えるなどして日本国内での加工を促し、中国への依存脱却を図る考えだ。 農水省などによると、刑務所内でホタテを加工すると、欧米などに輸出するために必要な食品衛生管理の国際基準「HACCP(ハサップ)」を満た
ブリやカツオ、マグロが捕れる豊かな漁場、高知県室戸市。大漁なのは魚だけではありません。県外から移住してくる若手漁師が5年間で35人誕生しています。 そこには不規則で不安定という漁師のイメージを覆した「サラリーマン漁師」の導入がありました。 「サラリーマン漁師」では、天候や水揚げに関係なく給料は毎月固定給、年2回のボーナスも支給されます。さらに有休や各種手当もあり、大企業にもひけをとりません。 全国で漁師の数が減少し人手不足が叫ばれる中、打開するヒントを探ります。 (松山放送局ディレクター 中元健介)
趣味は食材採取とそれを使った冒険スペクタクル料理。週に一度はなにかを捕まえて食べるようにしている。最近は製麺機を使った麺作りが趣味。(動画インタビュー) 前の記事:キュウリウオでかっぱ巻きを作りたい > 個人サイト 私的標本 趣味の製麺 ホンモロコはクチボソ(モツゴ)の代用魚だった 話を伺ったのは柿沼養魚場を営んでいる柿沼賢さん。この養魚場は柿沼さんの父親が1999年にオープンさせた養魚場で、当初はドジョウとナマズを食用として育て、ナマズの街として有名な埼玉県吉川市の料理屋などに卸していたが、現在はホンモロコを中心に飼育している。 そこで謎なのは、琵琶湖の固有種であるホンモロコを埼玉で育てている理由である。県内でホンモロコを買う人がたくさんいるとは思えない。わざわざ西日本まで出荷しているのだろうか。 一年振り、二度目の柿沼養魚場。 柿沼養魚場の柿沼賢さん。 「今から20年くらい前ですかね。
継続可能な農福連携農園を目指す「AGRIKO」|「第10回グッドライフアワード」実行委員会特別賞 SDGsビジネス賞を受賞まるで“小さな地球”お魚が野菜を育てる!?アクアポニックス農法を活用した「循環型農副連携ファーム」 株式会社AGRIKO(本社:東京都世田谷区、代表取締役:小林涼子)は、環境省が主催する「環境と社会によい暮らし」や「社会をよくするSDGsを体現する取り組み」を表彰する「第10回グッドライフアワード」にて、実行委員会特別賞「SDGsビジネス賞」を受賞。2022年12月3日(土)に開催された授賞式に参加いたしました。 左から順に)実行委員 森摂氏 株式会社オルタナ 代表取締役 オルタナ編集長、株式会社AGRIKO 小林涼子 グッドライフアワードは、環境省が提唱する地域循環共生圏の理念を具現化する取組みを表彰し認知を広げるためのプロジェクトです。授賞式では、地域の子ども達と共
にしつじかずま/1982年福井県生まれ。2006年京都大学農学部資源生物科学科卒業。大学を卒業後、1年間の社会人経験を経て、「自産自消」の理念を掲げてマイファーム設立。体験農園、農業学校、流通販売、農家レストラン、農産物生産などの事業を立ち上げる。10年、戦後最年少で農林水産省政策審議委員。16年、総務省「ふるさとづくり大賞」優秀賞受賞。21年、学校法人札幌静修学園理事長就任。 農業 大予測 農業体験の場などを提供する事業を行ってきた老舗農業ベンチャー、マイファームの西辻一真社長は、アグリビジネスと農家の現場の変化をつぶさに見てきました。その西辻氏が最先端の農業を紹介しながら、2050年の未来の農業の姿を大胆に予測します。 バックナンバー一覧 農家の後継者不足によって、作物が育てられなくなった土地が長期間放置される「耕作放棄問題」が深刻化している。また農水省によれば2020年度のカロリーベ
「見てください。これがぼくの船です」 そう言って差し出しされたiPhoneには、青と赤で鮮やかに塗装された木製の小さな船が一艘。ディーゼルエンジンのけたたましい音をあたりに響かせ、水しぶきをあげて沖へ出ていくさまが映し出されていた。 インドネシア人のソレさんは、現在24歳。西ジャワ州の水産高校を卒業後、22歳だった2018年に、外国人技能実習生として宮城県石巻市へやってきた。以来、近海の小型船底引き網漁業を営む船主の下で実習にあたっている。 見せてくれた船は、日本で稼いだお金を故郷に送金し、現地で建造したもの。実習を終えたら故郷へ帰り、漁師の父親とともに定置網漁に従事するつもりと語った。 石巻には毎年、ソレさんのようなインドネシア人技能実習生が20人前後やってくる。受入先は、近海の底引き網漁または定置網漁を営む船主たち。実習期間は最長5年で、その後は故郷に戻る者もいれば、在留資格を特定技能
「水産業」人手確保+「障害者」働ける環境 七尾湾の特産品「能登かき」の養殖作業を通じ、水産業と福祉分野が協力する「水福連携」の動きが広がりを見せている。能登かきの養殖や直売などを手掛ける七尾市中島町塩津の「能登風土」は今季から、市内の福祉施設と連携し障害のある人たちに働く場を提供。同町では別の業者も昨年から同様の取り組みを進めており、人手不足解消にも一役買っている。(稲垣達成) 能登風土のかき養殖部門「三次水産牡蠣養殖場」。十月下旬の午後、同市の就労継続支援事業所「シフト」の利用者らが、専用のなたでくっついたカキ貝を一つ一つはがし、大きさごとに選別。死んだカキを取り除き、かごに詰めていった。 同社は今季から市内の福祉施設二カ所と連携。両施設の利用者が午前と午後に分かれて、平日の四日ほど作業に訪れる。同社の谷口忍さん(48)は「一度教えれば順調にこなしてくれる。僕らは手が空き、別の作業ができ
沖縄で障がい者や高齢者などへ総合的な支援を行い、IT技術を使った効果的なサービスの提供など福祉サービスを展開する(一社)ウェルフェアおきなわは、沖縄県今帰仁村にアクアポニックスの実験農場を開設。12月の完成を予定しており、アクアポニックスを事業として導入を希望する障がい者支援法人からの問い合わせ・農場見学を受け付けている。 「アクアポニックス」のイメージ 「アクアポニックス」は、水耕栽培と養殖を掛け合わせた、次世代の循環型農業。魚の排泄物を微生物が分解し、植物がそれを栄養として吸収、浄化された水が再び魚の水槽へと戻る、生産性と環境配慮の両立ができる生産システムで、土耕栽培と比較して、肥料効率がよく、野菜に加えて魚も収益源となる。また、80%以上の節水が可能となり、農薬・化学肥料・除草剤を使用せずに栽培でき、野菜と魚を一緒に育てる地球にやさしい農業といえる。 同社は、マニュアル化しやすく、障
「漁師直送の鮮魚」を全国に売り込み、漁師の「営業担当」として活躍している女性が北海道にいる。噴火湾鮮魚卸龍神丸の営業・広報の舘岡志保(たておか・しほ)さんだ。 東京生まれ東京育ち、看護師として働いていたキャリアウーマンが、漁業に興味を持ち、北海道八雲町落部(おとしべ)に移住。漁師である舘岡勇樹さんの妻となり、漁村に新しい風を起こしている。 しかし「生産者」である夫と、「消費者」である志保さんの意見は衝突することも多く「家庭内バトル」となることも。「漁業の素人に何が分かる」という厳しい声に、志保さんは「素人だからこそ新しいことができる」と言い切る。 漁師が直接、加工・販売をすることの価値付けに成功した秘訣や、女性が漁業で活躍するメリットを志保さんにうかがった。 漁業の素人だからこそ、新しいことに挑戦できる 舘岡志保(たておか・しほ) 噴火湾鮮魚卸龍神丸の営業・広報。平成30年12月に漁業プロ
大宜味村のバナメイエビ養殖場で、甲殻類の伝染性疾病「急性肝膵臓(すいぞう)壊死(えし)症(AHPND)」の発生が国内で初めて確認された問題で、養殖場周辺の海域に原因菌が流出していないかを沖縄県が調査することが分かった。養殖場から海への排水がなかったかどうか県は確認中としているが、野生動物による媒介を含め「(拡散の)可能性がゼロではない以上は調べる必要がある」として、甲殻類を採取し海域内に細菌が存在していないかを調べる。 養殖の水槽は陸上にあり海面とは接していないが、施設は海に隣接している。県水産課の担当者は、野生生物が養殖場に入り込んだり、感染したエビを鳥がついばんで運んだりした可能性も否定できないとして「国内初発生で分かっていないことも多い。国とも連携して情報収集しながら調査していく」と話した。
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