映画「二十四の瞳」の舞台となった香川県小豆島。東部にある小豆島町に50年近く暮らすA氏(74歳)の元に、怪しい電話がかかってきたのは2014年末のことだった。 電話口からは若い男の声。「X銀行本店のYと申します。重要なレターパックを送付しますので、お手数ですがご確認をお願いします」。X銀行はA氏のメーンバンクだった。 ほどなくして、電話で言われた通りレターパックが自宅に届いた。中には、「セキュリティー対策のためキャッシュカードを更新します」などと説明する書類と、個人情報取り扱いについての説明書、A氏の名前が印字された新しいカードが入っていた。別の書面には、「現在使っている暗証番号と、変更する番号を記入の上、手元にある古いキャッシュカードを同封して送ってください」。封筒にはX銀行のロゴも入っている。 住所は香川、消印は江戸川区 若い頃、金融機関に勤めていたA氏は不信感を抱いた。「キャッシュカ