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朝刊になくとも夕刊に。紙面になくともウェブに。日経になくとも朝日に。読売になくとも毎日に、産経になくとも東京新聞に。といった具合に、「多様化する働き方」という自由を感じさせるフレーズは、めでたくレギュラーの座をゲットした。 数年前までは頻繁に「社畜」やら「ブラック企業」という息苦しい言葉が飛び交っていただけに、「多様化する働き方」という言葉はなんともいとおしい。 しかし一方で、「多様化する働き方」(←何度も繰り返します!)は必ずしも、「いや~ほんと、自分のライフスタイルに合わせた働き方ができて最高!!!」という働き方にはなっていない。 むしろ会社側が「いや~ほんと、正社員にしなくてもいいし~、雇用義務を負う必要ないし~、安い賃金でいいし~、最高だね~!!!」と喜んでいるだけ。 働き方が「多様化」してるのではなく、「働かせ方」が多様化したのだ。 労働基準法、「40年に一度の大改正」 と、初っ
開校6年目。2024年度にようやく1~6年生がそろった新興の私立小学校が、名門校がそろう小学校受験の世界で大躍進を遂げている。 東京・世田谷に19年に開校した私立東京農業大学稲花(とうか)小学校(東農大稲花小)だ。東京23区内で59年ぶりに新設された私立小学校だが、驚くのはそれだけではない。24年度入試の志願者数は879人。募集枠72人に対して、12倍もの応募があったのだ。開校以来、志願倍率は10倍を下回ったことはない。 この数字がどれだけすごいかを裏付けるデータがある。 受験情報サイトを運営するバレクセル(東京・渋谷)によると、23年度の首都圏私立小の志願者倍率ランキング(男女合計編)で、東農大稲花小は11.1倍で3位だった。慶応義塾横浜初等部(横浜市)、東洋英和女学院小学部(東京・港)には及ばなかったものの、私立小の代名詞とも言える慶応義塾幼稚舎(東京・渋谷)を上回った。歴史も伝統もあ
4月上旬の週末、難攻不落で知られた小田原城は桜の時期を迎えた。「ここに住んで本当によかったね」。お堀沿いの桜並木をゆっくりと散策しながら、小木曽一馬さん(33歳)は1歳半の愛娘を抱く妻なつめさん(35歳)に語りかけた。 都内の企業に勤める共働きの小木曽夫妻が神奈川県小田原市にやってきたのは2021年秋。当初は都内のマンションを物色していたが、それぞれの職場で在宅勤務が増えたのを機に移住を決断した。 「自然が豊かな場所で、伸び伸びと子供を育てたい」。小田原はそんな夫婦の願いを実現する格好の街だった。山と海に囲まれ気候は温暖。街にはゆったりとした雰囲気が漂うが、東海道新幹線の停車駅で都心へのアクセスはいい。 夫妻が下見に不動産業者を訪れると、担当者は手慣れた様子で市内を案内してくれた。聞けば移住を検討する家族が引きも切らないのだという。実際に住んでみると、同じような境遇にある移住家族のコミュニ
この記事の3つのポイント IT技術者は転職のチャンスがあれば人生を変えるべき 人材不足が深刻化し、企業が中途採用を増やす今は好機 多重下請け構造で劣悪な労働環境からの脱却を 技術者、特に人月商売のIT業界で多重下請け構造に絡め取られ苦吟してきた技術者にとっては、人生を変える最大のチャンス到来だな。人生を変えるとは多少オーバーだが、要するに転職の好機がようやく巡ってきたのだ。この機を逃す手はないと思うぞ。それに、人月商売のIT業界はまもなく構造不況に陥り「死滅」に向かう。これは日本にとってめでたいことなので私は大歓迎だが、技術者にとっては地獄が始まる。だから、転職を急ぐべし。 何をもって今が転職の好機といえるのか。もはや説明するまでもないと思うが、いまだにぐずぐずしている技術者の背中を押すために少し書いておこう。何点かある。まず景気が完全に良くなったとはいえないものの、ましにはなった。少なく
業務用プリンターなどを手がけるローランドディージー(DG)。静岡県浜松市に位置する売上高540億円強の同社が今、日本のM&A(合併・買収)の歴史において最前線にいる。 経済産業省の企業買収指針とともに、相手先企業の経営陣が同意しなくてもM&Aを提案する「同意なき買収提案」が目立ってきた。ニデックや第一生命ホールディングスなど大企業も相次いで仕掛け始めたM&A手法の矢面に、ローランドDGが立っているからだ。 同社は米国の投資ファンド、タイヨウ・パシフィック・パートナーズの支援を受け、2024年2月にMBO(経営陣が参加する買収)を公表。その直後の3月、ブラザー工業が当初のTOB(株式公開買い付け)価格を上回る買い付け価格で、ローランドDGに対する買収提案を発表した。ブラザー工業は、ローランドDG取締役会の賛同を得ておらず、「同意なき買収提案」だった。 タイヨウ側は4月にブラザー工業を上回る買
この記事の3つのポイント 憲法が保障する人権について「宇宙の戦士」から考える 貢献度と発言力がリンクする考え方はとても危うい 極論への痛快な一撃「プライベート・ベンジャミン」 本コラムは時折担当の編集Y氏から「お題」を振られるのだけれど、今回は「連休の谷間に掲載なので、5月3日、憲法記念日ということで一つ」という指令が届いた。 実は、最近「人権」ということを考え続けている。というのも、ここ10年以上にわたって政権の側に属する政治家からあまりに人権をないがしろにする発言が続いているのを、いったいどう考えたものか、と思っているからだ。 試しにネットで「人権侵害 政治家」とニュースを検索してみよう。すると、出てくる出てくる、あの自由民主党議員の人権侵害発言のニュース……正直、彼女がなにを考えてあのような発言をしているのか、私には分からない。 私はいい加減ロートルのSFマニアなので、人権というとす
環境への影響が指摘されている有機フッ素化合物(PFAS)について、欧州で規制に向けた動きが強まっている。PFASをめぐっては、米3Mが2025年までに生産を全廃、米アップルも使用を制限すると発表している。一部では代替開発が進むが、使用は産業界全域に広がるため、置き換えは非現実的との声が根強い。 日本フルオロケミカルプロダクト協議会(FCJ)は、PFASを「唯一無二の化学物質」とする。種類は数千から1万2000程度ある。耐熱性や難燃性、電気絶縁性に非粘着性、撥水撥油性など多くの優れた特性を持ち、その万能ぶりから、半導体、電気自動車(EV)、燃料電池に至るまでありとあらゆる製品に使用されている。
NTTドコモが、リクルート出身の前田義晃副社長を社長に昇格する人事を固めたことが分かった。ドコモ発足以来、NTTグループのプロパー(生え抜き)社員以外がドコモ社長に就くのは初めて。ドコモは2022年、NTTコミュニケーションズ(NTTコム)とNTTコムウェアを子会社化して新体制となった。足元では、経済圏の拡大競争の出遅れや通信品質などの課題を抱える。非通信分野の経験が長い前田氏にバトンを渡し、成長を目指す。 「この令和の時代に珍しい熱い男」「(営業の)数字を厳しく求めてくる」 ドコモ社内からは前田氏のキャラクターについて、このような声が聞こえてくる。 前田氏は、プロパー社員がほとんどのNTTグループ幹部には珍しい転職組だ。リクルートを経て2000年、30歳の時にNTTドコモへ転職した。 前田氏が転職した当時のドコモは、iモード開始直後であり、飛ぶ鳥を落とす勢いがあった。前田氏はiモードチー
2018年に刊行した初の著書『学校の「当たり前」をやめた。』(時事通信社)が一躍ベストセラーとなった工藤勇一氏。当時、校長を務めていた東京都の千代田区立麹町中学校で「宿題廃止」「定期テスト廃止」などの改革を推進し、注目を集めた。20年に同校を60歳で定年退職した後、私立の横浜創英中学・高等学校の校長を4年間務めた(24年3月末日で退任、取材は在任中の同年3月)。横浜創英では「凸凹(でこぼこ)がある子が、凸凹があるままで卒業できる学校をつくろう」としたという。そんな工藤氏を、近著『発達障害大全』(日経BP)が話題の黒坂真由子がインタビューした。 昨年末に『発達障害大全』を工藤先生に献本して、すぐにご連絡をいただきました。横浜創英中学・高等学校で進めていたカリキュラム改革について教えていただき、「このようなカリキュラムであれば、発達障害の子たちが、定型発達(*)の子たちと同じ教室で学んでいける
この記事の3つのポイント 「オッペンハイマー」は映画館で見てこそ趣旨が伝わる 自然と人間社会との境界面で起こる事象の興味深さ マンハッタン計画とアポロ計画に見る科学と社会の関係 映画「オッペンハイマー」を見てきた。 原爆開発というシチュエーション以前に、映画として傑作だと思った。上映時間3時間で、一つもダレる場面がない。弛緩するカットもない。大変な緊張感で一気に見せられる。 なるほど、これは途中休憩を入れられないのも道理だ。高い緊張感を維持したまま一気に見ないと映画の意図したところが伝わらない。だから、この作品は映画館で見ることが絶対の条件だ。「ディスクが出たら買って見よう」「配信に入ったら見よう」と思っている方は、考えを変えてすぐにでも映画館に行きましょう。 「アマデウス」のサリエリとストローズ 映画の焦点は、あくまでロバート・オッペンハイマーの複雑な人間性と彼のたどった数奇な人生にある
4月27日、東京の神保町で作家の今村翔吾さんがスタートさせるシェア型書店「ほんまる」。写真はオープン直前の確認のため、今村さんとクリエイティブディレクターの佐藤可士和さんが店を訪れた様子。 書店の経営が苦しくなっている理由の一つに、本の値段が安すぎるという議論があります。これについて、今村さんはどうお考えでしょうか。 今村翔吾さん(以下、今村):僕は明確に「本の価格が安すぎる論者」です。ですから、このことについては積極的に発言したいと思っています。同業者と同業界では、この問題について意見を言いたがらない人の方が多いのですが、角川春樹さんも僕と同じ意見で、互いに共感し合っています。 作家、書店経営者 1984年、京都府生まれ。関西大学文学部卒業。ダンスインストラクター、作曲家、滋賀県守山市の埋蔵文化財調査員を経て、2017年に『火喰鳥 羽州ぼろ鳶組』で作家デビュー。18年『童神』(後に『童の
この記事の3つのポイント OpenAIが日本語LLMの開発を発表し、国産AI企業に波紋 KDDI傘下入りで話題のイライザCEOは動じず「むしろ安心」 投資対効果の高いカスタマイズ戦略でOpenAIと共存へ 米OpenAI(オープンAI)が4月15日、生成AI(人工知能)のコア技術である大規模言語モデル(LLM)を日本語に特化させると発表した。競争が激化する中、国産AI企業はオープンAI上陸の波紋をどう受け止め、今後の成長戦略をどう描くのか。東京大学発の生成AIスタートアップで、3月にKDDIグループ入りして話題を集めたイライザ(ELYZA、東京・文京)の曽根岡侑也代表取締役CEO(最高経営責任者)に話を聞いた。
この記事の3つのポイント 田原総一朗氏はジャーナリストとして60年以上活動してきた 今の若者を「空気を読み過ぎ、傷つきやすい」と田原氏は見る 戦争を知る世代として「自分の経験などを伝えたい」と主張する この4月15日で僕は90歳になった。多くの方に温かい祝福の言葉をいただき、ありがたいことだと感じている。誰よりも僕自身が、この年齢まで生きていること、まだ現役で仕事ができていることに驚いている。 これに合わせて、自伝的著書の新書『全身ジャーナリスト』を出版した。これまでも何冊か自伝的著書は出したが、今回は仕事仲間である倉重篤郎氏(毎日新聞客員編集委員)に構成をお任せし、一味違うものにできたと自負している。僕だけでなく、僕を知る多くの方々の田原総一朗評も載せているので、これまでにない著作になったと思う。 90歳になった僕の人生を少し振り返ってみたい。 もともとは文学青年で作家志望だった僕がその
「長く続けて摂る方が、 お客様の健康維持に役立ちます」──。 小林製薬の「紅麹コレステヘルプ(コレステヘルプ)」は、サプリメント形状の機能性表示食品だ。紅麹(こうじ)原料に含まれる機能性関与成分の米紅麹ポリケチド(モナコリンK)に、「LDL(悪玉)コレステロールを下げる機能があることが報告されている」のが売りだった。同社はコレステヘルプについて、毎日3粒(米紅麹ポリケチド2mgを含有)を長く続けて摂取することを推奨していた。 ところが、2024年1月以降、コレステヘルプを摂取した人が腎機能障害を呈し、死亡例や入院例が出ていることが発覚。3月31日時点で、死亡例が5人、入院例が143人に上っている。これまでのところ、1年以上摂取して死亡した例や数カ月摂取して入院に至った例などが報告されており、長く続けて取ったことが裏目に出たと推察される。現状、23年に同社の大阪工場(大阪市淀川区)で製造され
この記事の3つのポイント 今年は「ソフト老害」という言葉をよく見かける 「老害」は本人が自嘲気味に使っているのが特徴だ 根底には変えられない自分への「罪悪感」があるようだ またもや「老害」が話題だ。 昨年は「#老害意見」なるものがX(旧ツイッター)でトレンド入りしたが、今年は「ソフト老害」という、ちっとも“ソフト感”のないシビアな言葉を見かけることが増えた。 「老害意見」についてはこちら(「50歳過ぎたら「老害意見」 過度の若手信仰と使い捨て社会の末路)で書いたとおり、1人の男性が「老害意見かもしれないけど」と前置きして書いた投稿が、瞬く間に炎上、トレンド入りし、翌日に投稿者が謝罪する事態にまで発展した(以下、男性の投稿)。 「老害意見かもしれないけど、若い方は飲み会で年上の方におごってもらったら翌日の朝一番で対面でお礼を言いに行ったほうがいいと思います」。 一方、「ソフト老害」は、放送作
作家、書店経営者 1984年、京都府生まれ。関西大学文学部卒業。ダンスインストラクター、作曲家、滋賀県守山市の埋蔵文化財調査員を経て、2017年に『火喰鳥 羽州ぼろ鳶組』で作家デビュー。18年『童神』(後に『童の神』に改題)で角川春樹小説賞、20年『八本目の槍』で吉川英治文学新人賞、『じんかん』で山田風太郎賞、22年『塞王の楯』で直木賞を受賞。「くらまし屋稼業」シリーズ、『幸村を討て』『茜唄』『戦国武将伝 東日本編/西日本編』などベストセラー多数。21年に大阪府箕面市の書店「きのしたブックセンター」を事業継承。22年に一般社団法人「ホンミライ」を設立。23年、佐賀市に「佐賀之書店」を新規出店。24年3月からシェア型書店の「ほんまる」プロジェクトをスタート。4月に東京・神田神保町に1号店を出店予定(インタビュー写真:今 紀之)
インドネシアの首都ジャカルタで2月に開かれた「インドネシア国際モーターショー2024」は、電動化一色の様相を呈していた。ベトナムの電気自動車(EV)新興ビンファストが初出展して市場参入を表明。比亜迪(BYD)や上汽通用五菱汽車(ウーリン)をはじめとする中国EVが存在感を示すと、韓国・現代自動車も新たなEVの現地生産計画を打ち出した。 ■連載ラインアップ(予定) ・二輪王者ホンダ、電動化でも先頭走る インドネシアで挑むニーズ創出(今回) ・味の素は調味料だけにあらず 冷凍食品で挑むフィリピンの中間層開拓 ・GDPで日本を近く逆転へ データで見るASEANの潜在力 ・トヨタ、タイに会長肝煎りピックアップ 中国勢のEV攻勢にあらがう ・ASEAN消費を動かす「新興富裕層」 富裕層とは異なる堅実さ ・ASEANは消費地からイノベーションの地へ 新興勢に活躍の場
従業員の恋愛・出会いを支援する福利厚生の導入が進んでいる。 一昔前は社内恋愛も多く、社内の世話好きな人が仲人をしてカップルが誕生することは珍しくなかった。しかし、コンプライアンス(法令順守)やハラスメント意識が高まった今日、仲人役は身を潜め、プライベートについて話しづらい雰囲気すら漂う。 そんな時代の流れをくんで、人工知能(AI)が仲人役を担う恋愛マッチングアプリによる福利厚生が広がっている。Aill(エール、東京・港)が2021年11月に正式リリースした、企業専用マッチングアプリ「Aill goen(エールゴエン)」だ。独身従業員に向けたアプリで、出会いから交際開始までをAIがサポートする。利用料金は企業が全額負担するか従業員が一部負担するかなど、各企業が設定できる。 サービスを立ち上げた背景には、「仕事と家庭を両立したい人同士が出会える場」を創出したいという思いがあった。共働き夫婦の場
2025年国際博覧会(大阪・関西万博)まで1年を切った。建設の遅れや費用膨張への批判は強く、能登半島地震を機に中止を求める声も。万博の意義や魅力発信など機運醸成が宿題となるが、残された時間は限られている。 3月中旬、大阪市の人工島「夢洲(ゆめしま)」へ向かう地下トンネルを車で抜けて進むと、巨大な木造建築物が目の前に現れた。2025年4月に開幕する大阪・関西万博のシンボル「大屋根(リング)」だ。周囲ではクレーンがそびえ立ち、工事車両がせわしなく動き回る。リングは木造部分の約8割が完成している。 そんな現場から聞こえてくるのは、作業員の悲痛な声だ。夢洲では電気や上下水道が通っておらず、発電機などを使って作業が進む。一般の建築工事では、職人が休憩時間に自分の車の中で過ごすことが多いが、万博会場建設では、必要な物資を載せた運搬車や工事車両以外は、入ることができない。現場によっては、食堂まで徒歩で約
「このタイミングでのポイント付与条件の改悪は、商業道徳上いかがなものか」。クレジットカード決済による投資信託の積立購入(クレカ積立)を利用してきたある個人投資家は、SBI 証券と三井住友カードが3月22日に発表した、クレカ積立サービスのポイント付与条件見直しを受けて、憤りをあらわにした。 新NISA(少額投資非課税制度)特需の分捕り合戦を続ける金融業界。個人投資家にとって、銀行口座や証券口座からの引き落としと比べてポイント付与などの魅力があるクレカ積立は人気を集め、金融機関にとっても主戦場となった。一方で、過当競争による混乱も生じている。 金融商品取引業等に関する内閣府令が3月8日に改正されたことにより、クレカ積立の実質的な投資上限額が、これまでの1カ月当たり5万円から10万円へと引き上げられた。この改正は、ポイント還元率の高いクレジットカードで投信を積立購入する個人投資家にとっては朗報だ
この記事の3つのポイント 小林製薬の紅麹問題の影響が食品業界に波及 健康食品そのものの摂取を控える動きが広がる 中小企業では新商品の開発を諦めるケースも 小林製薬の「紅麹(こうじ)」原料を含む機能性表示食品の問題が食品業界に影を落としている。消費者が紅麹以外の健康食品も避け始め、各社で販売が苦戦。新商品開発をストップする企業も現れた。比較的安価に機能性をアピールできる制度だっただけに、中小企業への影響は大きい。 「半年近く一緒に頑張って商品を企画してきたが、土壇場で成約を断られてしまった」。大阪のある中堅食品メーカーで働く営業担当者は、顧客からの突然の発注取り下げに肩を落とす。 同社は健康食品などのODM(相手先ブランドによる設計・製造)を手掛け、近年は機能性表示食品の企画支援にも力を入れていた。小売事業者のプライベートブランド(PB)を手掛けるなど取引先は幅広い。 ところが小林製薬の紅麹
「失敗なく1回でパスしないといけない日程設定により、相当なプレッシャーがあったと思う」「縦割りで問題が起これば責任部署がつるし上げられる」「出来ないが言えない雰囲気がまだ残っている」 2023年、新車の安全性を確認する試験で多数の不正が発覚したダイハツ工業。弁護士らによる第三者委員会が同年12月にまとめた調査報告書には、社員らの苦しみと嘆きの声があふれていた。 これまでの調査で、25の検査項目で174の不正が明るみに出たが、その多くが、確実に認証試験に合格し、決められた開発日程を絶対に守ろうとするためのものだった。例えば、側面衝突時の安全性を確認する試験では、ドア部品に本来の仕様にない加工をした。前面衝突時の助手席の頭部の加速度を計測する試験では、試験による提出データを事前に用意したものに差し替えるなど、多岐にわたる不正が実行されていた。 ■連載予定 ※内容や順番は予告なく変更する場合があ
この記事の3つのポイント 日本のロケット開発のキーパーソンは旅客機も企画した ロケットと旅客機の開発チームの違いは「継続性」 私案・もし日本製の旅客機を開発するならば 経済産業省が3月27日に、大臣諮問機関の産業構造審議会で、航空機産業戦略を公表した。開発遅延を繰り返して最終的に開発中止になった旅客機「三菱スペースジェット(MSJ、旧MRJ)」の失敗を受けて、今後10年で官民合わせて4兆円の投資を行い、2035年以降に次世代国産旅客機の事業化を官民連携で目指すとした。 こういうニュースが流れると、私のところに質問が飛んでくることがある。「なんで日本は旅客機を造れないんですか。ロケットは飛ばせるのに何が違うんでしょうか」 一番単純な答えは、「ロケットは造り続けたから。旅客機は途中でやめちゃったから」というものだ。が、これではその意味が理解できない人も多いだろう。 自分はある程度、この件につい
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