「経済に一体何が起きているのか。どんな状態なのか。」これは企業や金融機関の経営幹部、投資家、政策当局者らが日々問いかけている言葉であろう。エコノミストも例外ではない。むしろ、彼らの問いに答えることがエコノミストの使命でもある。 では1年前に登場したChatGPTは、新たなツールとしてどこまで使えるのだろう。テキスト内容から政策スタンスを抽出し、定量化・指標化できることはすでに分かっている。しかし、無機質な数値としての「指標化」ではなく、可能な限り「生の声」を反映したテキスト情報の「指標化」によって、最初の問いに答えることはできないのか。こうした問題意識に基づき、本研究ではChatGPTに「経済事象と因果関係の抽出」というタスクを与えた。 ターゲットであるテキストが因果関係を表す情報を含むのかどうかの判定自体、人工知能研究分野の先端的タスクとされている。日本語テキストマイニングの第一人者であ