<ソフトパワー、地政学、ハードパワー、人口動態......。新型コロナ禍が世界を変えるように見えても、中国がアメリカに代わる超大国にはなれない理由。本誌「中国マスク外交」特集より> 新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)は、世界の地政学をどう変えるのか。 この問いに対して、グローバル化の時代の終焉を予測する識者は多い。第2次大戦後、アメリカのリーダーシップ下で花開いた相互依存の時代が終わるというのだ。また、中国がアメリカを追い抜き、世界の超大国の座に就くという予測もある。 確かに、これまでどおりとはいかないだろう。だが大きな事件が大きな結果をもたらすとは限らない。1918年から流行したスペイン風邪は、直前の第1次大戦よりも多くの命を奪ったが、その後20年間の世界の流れを決めたのは、スペイン風邪ではなく第1次大戦の結果だった。 グローバル化は、物流と情報技術における進歩の産物