二〇〇六年の夏、一人のスターが誕生した。決勝再試合で田中将大に投げ勝ち、甲子園優勝投手となった斎藤佑樹。早稲田大学でも日本一に輝き、ドラフト一位で日本ハムに。だが、その輝きは失なわれつつある。あれから十年、ハンカチ王子に何が起きているのか。 東京都港区にある芸能人や政治家が住む高級ヴィンテージマンション。昼下がり、ポルシェに乗った北海道日本ハムファイターズの斎藤佑樹(28)が姿を現した。小誌記者が近づく。 ――週刊文春です。 一瞬目を見開き、左手を挙げた斎藤。いくつか質問をぶつけたが、記者とフロントガラスを交互に見て、目を泳がせるのみ。そして、窓を開けることなくハンドルを切って走り去った。 それから約三時間後、日本橋の出版社。社長は来訪を予期していたかのように「あ~、はいはいはい」と小誌記者を笑顔で社内に招き入れた――。 「人生最大の、一番幸せな日になりました」 斎藤の爽やかな笑顔