日経デザインでは2011年12月号で、先代iPod nanoのアルミ表面処理に関して詳細な分析を行った。その時にはアルミの陽極酸化処理の前後に徹底した研磨処理を行うことで、キャンディーのようにつややかな面を作り上げていた。 アップルは今回、それとはまた別の手法でアルミの魅力を引き出そうと試みたのだ。一見すると、なにげないシンプルな板に見えるiPod touchだが、そこにはアップルが長年培ってきたアルミ加工技術の粋が余すところなく投入されている。本誌はリーディング・エッジ・デザイン代表で、慶応義塾大学教授の山中俊治氏の協力を仰いで製品を分解。また同氏のほかに金属加工に詳しい複数の技術者にも助言をもらいながら、iPod touchのデザインと金属加工の秘密に迫った。 徹底して磨き、念入りに梨地を入れる まずはその外観を見ていこう。一見すると、平面の板のエッジを丸くしただけの単純な形状に見える