東京電力福島第一原発事故をめぐり、業務上過失致死傷罪で強制起訴された旧経営陣3人の第35回公判が26日、東京地裁であった。検察官役の指定弁護士は「津波を予見できたのに情報収集義務を怠り、何ら措置をとらず漫然と運転を続けた過失がある」と述べ、元会長・勝俣恒久(78)、元副社長・武黒(たけくろ)一郎(72)、元副社長・武藤栄(68)の3被告に、いずれも禁錮5年を求刑した。 同罪の法定刑は懲役もしくは禁錮5年以下、または100万円以下の罰金。指定弁護士は「歴史上類をみない大事故で刑事責任は極めて大きい。3人の責任に差はない」と述べ、労役を科さない禁錮刑としては同罪の最高刑を求めた。 論告で、指定弁護士はまず、原発には「放射性物質の拡散といった重大な潜在的危険がある」と指摘。電力会社の最高経営層は安全に関する具体的な情報を常に集め、万全の対策をとる義務があるのに、3人は多くの機会にわたって情報を見