オバマ米大統領による予算教書の発表とともに、ワシントンは再び民主、共和両党の小競り合いへと引きずり込まれている。米国では現在、民主主義の基本的な機能をめぐる懸念が強まりつつある。 世論調査によると、議会に対する好意は史上かつてないほど薄れている。将来の財政赤字削減に大きく貢献する措置で合意できない政治家には、四方八方から反感が寄せられている。専門家も政治家もこぞって交渉の行き詰まりをとがめ、「オキュパイ・ウォールストリート(ウォール街を占拠せよ)」運動から「茶会」運動まで政治的に両極端の抗議行動が起こり、党派心がいよいよ強まっているようだ。 折しも世界は重大な課題に直面している時だ。中国を筆頭とする新興諸国が先進国に近づくという深遠な変化により、世界秩序は再定義されるだろう。大恐慌以来、間違いなく最も深刻な現在の景気低迷を乗り越えた先には、技術革新がもたらすさらに深刻な課題が待ち構えている