(月報司法書士2023年7月号掲載) ゲームメカニクスで実社会を捉えてみる 筆者が翻訳した『ゲームメカニクス大全―ボードゲームに学ぶ「おもしろさ」の仕掛け』(著・G.エンゲルステーン&I.シャレブ/翔泳社)の第2版が発売された。ボードゲームのデザイン方法について203項目に分類・考察したもので、読み物というよりは辞典といったほうがよい。日本には同人(アマチュア)のボードゲーム作家が相当数いるものの、4000円以上もする技術専門書がこれほど売れるとは思っていなかった。デジタルゲーム業界や、大学のゲーム研究者などからも注目された模様だ。 この書籍は、ボードゲーム作家が新しい作品を作るときに参照したり、ボードゲーム愛好者が自分のお気に入りを分析したりするためのものである。専門用語が多く、ボードゲームの文脈でしか通用しないものも多いが、本稿ではいくつかピックアップして実社会での応用を考えてみたい。