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ブックマーク / blog.tatsuru.com (25)

  • 豊かな社会とは - 内田樹の研究室

    『診療研究』というコアな雑誌に標記のような原稿を寄稿した。いつもの話ではあるけれども、こういうことは何度繰り返し語っても足りないのである。 これまでずいぶん長く生きてきたけれども、日の国力がこれほど低下した時期は過去になかった。パンデミック、異常気象、ウクライナ戦争、人口減...など地球的規模での大きな問題が目白押しのところに、国内では、政治とメディアの劣化がとめどなく進行し、経済は衰退局面を転がり落ち、国民生活の最後の支えである教育と医療も気息奄々というありさまである。どこにも希望が見られない。 それでも気を取り直して、よくよく見れば、日の国力にはまだまだ余力がある。列島には豊かな山河がある。温帯モンスーンの温和な気候と肥沃な土壌と豊かな水資源に恵まれ、植物相・動物相は多様で、温泉や桜や紅葉の名所や神社仏閣のような観光資源はいたるところにあり、文化もエンターテインメントも伝統芸能も

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    corydalis 2023/05/02
    投稿先が特権階級である医者だからまぁこれもアリかとは思うんだけど、コモンのために身を削れが庶民に対して言ってることなんだったら、この人自分の言ってることが何を招くのかわかっていってるのか…という感じ。
  • 岸田政権は何をしようとしているのか - 内田樹の研究室

    ある媒体からインタビューのオファーがあった。岸田政権の新年度予算成立を受けて、「なぜ政権はこれほど性急に防衛予算の拡大に進むのか」について訊かれたので、次のように答えた。 今回の防衛費増額の背景にあるのは岸田政権の支持基盤の弱さだと思う。 彼にとって喫緊の課題は二つだけである。一つは国内の自民党の鉄板の支持層の期待を裏切らないこと。一つは米国に徹底的に追随すること。日の将来についての自前のビジョンは彼にはない。 今回の防衛予算や防衛費をGDP比2%に積み上げるのも、米国が北大西洋条約機構(NATO)に求める水準に足並みをそろえるためであって、日の発意ではない。日が自国の安全保障戦略について熟慮して、必要経費を積算した結果、「この数字しかない」と言ってでてきた数字ではない。アメリカから言われた数字をそのまま腹話術の人形のように繰り返しているだけである。 国民がこの大きな増額にそれほど違

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    corydalis 2023/04/02
    おそらくこの通りだろうが、アベの「自民盗政権に対する庶民の反撃能力を奪うために、格差拡大政策を取って貧困層からカネ持ちへの所得移転をさらに進める」ことも忠実に継承してる感じ。ロクなものではない。
  • 統一教会、安倍国葬について他 - 内田樹の研究室

    あるネットメディアからインタビューを受けた。もう公開されているので、少し長い別ヴァージョンをあげておく。 ―これから安倍系右翼はどうなると思いますか? 内田 おっしゃっている「安倍系右翼」という言葉の定義を僕は知らないのですけれど、言いたいことは何となくわかります。それが「安倍晋三という個人の求心力やカリスマ性に依存して存在感を発揮していた政治勢力」という意味でなら、その人たちはこの事件をきっかけに力を失い、弱体化すると思います。 実際に安倍元首相の死後、彼の庇護下でこれまで「いい思い」をしてきたネット論客たちはいまほぼ沈黙状態にあります。どういうスタンスでこの事件に向き合って良いのかについての組織的な合意形成ができていないのでしょう。もともと安倍晋三個人が手作りしたネットワークですから、ハブが不在になると、合意形成のための場も、ルールもない。代わりを務めることのできる人がいない。ですから

    corydalis
    corydalis 2022/09/12
    これでもアベに配慮してると少なくないなりにがっかりした。ニキサンスケは満洲国建国でブレーキをかけておけばよかったのに中国侵略までして進退窮まり責任を取りたくないから合衆国相手に滅亡戦争を仕掛けた張本人
  • 部活は生き残れるか - 内田樹の研究室

    『週刊金曜日』に部活の地域移管について書いた。 文科省とスポーツ庁が主導して、公立中学校での部活の「地域移管」が進められている。来年度からまず運動部の地域移管が始まり、文科系部活についても来月には提言がまとめられるという。 勝利至上主義に毒された指導者が生徒の人格を否定するような暴言を吐き、体調を崩すほどの長時間拘束を強いる「ブラック部活」はない方がましだと私は思う。 一方で、教員にとっての負荷も過大なものになっている。部活の顧問になって休日返上して指導に当たった教員が心身を病むという事例も報告されている。 生徒も苦しみ、教員も苦しんでるのだから、そんな部活はアウトソースすればいいというのがこのたびの「地域移管」の理由だ(と私は思っている)。 むろん文科省はそんなことは言わない。地域移管は「少子化による廃部で、子どもの選択肢が減っているので、もっと多様な選択肢を提供する」「専門家による指導

    corydalis
    corydalis 2022/06/27
    まぁこれはその通りで、国民のほとんどが貧しく娯楽に興じる経済的余裕がなかった時に学校の部活動の果たした役割は大きい。外部移管すれば教育的意義は無くなるから学校が外部部活の内容を配慮することもなくなる。
  • 総選挙結果を予測してみた - 内田樹の研究室

    今日は10月26日。総選挙の投開票の5日前である。ここで選挙結果について予測した。笑っても泣いても5日後には結果がわかる。外れたら不明を笑って欲しい。 自民党は単独過半数233議席には届かない。公明との連立でようやく過半数。今回は立憲民主党共産党、国民民主党、れいわ新選組の4党による野党共闘が奏功して、与野党伯仲という議席構成になる。残念ながら政権交代はならず。 自民党には今回の選挙では追い風になる条件が何もない。 来の目算では、五輪でお祭り気分を盛り上げておいて、総選挙に雪崩れ込むはずだったのだが、果たせなかった。たしかにメディアを利用して、開催中は疑似的な熱狂を作り出しはしたが、終わったところにコロナの第五波の感染爆発が来て、国民はみんな五輪のことなんか忘れしまった。 安倍―菅政権のコロナ対策は「後手後手」で、医療崩壊、自宅放置での死者が続出するに及んで、政権への怒りが高まり、結局

    corydalis
    corydalis 2021/10/27
    自分も自民盗には衰退して欲しいから気持ちはわかるんだけども、自民盗のやらかしにはこれだけ熱意があって、立民のやらかしには一言も触れないのは違和感が。言ってることはその通りだが結果に繋がるかと言えば…。
  • 安倍政権の7年8カ月 - 内田樹の研究室

    安倍政権7年8カ月をどう総括するかと問われたら、私は「知性と倫理性を著しく欠いた首相が長期にわたって政権の座にあったせいで、国力が著しく衰微した」という評価を下す。 日は今もGDP世界三位だし、軍事力でも世界五位の「大国」である。国際社会の中では「先進国」として遇されているし、米国の東アジアにおける最も信頼できる同盟国であるという評価も安定している。けれども、日が「あるべき国際社会」を語り、その実現に向けて指導力を発揮することを期待している人々は国内外を探しても見当たらないし、経済的成功のための「日モデル」や、世界平和の実現ための「日ヴィジョン」を日政府が提示するだろうと思っている人もいない。これだけの「国力」がありながら誰も日にリーダーシップを求めていない。そのことに、われわれはもっと驚くべきだと思う。 どうして国際社会は日にリーダーシップを求めないのか? それは日人が「

    corydalis
    corydalis 2020/08/30
    内田、この程度のキレイ事を吐くだけでよく我慢してるなといった感じ。国力についてはそのとおりだが、個人的に一番の問題はアベが率先して行ったために日本でモラルハザードが常態化すること。これが一番ヤヴァイ。
  • China Scare - 内田樹の研究室

    日韓関係が「史上最悪」である一方で、かつて排外主義的なメディアの二枚看板だった「嫌中」記事が姿を消しつつあることにみなさんは気づかれだろうか。 なぜ嫌韓は亢進し、嫌中は抑制されたのか。私はそれについて説得力のある説明を聞いた覚えがない。誰も言ってくれないので、自分で考えた意見を述べる。たぶん読んで怒りだす人がたくさんいると思うが許して欲しい。 Foreign Affairs Reportアメリカの政策決定者たちの「音」がかなり正直に語られているので、毎月興味深く読んでいるが、ここ一年ほどはアメリカの外交専門家の中に「中国恐怖(China Scare)」が強く浸透していることが実感される。 かつて「赤恐怖(Red Scare)」といわれる現象があった。1950年代のマッカーシズムのことはよく知られているけれど、1910年代の「赤恐怖」についてはそれほど知られていない。 1917年にロシ

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    corydalis 2019/10/28
    自民盗が中共の支配のやり方を真似てきているのは小鼠あたりから顕著だとは思うけどねぇ。最近露骨なのは論の通りだとは思う。特にアベ政権が不正の露見に慌てていて中共の監視システムを大急ぎで導入してる感じ。
  • 外国語学習について - 内田樹の研究室

    2018年6月12日に「文系教科研究会」というところで、私立の中学高校の英語の先生たちをお相手に英語教育についてお話した。その一部をここに掲載する。 ここで論じたのは英語だけれど、言語教育一般について適用できる議論だと思う。 ここ数日、「論理国語」と「文学国語」というカテゴライズをするという話がTLを飛び交っているけれど、それがほんとうだとしたら、それはたぶん言語というものについて一度も真剣に思量したことのない人間の脳裏に去来したアイディアだろうと思う。それはまさに「植民地における現地人への宗主国言語教育」とまったく同型的なものだからだ。 国語教育においても「植民地現地人」に求められる言語能力は同じである。 それは宗主国アメリカに仕え、アメリカに朝貢することで「代官」「買弁」としての地位を保全している日の支配層たちが、同国人の知性の発達を阻害し、日人を愚民化することで、属国日をアメリ

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    corydalis 2018/11/01
    なんで俺がこんなわかりきったことを…と嫌々書いている。少なくとも自国文化に通底しないで外国語を学んでも虚しいという話は中高生の頃に教師から散々聞かされた。今の若者知らないのかな。確かに愚民の国。
  • 大学院の変容・貧乏シフト - 内田樹の研究室

    毎月ある地方紙にエッセイを寄稿している。これは8月分。 人口当たりの修士・博士号取得者が主要国で日だけ減っていることが文科省の調査で判明した。これまでも海外メディアからは日の大学の学術的生産力の低下が指摘されてきたが、大学院進学者数でも、先進国の中でただ一国の「独り負け」で、日の知的劣化に歯止めがかからなくなってきている。 人口当たりの学位取得者数を2014~17年度と08年度で比べると、修士号は、中国が1.55倍、フランスが1.27倍。日だけが0.97倍と微減。博士号は、韓国が1.46倍、イギリスが1.23倍。日だけが0.90倍と数を減らした。 当然だと思う。さまざまな理由が指摘されているけれど、一言で言えば「大学院というところが暗く、いじけた場所になった」からである。若くて元気な人間なら、せっかくの青春をそんなところで過ごしたくはない。 と書いておいてすぐに前言撤回するのも気

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    corydalis 2018/09/10
    カネカネカネとカネに縛られてるからそうなる。他者からの評価と言ってるけどその実カネになるかどうかだけだから結局カネ。派手なことはやれないがカネなしで研究するなら戦前の日本を参考にするとよいと思うが。
  • 対米従属テクノクラートの哀しみ - 内田樹の研究室

    という標題の文章を「サンデー毎日」に寄稿した。発売日からだいぶ経ったから、ブログにも掲載しておく。 私たちが「問題」と呼んでいるものの多くは長期にわたる私たち自身の努力の成果である。だから、それは「問題」というよりむしろ「答え」なのである。 私見によれば、現代日の問題点の多くは、私たちが久しく「ある現実」から必死に目を背けてきた努力の成果である。私たち目を背けてきた「ある現実」とは「日アメリカの属国であり、日は主権国家ではない」という事実である。この事実を直視することを集団的に拒否したことから、今日のわが国の不具合のほとんどすべてが派生している。 日は属国だというとすぐに怒り出す人たちがいるので、同じことをそれよりは穏やかな表現に言い換えてみる。日国民は憲法制定の主体ではない。 日国憲法は1946年11月3日に公布された。公布時点では「上諭」というものが憲法の「額縁」として付

    corydalis
    corydalis 2017/06/12
    トランプが「日本の核武装OK」「在日基地の費用を全額払え」といった瞬間対米独立を考えていた政治家がいたら欣喜しただろうに、よりにもよってアベ将軍様の回答は「ずっと合衆国のイヌでいさせて下さい」。ズコー。
  • 琉球新報主宰「琉球フォーラム」での講演 - 内田樹の研究室

    「憲法と戦争 - 日はどこに向かうのか」 皆さん、こんにちは。ご紹介いただきました内田でございます。 ご紹介の通り、子どもの頃から当に態度の悪い少年でありまして、ご指摘頂きました高校中退というのもさまざまな非行を重ねた末に学校から放逐されたわけでありました。その後もずっと攻撃的で、反抗的な子どもでした。とにかく、エネルギーが有り余っていて自制がきかない。二十歳を超えた頃になると、さすがにこのまま暴走し続けたら、どんな人間になるのか分からないと自分が怖くなってきまして、誰かに頭をしっかり抑えてもらわないとまずいと思うようになりました。武道の師匠を探し始めたのはその頃です。いくつかの武道を渡り歩き、25歳の時に合気道の多田宏先生に出会い、「この方について行けば自分の攻撃性を抑制できる」と確信して、ほっとしました。孫悟空が玄奘(げんじょう)法師に出会って頭に金の輪っかをはめられ、悟空が悪さを

  • ドイツのあるジャーナリストの日本論 - 内田樹の研究室

    ドイツのある新聞の東京特派員が過去5年間の日の政府と海外メディアの「対立」について記事を書いている。 安倍政権の国際的評価がどのようなものかを知る上では貴重な情報である。 でも、日国民のほとんどは海外メディアが日をどう見ているのかを知らない。 日のメディアがそれを報道しないからである。 しかたがないので、私のような門外漢がドイツの新聞記者の書いたものをボランティアで日語に訳して読まなければならない。 このままでは「日で何が起きているのかを知りたければ、海外のメディアの日関連記事を読む」という傾向は止まらない。 そんなことまで言われても日のジャーナリストは平気なのか。 「ある海外特派員の告白 5年間東京にいた記者からドイツの読者へ」 Carsten Germis さて、荷造りも終わった。ドイツの日刊紙Frankfurter Allgemeine Zeitungの特派員として東

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    corydalis 2015/04/10
    安倍が腹が痛いと仮病を使って退陣した政権のときもマスコミへの圧力は酷かったので、この程度で驚くことはないと思うのだが、知らない日本人は多いのかな。
  • 学校教育の終わり - 内田樹の研究室

    大津市でのいじめ自殺、大阪市立桜宮高校でバスケットボール部のキャプテンの体罰自殺など、一連の事件は日の学校教育システムそのものがいま制度疲労の限界に達していることを示している。 機械が壊れるときは、金属部品もプラスチックもICもすべてが同時に劣化する。それに似ている。学校教育にかかわるすべてが一斉に機能不全に陥っている。 これを特定のパーツを取り替えれば済むと考えている人は「どこが悪いのか?」という「患部」を特定する問いを立てようとする。だが、それは無駄なことだ。日の学校制度はもう局所的な手直しで片付くレベルにはない。 「日の学校制度のどこが悪いのでしょうか」と訊かれるならば、「全部悪い」と答えるほかない。 けれども、学校教育は「全部悪い」からといって、「全部取り替える」ことができない。自動車なら、新車が納車されるまで、バスで通う、電車で通うという代替手段があるが、学校にはない。新し

  • コンビニ化する大学と知性の危機について - 内田樹の研究室

    田中大臣の「問題提起」を承けて、大学設置基準の見直し、「総量規制」についての議論が始まった。 不認可そのものは失着だが、「大学はなぜこんなに多いのか?」という問いが前景化されたのは、よいことである。 ものごとはできるだけラディカルに、根底的に論じる方がいい。 議論の基礎資料として、まず大学数の推移だけ抑えておこう。 日の大学数は1949年で、国立68校、公立18校、私立92校、計178校。 私が大学に入学した1970年で、国立75校、公立33校、私立274校、計382校。 設置基準が大綱化された1991年で、国立97校、公立39校、私立378校、計514校。 そして、2011年度で、国立86校、公立95校、私立594公立。計780校。 ほぼ20年ごとの大学数推移をみるとわかることがある。 第一期(いわゆる「駅弁大学」の草創期)に、大学数は20年間で204校、214%増加した。 これは高度

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    corydalis 2012/11/16
    エントリーを批判する気は毛頭も無いが、20年前に興味関心重視というゆとり教育の前段階が始まった時点で大学のレヴェルが落ちるのはわかりきっていた。自分は役人の権威つきの天下り先作りと認識していたが。
  • 人々が「立ち去る」職場について - 内田樹の研究室

    大阪府教委は23日、来春採用の府内の公立学校教員採用試験で、平均倍率が4倍で史上2番目の低さだったと発表した。 中学理科では倍率が2倍を切り、府教委は「水準に達する人材が確保できなかった」と異例の追加募集を行う。 大阪維新の会の主導で厳しい教員評価などが盛り込まれた条例の施行後、初の採用試験。大阪府では橋下前知事時代から給与カットが続き、小中学校教員の平均基給が全国平均より月約2万8千円低いことも響いた可能性がある。(朝日新聞、10月24日) 記事によると、中学理科の倍率は大阪が1.9倍、京都は3.85倍、兵庫は3.1倍。東京は(中高共通枠なので単純に比較はできないが)5.44倍。 条例施行によって、大阪府の教員応募者が激減することは当然予測されていたはずである。 絶えざる査定と格付け圧力にさらされ、保護者からのクレームに対して行政は原則として「保護者の側に立つ」と公言している就業環境で

    corydalis
    corydalis 2012/10/25
    大阪の公教育は数十年立ち上がれないだろう。南無。というか、大阪愚民は大阪がダメになるのは自業自得だが、このクズっぷりを全国に広げないでいただきたい。
  • 市場からの撤収 - 内田樹の研究室

    消費増税法案が成立した。 日経は一昨日の一面で、これで日の信認が守られ、政治家たちが「消費増税の先送りという最悪の事態を避ける理性だけは残っていた」ことに満腔の安堵を示している。 税金を上げないと「日の財政再建への疑惑」が国債格付けを下げ、金利が上昇し、国債が投げ売りされ、国家財政が破綻するからである(らしい)。 この辺の「風が吹けば桶屋が儲かる」的なドミノ倒し的破綻シナリオがどれほどの信憑性があるのか、私にはよくわからない。 国債を格付けやら金利の乱高下を材料にして国債を売り買いする機関投資家というのは、平たく言えば「ばくち打ち」の皆さんである。 世界の人々が自尊心をもって文化的で愉快な生活を営めるかどうかということは彼らの投資行動とはかかわりがない。 手前の懐が温かくなるなら、どれほどの人が寒い思いをしようと路傍で飢えようと、「それは自己責任でしょ」と言い放つ方々が金融市場というも

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    corydalis 2012/08/11
    消費税増税法案が通った今だからこそ思うのだが、カネが政治を動かし、政治がまったく信用ならなくなって、政治が失った信用を増税という収奪によって回復しようとする動きは何かヘン。市場から退場するのは正解。
  • 教育基本条例再論(しつこいけど) - 内田樹の研究室

    『赤旗』の取材。大阪のダブル選挙と教育条例について。 教育条例に反対する「100人委員会」の呼びかけ人に私が入っているので、意見を徴しに来られたのである。 教育条例に反対する人たちにはいろいろな立場があり、私のような「教育への市場の介入と、グローバリスト的再編そのものに反対」という原理主義的な反対者はおそらく少数(というかほとんどいない)のではないかと思う。 マスメディアと保護者のほぼ全部と、教員の相当部分は「学校教育の目的は、子供たちの労働主体としての付加価値を高め、労働市場で『高値』がつくように支援すること」だと思っている。 私はそのような教育観「そのもの」に反対している。 この100人委員会にも、私に原則同意してくれる方はほとんどいないだろうと思う。 メディアでも、教育条例の区々たる条文についての反論は詳しく紹介されるが、私のようにこの条例を起草した人間の教育観(「学

  • 地方紙の存在意義について - 内田樹の研究室

    10月29日朝日新聞の朝刊オピニオン欄に、アメリカの地方新聞の消滅とその影響についての記事が出ていた。 たいへん興味深い内容だった。 アメリカでは経営不振から地方紙がつぎつぎと消滅している。 新聞広告収入はこの5年で半減、休刊は212紙にのぼる。記者も労働条件を切り下げられ、解雇され、20年前は全米で6万人いた新聞記者が現在は4万人。 新聞記者が減ったこと、地方紙がなくなったことで何が起きたか。 地方紙をもたないエリアでは、自分の住んでいる街のできごとについての報道がなくなった。「小さな街の役所や議会、学校や地裁に記者が取材に行かなくなった」 「取材空白域」が発生したのである。 カリフォルニアの小さな街ベルでは、地元紙が1998年に休刊になり、地元のできごとを報道するメディアがなくなった。 すると、市の行政官は500万円だった年間給与を十数年かけて段階的に12倍の6400万円まで引き上げた

  • 多数派であることのリスクについて - 内田樹の研究室

    神戸新聞に隔週で「随想」というコラムを書いている(これが二回目)。神戸新聞を読んでいない方のために再録しておく。 これは先週書いたもの。 橋下大阪府知事は、持論である大阪都構想に賛成の市職員を抜擢し、反対する市職員を降格するためのリスト作りを維新の会所属の大阪市議に指示した。 首長選の候補者が選挙に先立って公約への賛否を自治体職員の「踏み絵」にするというのは異例の事態である。 公務員が遵守義務を負うのは、憲法と法律・条例と就業規則だけのはずである。「大阪都」構想は、その当否は措いて、今のところ一政治家の私念に過ぎない。それへ賛否が公務員の将来的な考課事由になるということは法理的にありえまい。 まだ市長になっていない人物が市職員に要求している以上、これは彼に対する「私的な忠誠」と言う他ない。彼はそれを「処罰されるリスクへの恐怖」によって手に入れようとしている。 私はこの手法に反対である。 脅

    corydalis
    corydalis 2011/09/20
    この記事の橋下による市職員への脅迫は本当なのか?。本当なのだろうが、だとすると、橋下は吊るさなきゃ。こいつに投票したの誰?。他の首長が真似するから気違いを選ぶのやめろ。余所なのに他人事じゃないな。
  • 情報リテラシーについて - 内田樹の研究室

    朝日新聞の「紙面批評」に書いたものを再録する。 長すぎたので、紙では数行削られているが、これがオリジナル。 「情報格差社会」 情報格差が拡大している。一方に良質の情報を選択的に豊かに享受している「情報貴族」階層がおり、他方に良質な情報とジャンクな情報が区別できない「情報難民」階層がいる。その格差は急速に拡大しつつあり、悪くするとある種の「情報の無政府状態」が出現しかねないという予感がする。このような事態が出来した理由について考えたい。 少し前まで、朝日、読売、毎日などの全国紙が総計数千万人の読者を誇っていた時代、情報資源の分配は「一億総中流」的であった。市民たちは右から左までのいずれかの全国紙の社説に自分の意見に近い言説を見いだすことができた。国民の過半が「なんとか折り合いのつく範囲」のオピニオンのうちに収まっていたのである。これは世界史的に見ても、かなり希有な事例ではないかと思う。 欧

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    corydalis 2011/09/17
    なんか迷走してるな。個人的欲望・保身欲求の集大成が結果的に陰謀論に見えるのであってってのはそういうもんだと思うが、これだけ機密費だとかスポンサー問題とかあって、世論操作が無いというのは幸せな脳だわな。