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倫理学の検索結果1 - 40 件 / 58件

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倫理学に関するエントリは58件あります。 社会思想 などが関連タグです。 人気エントリには 『運が通れば道徳は引っ込む『不道徳的倫理学講義』』などがあります。
  • 運が通れば道徳は引っ込む『不道徳的倫理学講義』

    たとえば、高速道路に「たまたま」飛び出した人をはねて死なせてしまったとする。ドライバーは「注意して運転していれば避けられたはず」として、過失の度合いが図られる。 あるいは、通勤中、「たまたま」通り魔に襲われたとする。「過失」を無理やり探すなら、その道を選んでしまったことになるのだろうか。 この「たまたま」が厄介だ。 それまでの善行・悪行に関係なく、「たまたま」悪い目に遭う。悪い結果になっていないのは、偶然に過ぎないのに、結果が「たまたま」悪ければ、悪い原因が遡及される。 理想の世界では、善人には報酬が、悪人には報復が与えられる。災厄に見舞われた人には埋め合わせとする幸福が与えられる。 だが、現実は違う。善悪と幸不幸が同期しない。現実は、むしろ運に左右される。そのため、善悪を語る場から、運を排除しようとする。 宗教や神話は、「神意」や「天命」と呼ばれる神の意志=運命を取り入れ、前世や来世の因

      運が通れば道徳は引っ込む『不道徳的倫理学講義』
    • 玉手慎太郎『公衆衛生の倫理学』 - 西東京日記 IN はてな

      新型コロナウイルスの感染拡大の中で、まさに本書のタイトルとなっている「公衆衛生の倫理学」が問われました。外出禁止やマスクの着用強制は正当化できるのか? 感染対策のためにどこまでプライバシーを把握・公開していいのか? など、さまざまな問題が浮上しました。 そういった意味で本書はまさにホットなトピックを扱っているわけですが、本書の特徴は、この問題に対して、思想系の本だと必ずとり上げるであろうフーコーの「生権力」の概念を使わずに(最後に使わなかった理由も書いてある)、経済学、政治哲学よりの立場からアプローチしている点です。 そのため、何か大きなキーワードを持ち出すのではなく、個別の問題について具体的に検討しながらそこに潜む倫理的な問題を取り出すという形で議論が展開しています。 そして、その議論の過程が明解でわかりやすいのが本書の良い点になります。 「これが答えだ!」的な話はありませんが、問題点が

        玉手慎太郎『公衆衛生の倫理学』 - 西東京日記 IN はてな
      • 権威主義はびこるダークな世界で、エリート主義な「徳倫理学」が流行る「意味と危うさ」(稲葉 振一郎) @gendai_biz

        今月、老舗有斐閣から新著『社会倫理学講義』を刊行させていただく。これは大学学部レベルの倫理学の教科書、つまりはマスコミや公務員試験レベルにもだいたい対応する教養書として使われることを意図して書いたものである。 本書の背後には、自分で書きやすくするために、そしてそれを読み解ける・なんとなく察せる読者のためにはわかりやすくするために、ある種のストーリーと言うか、物語を潜ませている。このような物語を設定することは、本当は哲学的な探究を進める際には、話を見えやすくする効能以上に、むしろつまずきの石となったり目隠しになったりする危険が大きいのかもしれない。 だが本書は初学者のための概論的入門書ということで、不正確でも大きな見取り図をとりあえず提供するのが趣旨であるので、ここでは危険については敢えて目をつぶっていただきたい。その見取り図をたどっていくと、近代において発展してきた「人間の平等」という考え

          権威主義はびこるダークな世界で、エリート主義な「徳倫理学」が流行る「意味と危うさ」(稲葉 振一郎) @gendai_biz
        • 【翻訳希望!】『資本主義の倫理学』 - 道徳的動物日記

          The Ethics of Capitalism: An Introduction (English Edition) 作者:Halliday, Daniel,Thrasher, John Oxford University Press Amazon さきほどの記事で書いたように、この4月は引越しに伴う作業と会社の仕事とでなかなか読書・執筆の時間が取れなかった。……とはいえ、そんななかで日々の楽しみを提供してくれたのが、The Ethics of Capitalism : An Introduction (『資本主義の倫理学:入門』)。 出勤前や会社の仕事が終わった後などに時間を見て1章ずつ読んでおり、まだ11章と12章も読んでいないのだけれど、どの章も議論の内容が実に明晰に整理されていて、読むたびに思考や気持ちがスッと落ち着いていった。常々思うのだが、良質な哲学書や入門書・解説書って鎮静

            【翻訳希望!】『資本主義の倫理学』 - 道徳的動物日記
          • 戦争倫理学への補注 - shinichiroinaba's blog

            今日びの動向を見ながら近刊予告 - shinichiroinaba's blogへの補足を試みる。 ==================== 『社会倫理学講義』で戦争倫理学についても少しだけ論じたが、そこではあまりはっきりと立場を打ち出せなかったので、このウクライナ戦争を前にもう少しはっきりさせようと思う。 そこで我々はリベラリズムの政治哲学と矛盾しないリベラルな戦争観とでも言うべきものをおずおずとながら提示した。その要点は結局のところ「戦争と平和の区別をはっきりつける」とでも言うべきものだったかと思う。戦争そのものを悪として否定し、なくすべきだという議論は提示しなかった。実際問題としてときに暴力は噴出し、暴力を用いた紛争は現実に起きてしまうものなので、いかにそれを抑え込み、管理するかという方向で議論を進めた。戦争を絶対に否定すると、実際に起きてしまった戦争を前にそれをあたかも絶対悪である

              戦争倫理学への補注 - shinichiroinaba's blog
            • 「インテリ的暴力性マシマシ」ウィトゲンシュタイン特攻服にシビれる皆さん「この特攻が倫理学である」

              リンク Wikipedia ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタイン ルートヴィヒ・ヨーゼフ・ヨーハン・ヴィトゲンシュタイン(独: Ludwig Josef Johann Wittgenstein、1889年4月26日 - 1951年4月29日)は、オーストリア・ウィーン出身の哲学者。イギリス・ケンブリッジ大学教授となり、イギリス国籍を得た。以後の言語哲学、分析哲学に強い影響を与えた。 ケンブリッジ大学トリニティ・カレッジのバートランド・ラッセルのもとで哲学を学ぶが、第一次世界大戦後に発表された初期の著作『論理哲学論考』に哲学の完成をみて哲学の世界から距離を置く。その後、オ 120 users 97

                「インテリ的暴力性マシマシ」ウィトゲンシュタイン特攻服にシビれる皆さん「この特攻が倫理学である」
              • 高知工科大学特別講義「理工系学生のための現代倫理学入門のこころみ」 - shinichiroinaba's blog

                理工系学生のための現代倫理学入門のこころみ (2021年2月12日 高知工科大学講義「日本人の教養」用原稿) 稲葉振一郎(明治学院大学) 1.長めの導入 文系科目――人文科学とは? 高校科目の「倫理」は大体道徳を中心とした日本思想史、東洋思想史、西洋思想史をざっと眺めたうえで、現代哲学を道徳哲学=倫理学中心に瞥見し、それにプラスして青年心理学をちょこっと、という変な構成になっている。こんな風になったのにはそれなりに理由があるのだが、それには触れない。 高校時代の地歴公民――昔の社会科というのは変な構成になっている。高校数学は大学以降の数学の準備であり、高校理科の物理・化学・生物もおおむね大学以降の物理学・化学・生物学の準備段階である。しかし高校地歴公民は? 地歴から行こう。世界史・日本史は一応大学以降の歴史学の準備になっていなくもない。しかし地理は大学の学問としての地理学への準備というわけ

                  高知工科大学特別講義「理工系学生のための現代倫理学入門のこころみ」 - shinichiroinaba's blog
                • はるか未来の人々の生活を向上させるため、いま何をすべきかをあらためて考える──『見えない未来を変える「いま」――〈長期主義〉倫理学のフレームワーク』 - 基本読書

                  見えない未来を変える「いま」――〈長期主義〉倫理学のフレームワーク 作者:ウィリアム・マッカスキルみすず書房Amazonこの『見えない未来を変える「いま」』は、現在シリコンバレー界隈などで人気の高い「長期主義(Longtermism)」という思想について書かれた一冊だ。著者はオックスフォード大学哲学准教授にして『〈効果的な利他主義〉宣言!』などで知られるウィリアム・マッカスキルで、主に倫理・道徳哲学の観点から長期主義について、またこの主義に基づくなら、われわれ個人と現代文明は、はるかな未来に向かって何をすべきなのか(あるいは、何をしないべきなのか)を考察していくことになる。 長期主義には現在批判も出ているが、個人的にはおもしろい観点だと思った。長期主義的観点に立つからこそ出てくる問いかけもあり、そこには独創性がある。 長期主義とは何なのか? 長期主義が何なのかといえば、次のような意味になる

                    はるか未来の人々の生活を向上させるため、いま何をすべきかをあらためて考える──『見えない未来を変える「いま」――〈長期主義〉倫理学のフレームワーク』 - 基本読書
                  • Daily Life:『はじめての動物倫理学』読書ノート

                    September 06, 2021 『はじめての動物倫理学』読書ノート 田上孝一さんの『はじめての動物倫理学』は、動物倫理の分野を概説するおそらく最初の新書であり、この分野の存在を多くの人に知らしめたという意味で、大変画期的な本だと思う。 以下では主にわたしが同意できない点や疑問に思う点を中心に記述していくが、その前に本書の良いところをいくつかあげておこう。 まず、全体として非常に読みやすい。ときどき「広く観念されている」(p.107)といった耳慣れない表現が出てきたりするものの、全般に難解な表現は極力避けられている。また、いろいろ留保をつけずに言い切る形で論述されているところが多いのも、立場が鮮明であるという意味で本書の美点である。動物の権利論がいろいろな問題をどうとらえるかについて、田上さんなりの一貫した視点を提供しているのも本書のよいところである。 第一章の倫理学理論の整理はスタン

                    • 「宇宙倫理学」がないと、世の中は困るのでしょうか?

                      京都大学宇宙総合学研究ユニット特定助教、科学哲学者。1986年、長野県生まれ。一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程単位取得退学。一橋大学大学院非常勤講師などを経て現職。 澤本嘉光さんを導き手に、世の中に潜む「異人」を巡り歩く「異人探訪記」。今回は「宇宙倫理学」をテーマに、「京都大学宇宙総合学研究ユニット」(以下、宇宙ユニット)の清水雄也先生をお訪ねしています。進行役の清野由美です、よろしくお願いいたします。ところで、清水先生は「先生」と呼ばれるのが苦手とか。 清水雄也さん(以下、清水):はい。どうかやめてください(笑)。 承知しました。まずは、宇宙倫理という未知の領域に入り込む前に、澤本さんと清水先生、いや、清水さんとのなれそめからうかがってもよろしいでしょうか。 澤本嘉光さん(以下、澤本):2016年に電通が社内横断組織の「宇宙ラボ」というものを立ち上げました。簡単に言うと、宇宙開発技

                        「宇宙倫理学」がないと、世の中は困るのでしょうか?
                      • 「はじめての動物倫理学」田上孝一氏|著者インタビュー

                        タイトルの「動物倫理学」という聞き慣れない言葉に、動物の福祉のこと? と思った人は多いのではないか。 「動物の福祉とは、動物を人間の手段として利用することを前提にしながらも、出来る限り思いやりのある扱いをする、そのためにはどうしたらいいか、というものです。一方、動物倫理学は、動物の権利を主張し、擁護します。この荒唐無稽にも思える主張が、いま一定の広がりを見せているんですね。前者が人間が主体で動物を何とかしようという発想であるのに対し、後者は動物が主体。2つは似て見えますが、根本が違うんですよ」 本書は、世界的には確立されている学問分野である動物倫理学の、一般向けに書かれた初の入門書。オビに書かれた「肉を食べるのはもうやめよう」というセンセーショナルな文言とも相まって、今、大きな話題を呼んでいる。 「もともとは動物に関心があったわけではなく、大学で講義をするにあたり改めて動物の問題や歴史につ

                          「はじめての動物倫理学」田上孝一氏|著者インタビュー
                        • ジョセフ・ヒース&キャサリン・リオックス「進化倫理学の最新トレンド:緑髭効果!」要旨&序論|WARE_bluefield

                          ジョセフ・ヒース&キャサリン・リオックス「進化倫理学の最新トレンド:緑髭効果!」要旨&序論 〔本エントリは、ジョセフ・ヒース&キャサリン・リオックスの共著論文"Recent trends in evolutionary ethics: greenbeards!"の冒頭のアブストラクトと序論の意訳・要約である。重要な部分はなるべく拾って文章化しているが、あくまでも意訳・要約であることを留意した上で読んでいただけると幸いである〕 Recent trends in evolutionary ethics: greenbeards! Joseph Heath · Catherine Rioux 要旨 近年、進化倫理学者の間では、「弱い」互恵性メカニズムに基づく協力の仕組み(例えば“tit-for-tat(しっぺ返し)")は、スケーラビリティ(拡張可能性)に欠けるので、人間の“ultrasocial

                            ジョセフ・ヒース&キャサリン・リオックス「進化倫理学の最新トレンド:緑髭効果!」要旨&序論|WARE_bluefield
                          • やっぱり恋愛には"能力"が必要だよね(読書メモ:『性の倫理学』) - 道徳的動物日記

                            現代社会の倫理を考える〈12〉性の倫理学 (現代社会の倫理を考える (12)) 作者:田村 公江 発売日: 2004/12/01 メディア: 単行本 基本的にはあまり面白くもなく、参考にもならない本だ。 日本の応用倫理というものは古びるのが異様に早くて、90年代やゼロ年代の前半に出た本はもう使いものにならない場合がある。このシリーズを監修している加藤尚武の応用倫理の本も、いまとなってはキツいことが多い。ここでいう「古さ」とは理論や学説の古さではなくて、感性の古さである。現在の人々が規範的な問題を扱うときに発揮されるような慎重さや目配りや配慮というものが、一昔前の本にはまったく欠けていたりするのだ。 また、この本は「倫理学」の本でありながらも、土台となる発想がフロイトやラカンなどの精神分析であるところがよくない。人間の思想や行動についての精神分析の説明が正しいとは限らない……というか、精神分

                              やっぱり恋愛には"能力"が必要だよね(読書メモ:『性の倫理学』) - 道徳的動物日記
                            • 異星人と遭遇したら? 京都大が「宇宙倫理学」、一般から参加者募る:朝日新聞デジタル

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                              • 倫理学の理論や知識と、実際の生活との齟齬や乖離について(読書メモ:『哲学者とオオカミ』) - 道徳的動物日記

                                哲学者とオオカミ―愛・死・幸福についてのレッスン 作者:マーク ローランズ 出版社/メーカー: 白水社 発売日: 2010/04/01 メディア: 単行本 哲学者である著者がオオカミの子どもを引き取って「ブレニン」と名付けて、アメリカやアイルランド、イギリスにフランスと居住地を変えながらもずっとブレニンと暮らし、ついにブレニンが臨終する際までの生活の記録…を軸としながら、ブレニンとの交流や観察を通じて培われた著者の思索の記録もふんだんに書かれており、様々なテーマについての哲学的エッセイという趣もある本だ。 オオカミを観察することによって動物と人間との違いを再認識して、そこから「人間とは何か」「愛とは何か」「文明とは何か」といったことを改めて考えていく、という構成である。また、哲学のなかでも「道徳」や「幸福」や「人生の意味」など、倫理学的なテーマについての思索が中心となっている。 なにかしら

                                  倫理学の理論や知識と、実際の生活との齟齬や乖離について(読書メモ:『哲学者とオオカミ』) - 道徳的動物日記
                                • 「非常に悪質」“スポーツ倫理学の権威”友添・元早大教授の「パワハラ報告書」入手 | 文春オンライン

                                  昨年10月末、早稲田大学スポーツ科学学術院教授を退職した友添秀則氏(64)が、在職期間中にパワハラを行っていたと認定されていたことがわかった。早大の調査報告書を「週刊文春」が入手した。 友添氏は2000年に早大教授に就任し、同大学スポーツ科学学術院長や理事を歴任。 「スポーツ界で暴力事件やパワハラ問題が起きると、メディアに登場して指導者の倫理や組織のガバナンスの重要性を説いてきた、スポーツ教育学・倫理学の権威で、この分野の第一人者です」(全国紙記者) だが、2019年末、匿名の内部告発によって友添氏のパワハラ疑惑が発覚する。大学の査問委員会で処分が検討されていたが、友添氏は決定の前に「自己都合」を理由に退職した。その後、JOC常務理事は退任したものの、現在もスポーツ庁スポーツ審議会の会長代理、スポーツ教育学会や日本体育科教育学会の会長を務めている。 「大学側は教授会からの説明要求を拒否し、

                                    「非常に悪質」“スポーツ倫理学の権威”友添・元早大教授の「パワハラ報告書」入手 | 文春オンライン
                                  • 環境を美的に鑑賞するということ――環境美学と環境倫理学との対話/青田麻未×吉永明弘 - SYNODOS

                                    シリーズ「環境倫理学のフロンティア」では、環境倫理学の隣接分野の研究者との対話を行っていきます。第一回目は「環境美学×環境倫理学」として、若手の環境美学の研究者である青田麻未さんと対話を行いました。 今回のテーマである「環境美学」について、青田さんにお聞きしたところ、以下のような説明をいただきました。 「環境美学とは、1960年代後半から1970年代ごろ、イギリス・アメリカ・カナダといった英語圏で、現代美学の一分野として興ったものです。その背景には、当時の美学が自然美論を無視していたこと、そして、社会において環境問題への関心が高まったことがありました。当初は原生自然と言われる、手つかずの自然が持つ美的価値について、中心的に議論していました。しかし現在では、人間が住む環境も含めた幅広い環境において、私たちの感性がいかに働くのかについて、多角的に論じる分野へと成長しています。」 青田さんは、今

                                      環境を美的に鑑賞するということ――環境美学と環境倫理学との対話/青田麻未×吉永明弘 - SYNODOS
                                    • 「攻めの倫理」と「守りの倫理」(『ふだんづかいの倫理学』読書メモ) - 道徳的動物日記

                                      ふだんづかいの倫理学 (犀の教室Liberal Arts Lab) 作者: 平尾昌宏 出版社/メーカー: 晶文社 発売日: 2019/03/12 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 前回の記事でも言及した内容とはまた別口で、『ふだんづかいの倫理学』を読んで考えたことについて書く。 この本の後半の特徴は、倫理学の内容を「守りの倫理(消極的倫理)」と「攻めの倫理(積極的倫理)」に分別していること。義務論的な倫理や社会の調整を行ってマイナスを減らすための「正義」に関する倫理は守りの倫理に、目的論な倫理や個人がより善く生きるための「自律」に関する倫理は積極的倫理に分類される。 倫理というものを「正しさ」に関わるものとイメージしている人は、倫理は人を縛る法のようなものだと感じるでしょう。一方、倫理を「善さ」のためのものだとする人にとっては、倫理は単なる法じゃありません。それ以上のものを倫

                                        「攻めの倫理」と「守りの倫理」(『ふだんづかいの倫理学』読書メモ) - 道徳的動物日記
                                      • 「つくられた自然」の何が悪いのか――「自然再生事業」の倫理学/吉永明弘 - SYNODOS

                                        今年の夏もひどく暑かった。この暑さと人が排出したCO2の蓄積との因果関係などについては私には判断がつかないが、都市部の暑さの原因には人為的な要素が明らかにある。舗装道路の照り返し、エアコンの排熱、緑地の少なさなどは、少なくとも体感レベルには大きな影響を与えていると思う。地球規模の話をしなくとも、現在のこのような環境は人間が生み出している部分があることは否定できないだろう。 私の専門分野は環境倫理学であり、特に「都市の環境倫理」について考えている。現在、多くの人々は都市に住んでおり、都市環境とは我々にとっての住み場所としての環境である。都市は自然と対立させられ、都市=自然がない地域と表象されることもあるが、それは誤りである。都市部にも自然が存在する。そして都市部の自然こそこれから維持していかなければならないものなのだ。 このような問題意識を背景にして、『現代思想』(青土社)の9月号の「特集=

                                          「つくられた自然」の何が悪いのか――「自然再生事業」の倫理学/吉永明弘 - SYNODOS
                                        • 動物倫理学はいま何を考えるべきか? - 集英社新書プラス

                                          ベジタリアンやビーガンといった言葉をよく目にするようになりましたが、日本ではまだ「一部の極端な変わった人」とする風潮があるなか、この春、哲学・倫理学を専門とする研究者の田上孝一さんによる『はじめての動物倫理学』(集英社新書)が刊行されました。 本書は、倫理学の基礎解説から始まり、肉食やペットなど具体的なテーマを切り口に、いま求められる動物と人間の新たな関係のあり方を問う、動物倫理学の入門書です。 今回は、社会哲学の研究者である稲葉振一郎さんを、対談相手にお迎えしました。動物倫理学という新しい学問は理論的、実践的にどんな問題意識を共有しようとするものなのか、語り合いました。 ※3月31日に本屋B&Bさんで開催された配信イベントを記事化したものです。 ■種差別批判と動物の権利 田上 ちょっとした経緯があって、今回の『はじめての動物倫理学』が発売された3月17日に、講談社のウェブマガジン「現代ビ

                                            動物倫理学はいま何を考えるべきか? - 集英社新書プラス
                                          • 見えない未来を変える「いま」 | 〈長期主義〉倫理学のフレームワーク | みすず書房

                                            「タイムトラベルの物語では、過去の小さな行動が現在の極端な変化につながることが多い。しかし、今日の小さな行動が、未来に劇的な影響を及ぼす可能性について考えることはめったにない」(本文より) 本書の主眼は、こんな可能性を真剣に捉えるべき理由を提示することだ。そしてさらに、いまを生きる一人ひとりが「いますぐ」行動するよう説得することにある。 気候変動、高度なAIや全面核戦争がもたらす脅威・リスクについて、できるだけ正確なデータ、〈長期主義〉的フレームワーク、そして数学的ツールで詳細に検討し、数世紀から100万年先までの不確実な未来の形をできるだけ正確に描き出していく。そのうえで、「そもそも人類の絶滅は悪いことなのか?」「幸福とは何なのか?」といった根源的な問いにまで踏み込むことで、議論は深みを増している。 科学をはじめ、歴史、哲学と使える知見は何でも使い、熱意にあふれた筆致で読者を巻き込んでい

                                            • 読書メモ:『意志の倫理学:カントに学ぶ善への勇気』 - 道徳的動物日記

                                              意志の倫理学――カントに学ぶ善への勇気 (シリーズ〈哲学への扉〉) 作者:秋元康隆 発売日: 2020/01/27 メディア: 単行本(ソフトカバー) カント「哲学」の入門書は数あれど、カント「倫理学」の入門書はほとんど存在しないので、この本は実にありがたい。 こっちは「倫理学の本でいつも出てくる"義務論"ってカントの議論に基づいているらしいけれど、具体的にはどういうことなのだろう?」ということを知りたくて入門書を探しているのに、カント「哲学」の入門書だとアンチノミーとか空間論や時間論とか、倫理とあまり関係なさそうな部分の解説がセットでついてきてしまうので、読んでいてまだるっこしかったのだ。 特定の理論に限定しない倫理学全般の入門書ではカント的な義務論が功利主義や徳倫理と並べて紹介されることが多いが、紙幅の都合などから「それぞれの倫理学理論はどのような問題意識を背景にしており、どういう理路

                                                読書メモ:『意志の倫理学:カントに学ぶ善への勇気』 - 道徳的動物日記
                                              • 表現と行為:表現行為論、芸術と政治、芸術倫理学 - Lichtung Criticism

                                                はじめに 表現を用いて行為を行うとはどういうことか。本稿では、J・L・オースティンの『言語と行為』における言語行為論を拡張した「表現行為論」のスケッチを行う。表現行為論は、「発表行為」「発表内行為」「発表媒介行為」の三つの概念を軸に、芸術作品や表現一般を用いた行為を分析する。本稿では、表現行為論の素描ののち、芸術作品や表現一般がいかにうすくとも持ちうる行為としての側面に注目することで、それらがある種の政治とは切り離し難いものであることを指摘する。そして、表現行為論から、芸術表現の倫理を問う「芸術倫理学」の思考可能性を議論し、さいごに、表現行為論に代表される哲学、美学における概念が実践にどのような寄与をなしうるのかについてふれる。 はじめに 1. 言語行為から表現行為へ*1 2. 表現行為論––––発表行為、発表内行為、発表媒介行為 3. 芸術と政治の切り離せなさ 4. 芸術倫理学の試み 5

                                                  表現と行為:表現行為論、芸術と政治、芸術倫理学 - Lichtung Criticism
                                                • 倫理学講話

                                                  私のテーマについてお話しする前に、二、三の導入を述べさせてください。私の思想を皆さんに伝えることに、私は大きな困難を感じていますが、それを前もって皆さんに述べておくことで、いくらか困難を軽減できると思うからです。困難の第一は、言うまでもないことですが、英語は私の母国語ではありません。従って、難しいテーマについて語るときに望まれる正確さと微妙なニュアンスが、私の表現には欠ける場合が多いのです。私としては、私が英語の文法について犯す多くの間違いにめげず、私が意味するところを努めて理解するよう、皆さんにお願いするほかありません。そうしていただければ、私もやりやすくなると思います。第二の困難は、おそらく多くの方が、幾分間違った期待を抱いてこの講話に参加されていることです。この点に関する皆さんの思い違いを訂正するために、私がテーマを選んだ理由を少し話しましょう。本協会の前任の主事の方から、光栄にも講

                                                  • 近内悠太 著『利他・ケア・傷の倫理学』より。自己変容とは、物語文の予期せぬ改訂の別名である。 - 田舎教師ときどき都会教師

                                                    やさしさの一人相撲から、二人相撲へ。 あなたと私が関わることで、私自身が変容する。私自身が救われることになる。 そんな理路を、一緒に進んでいってもらえたら。 (近内悠太『利他・ケア・傷の倫理学』晶文社、2024) こんばんは。昨日、勤務校のお別れの会があり、何人かの同僚が職場を去って行きました。花に嵐のたとえもあるさ、さよならだけが人生だ。とはいえ、 寂しい。 そんなふうに思えるのは、近内悠太さんいうところの理路を、パーシャルとはいえ一緒に進むことができたからかもしれません。あなたと私が関わることで、私自身が変容する。マルティン・ブーバーの『我と汝』を想起させるこの理路を、クラスの子どもたちにも進んでいってもらえたら。ケアが混ざり合う教室で、変わっていってもらえたら。 嬉しい。 利他・ケア・傷の倫理学 作者:近内悠太 晶文社 Amazon 近内悠太さんの『利他・ケア・傷の倫理学』を読みまし

                                                      近内悠太 著『利他・ケア・傷の倫理学』より。自己変容とは、物語文の予期せぬ改訂の別名である。 - 田舎教師ときどき都会教師
                                                    • 倫理学は割り切れなさの中で「よく生きる」ためのもの ジュンク堂書店員さんおすすめの本|じんぶん堂

                                                      記事:じんぶん堂企画室 「よりよく生きる」の内実は一人一人違うもの 書籍情報はこちら 本当に大事なものを選り分ける 倫理学というと、善悪を判断するもの、道徳的な生き方を志すためのもの、という窮屈なイメージを持っている人が多いのではないかと思います。 何か倫理学的な問題を考えるにしても、例えば思考実験などでよく挙げられるトロッコ問題という、こちらを選べば5人は助かるが1人は死んでしまう、もう一方を選べばそれの逆になる、さて、あなたはどちらを選ぶかという問いがありますが、疑問に感じる人も多いのではないでしょうか。 どちらが何々主義で、こういう思想に基づいている、と説明されたとしても、それによりじゃあ私はこちらが正しいと思えるのか、と。 かくいう私もそうやって、善悪についての論争ではなく、もっと自由で明るく、生活に根差した話が聞きたい、と倫理学を避けてしまうのが常でしたが、今回紹介する3冊を読ん

                                                        倫理学は割り切れなさの中で「よく生きる」ためのもの ジュンク堂書店員さんおすすめの本|じんぶん堂
                                                      • Amazon.co.jp: ふだんづかいの倫理学 (犀の教室Liberal Arts Lab): 平尾昌宏: 本

                                                          Amazon.co.jp: ふだんづかいの倫理学 (犀の教室Liberal Arts Lab): 平尾昌宏: 本
                                                        • "文学的" な哲学のリスク(読書メモ:『若者のための<死>の倫理学』) - 道徳的動物日記

                                                          若者のための死の倫理学 作者: 三谷尚澄 出版社/メーカー: ナカニシヤ出版 発売日: 2013/01/01 メディア: 単行本 クリック: 2回 この商品を含むブログ (1件) を見る なかなか感想を書くのが難しい本である。 テーマは「死」となっており、身近な人が亡くなる場合についての事例や「自分が死んだ後に何が残るのか」というトピックにも触れられているが、ひろく「人生の意味」全般についても論じられている本ではあった。また、「人生の意味」に関連して「幸福」について間接的に触れられている箇所もある*1。 この本の終盤では、著者は主にハイデガーの「ゲシュテル」論に依りながら、我々はいま生きている人生の不毛さから目を背けるためにいかに浅薄で空虚な理屈により意味付けを行い続けてしまっているか、ということを論じている。そして、理屈によって人生の意味付けをするのではなく、日々を生きる中でたちあらわれ

                                                            "文学的" な哲学のリスク(読書メモ:『若者のための<死>の倫理学』) - 道徳的動物日記
                                                          • 『ロボットからの倫理学入門』(名古屋大学出版会) - 著者:久木田 水生,神崎 宣次,佐々木 拓 - 草野 原々による書評 | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS

                                                            著者:久木田 水生,神崎 宣次,佐々木 拓出版社:名古屋大学出版会装丁:単行本(200ページ)発売日:2017-02-28 ISBN-10:4815808686 ISBN-13:978-4815808686 内容紹介: 自動運転車やケア・ロボット、自律型兵器などが引き起こしうる、もはやSFでは済まされない倫理的問題を通し、人間の道徳を考える、知的興奮に満ちた入門書。「本書には、ロボットやAIという新しい隣人たちとつきあう上で参考となる倫理学の知恵がつまっている」――伊勢田哲治。 ロボットにおける倫理的問題と、思考実験の実践例としてのSF本書は、人間の新たな隣人であるロボットをテーマにして、倫理学における議論を紹介したものである。タイトルに「入門」と書かれているように、ロボット倫理学の現状を紹介するだけでなく、倫理学の主な議論を学ぶことができるという贅沢な作りになっている。ここでは、全体の構

                                                              『ロボットからの倫理学入門』(名古屋大学出版会) - 著者:久木田 水生,神崎 宣次,佐々木 拓 - 草野 原々による書評 | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS
                                                            • 読書メモ:『不道徳的倫理学講義-人生にとって運とは何か』 - 道徳的動物日記

                                                              不道徳的倫理学講義: 人生にとって運とは何か (ちくま新書) 作者: 古田徹也 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 2019/05/07 メディア: 新書 この商品を含むブログを見る 西洋の倫理思想史の中でも「運」について言及している哲学者たちの思想を取り上げて、論じている本。 本全体のページ数のうちおよそ半分以上を古代ギリシャの思想の話題が占めており(『オイディプス』などの文学作品、プラトン、アリストテレス、ストア派)、近代の思想家に割かれている紙面は比較的少ない。これには、西洋の倫理思想では近代になるに近づくにつれて「運」の問題が取り上げられることが少なくなった(しかし、現代になって再び脚光を浴びている)という事情が表れている。 基本的には思想史の本なのだが、第10章とエピローグではバーナード・ウィリアズを中心に『グレート・ギャツビー』などの文学作品も取り上げながら、現代に生きる私

                                                              • 京都大学大学院文学研究科 応用哲学・倫理学教育研究センター

                                                                ヒトクローンは法律で禁止されていますが、なぜなのでしょうか。 カズオ・イシグロが『わたしを離さないで』で描いたように、臓器提供を目的としたクローン人間作製はその個体の尊厳を傷つけ、許されるものではないと思います。しかし、子どもを産めない人が、生殖医療としてその技術の恩恵に預かることについても、完全に門戸が閉ざされているという印象です。 クローンは、多くの人がイメージしているような核ドナーと全く同じ個体(成体)になる、ということはないと聞きました。であれば、子を授かるための生殖医療としても、検討されていいように思うのですが、そういう検討もなされているのでしょうか。 人のクローンが作られることへの漠然とした恐怖感は私も持っていますが、あまりに漠然としているので、根拠への理解を深めたく、質問をさせていただきます。 ご多忙のところ恐縮ですが、どうぞ、よろしくお願いします。 ご質問ありがとうございま

                                                                • 美学と倫理学の統合 - はてなブログ大学文学部

                                                                  道徳は社会がどうあるべきか、という問い立ててで、倫理学は個人はどう生きるべきか、という問いたてであることを僕は学んだ。 これは個人的なものではなく、普遍的な問い立てに思える。 そして、美学もまた普遍的な概念だと思われる。 というのも、美に対して人は個人差はあれども、何かしらの共通項を共有していると思われるからである。 そしてまた、美というものと倫理には共通点を感じる。 美しい行為、美しい生き方、と表現する際に、それが倫理的に思われるからである。 これを現実に反映する時に、美と倫理がお互いにどう作用し合うか、これについてはまだ議論が続いていると思われる。 僕はのちに統合されていくと感じる。 つづく

                                                                    美学と倫理学の統合 - はてなブログ大学文学部
                                                                  • 環境倫理学を学ぶ人のためのブックリスト[勁草書房10選] - けいそうビブリオフィル

                                                                    気候変動は年々深刻化し、昨年にはついに「地球沸騰化」という言葉まで登場しました。人新世、SDGs、生物多様性の価値といった言葉を耳にすることも多くなるなか、環境問題に対する倫理的な考察を行う「環境倫理学」に注目が集まっています。 現在、環境問題についての個別の処方箋がたくさん提案されていますが、それらをどう評価したらよいか迷うことも多いことでしょう。環境倫理学を学ぶことで、論点が整理でき、環境問題に対して社会がどう対応すべきなのかを、具体的に考えることができるようになると思います。 ここでは、環境倫理学を学ぶにあたって参考になる勁草書房の本を10冊紹介します。これらはいずれも環境倫理学ならではの論点を扱っていますので、環境問題に関する他の研究書とは異なる視点を得ることができます。まとめて読むことで、それぞれの本の理解も深まることでしょう。皆さんの本選びの参考になれば幸いです。[選書&紹介文

                                                                      環境倫理学を学ぶ人のためのブックリスト[勁草書房10選] - けいそうビブリオフィル
                                                                    • 「正しさとは何か?」 倫理学の入門書を3冊読んでみた【日記】

                                                                      倫理学(りんりがく)とは? 意味や使い方 - コトバンク 日本大百科全書(ニッポニカ) - 倫理学の用語解説 - 世間で通用している道徳をそのまま受容するのではなく、それについて哲学的な反省を加え、どのような原理に従って生きるのが真に道徳的な生き方であるかを 今年からワケあって倫理学をはじめてみた。 手始めに3冊の入門書を読んだ。 『入門・倫理学』 (赤林朗) 『現代倫理学入門』 (加藤尚武) 『「正しさ」の理由 「なぜそうすべきなのか?」を考えるための倫理学入門』(中村隆文) まだ入門書を読みかじったレベルで語れることは無に等しい。 だが私のように、倫理学の存在を知ることで救われる人がいるかも知れない。 また個人的な頭の整理を目的としたアウトプットでもある。 以上2つを目的とし、本記事をまとめる。 私は誰?(そして予防線) 40代半ばの都内在住会社員。高校卒業後は海外を放浪。よって学位も

                                                                        「正しさとは何か?」 倫理学の入門書を3冊読んでみた【日記】
                                                                      • 『「VTuberの倫理学」を検討する』の検討 ~「VTuber批評」の必要性~|バーゲンバーゲン

                                                                        はじめにこの文章では『青春ヘラ』Vol.7「VTuber新時代」に掲載されている論考『「VTuberの倫理学」を検討する──バーチャル・アイデンティティと「場」の形成』について、非アカデミックな立場から批評的な視点で検討を行う。 ペシミ:「VTuberの倫理学」を検討する──バーチャル・アイデンティティと「場」の形成 「VTuberの存在論」を考えた上で「VTuberの倫理学」が必要である、との思いから書かれた論考。VTuberに特有のアイデンティティをめぐった問題は、その複雑さからしばしば炎上や分断につながってしまいます。それらはなぜ起こるのかをVTuber特有の「身体性」の面から考え、解決方法をリレーショナル・アートとの比較から提示します。 青春ヘラver.7「VTuber新時代」内容紹介実はわたしも同じような問題意識を持っていた。 VTuberたちは定期的に炎上するし、そうでなくても

                                                                        • 社会倫理学講義| 有斐閣

                                                                          ロボット・AIとの共存,動物との権利闘争は,人間がいかなる存在なのかを私たち自身にあらためて突きつけている。哲学,そして倫理学はそうした多種多様な問いに応えるべく文明の歩みとともに長く議論を紡いできた。第一人者による,講義形式の,体系的な入門書。 ※電子書籍配信中!*電子書籍版を見る* ※著者のウェブサイトにて,「第9回 政治哲学」より「現代戦争論」の抜粋と,戦争倫理学への補注が公開されています。 本文イラスト:Eika 第1回 倫理学とは何か? ──どのようなことが論じられるのか? 第2回 規範倫理学Ⅰ 功利主義 第3回 規範倫理学Ⅱ 権利論 第4回 規範倫理学Ⅲ 徳倫理学 第5回 メタ倫理学Ⅰ 表出主義 第6回 メタ倫理学Ⅱ 実在論 第7回 メタ倫理学Ⅲ 錯誤説と逆転説 第8回 現代倫理学のコンテクスト 第9回 政治哲学 第10回 応用倫理学Ⅰ 生命医療倫理学 第11回 応用倫理学Ⅱ 

                                                                          • 倫理学の入門書 | 江口某の不如意研究室

                                                                            前にも書いたんですが、学生様に倫理学の入門書ガイドを出す必要があって作ってみました。あんまりよい本がない…… ジェームズ・レイチェルズ『現実を見つめる道徳哲学』。お勧め。これ一冊で倫理学入門卒業も可。 しかし読みきるのはけっこう骨なので、同時に数冊読む必要があるかもしれない。柘植尚則『プレップ倫理学』。超初歩。レイチェルズ読む前に。児玉聡『功利主義入門』。倫理学がなんであるのかというのはこういうのの方がわかりやすいかもしれない。品川哲彦『倫理学入門』。よい入門だが、ちょっとクセがある。ジュリアン・バジーニ『ビッグクエスチョンズ・倫理』。まあ入門。『倫理学の道具箱』。事典みたいに読む。サンデル『これからの正義の話をしよう』。定番。エドモンズ『太った男を殺しますか?』。トロッコ問題に興味ある人に。ジョナサン・ハイト『しあわせ仮説』、『社会はなぜ左と右にわかれるのか』。倫理学というよりは道徳心理

                                                                            • 「アマルティア・セン講義 経済学と倫理学」アマルティア・セン - 手探り、手作り

                                                                              「アマルティア・セン講義 経済学と倫理学」アマルティア・セン 訳:徳永澄憲、松本保美、青山治城  ちくま学芸文庫 2016 原著は1987年。経済学は「倫理学」と「工学」の2つの起源を持つが、近代経済学が倫理的アプローチを排除してしまったために、現代の経済学は力を失ってゐる、経済学に倫理学の視点を導入して「道徳哲学としての経済学」を樹立する必要がある、と訴える。倫理学的起源はアリストテレスにまでさかのぼる。 (アリストテレスの「ニコマコス倫理学」に触れた上で)ここで注目すべきなのは、このアプローチには経済学の大きな基礎となる二つの核心的問題が存在することである。第一に、「人はいかに生きるべきか」という広義の倫理的問いにかかわる人間行動の動機の問題である。この関係を強調することは、人々が常に道徳的に行動すると考えることではないが、実際の人間行動において倫理的思慮がまったく無関係ではありえない

                                                                                「アマルティア・セン講義 経済学と倫理学」アマルティア・セン - 手探り、手作り
                                                                              • Amazon.co.jp: 「倫理の問題」とは何か メタ倫理学から考える (光文社新書): 佐藤岳詩 (著), Jody Asano (イラスト): 本

                                                                                  Amazon.co.jp: 「倫理の問題」とは何か メタ倫理学から考える (光文社新書): 佐藤岳詩 (著), Jody Asano (イラスト): 本
                                                                                • 読書メモ:『ベジタリアン哲学者の動物倫理入門』&『はじめての動物倫理学』 - 道徳的動物日記

                                                                                  ベジタリアン哲学者の動物倫理入門 作者:浅野 幸治 ナカニシヤ出版 Amazon はじめての動物倫理学 (集英社新書) 作者:田上 孝一 集英社 Amazon どちらも日本人の哲学者によって書かれた動物倫理学の入門書であり、同時期に出版された*1。基本的な構成はどちらも似ていて、動物の権利論をはじめとする「理論」が解説された後で、畜産・動物実験・コンパニオンアニマル・野生動物などの各場面における現状の問題の解説と「これからどうすべきか」という規範的な提言がなされている。 終章では、『ベジタリアン哲学者の動物倫理入門』ではキリスト教と仏教の考え方、『はじめての動物倫理学』ではマルクス主義の考え方に基づいて動物倫理のトピックが論じられており、ここのあたりに著者らのオリジナリティがあらわれていると言えるだろう。 また、『はじめての動物倫理学』では功利主義・権利論・徳倫理という規範倫理学の御三家の

                                                                                    読書メモ:『ベジタリアン哲学者の動物倫理入門』&『はじめての動物倫理学』 - 道徳的動物日記

                                                                                  新着記事