取調官の主張の誤りを指摘した内部メモ。「よくこんな(取調官の主張が載った)報告書が作成できるよな。どっちが犯罪者か分からん」などと記されていた=2024年3月19日午後0時8分、遠藤浩二撮影 化学機械メーカー「大川原化工機(おおかわらかこうき)」(横浜市)の社長らの起訴が取り消された冤罪(えんざい)事件で、警視庁公安部が不当な取り調べを行っていたと指摘する、内部メモが存在していることが判明した。大川原側が起こした国家賠償訴訟の1審・東京地裁判決(2023年12月)は取り調べの違法性を認め、東京都に賠償を命じ、大川原側、都側が控訴している。大川原側は近く公用文書毀棄(きき)と虚偽公文書作成の容疑で取り調べ担当の捜査員ら2人を刑事告発する方針で、刑事、民事両手続きで是非が争われる見通しとなった。 問題の取り調べは、軍事転用可能な装置を不正輸出したとして外為法違反容疑で逮捕された同社元取締役の島
判決を受け、記者会見する「大川原化工機」元顧問の相嶋静夫さんの長男=東京都千代田区で2024年3月21日午後2時半、宮武祐希撮影 化学機械メーカー「大(おお)川原(かわら)化工機(かこうき)」(横浜市)の社長らの起訴が取り消された冤罪(えんざい)事件を巡り、勾留中の東京拘置所で適切な医療を受けられずにがんの発見が遅れたとして、被告の立場のまま病死した同社元顧問の遺族が国に1000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は21日、請求を棄却した。男沢聡子裁判長は、拘置所の対応に医学的な合理性があったと判断した。 元顧問の相嶋静夫さん(当時72歳)は2020年3月、軍事転用可能な装置を不正輸出したとして社長らとともに外為法違反容疑で警視庁公安部に逮捕され、東京地検が起訴。保釈が認められないまま同10月に進行胃がんが判明し、翌月に勾留が一時停止されて外部の病院に入院したが、21年2月に死亡し
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横浜市の化学機械メーカーの社長ら3人が不正輸出の疑いで逮捕され、その後、無実が明らかになったえん罪事件で、警視庁公安部の捜査員が捜査の過程で役員の調書を故意に破棄した疑いがあるなどとして、メーカー側が今月中にも捜査員らを刑事告発する方針を固めたことがわかりました。 横浜市の化学機械メーカー「大川原化工機」の社長ら3人が不正輸出の疑いで逮捕、起訴されたえん罪事件の民事裁判では、元取締役の島田順司さんが、逮捕後に作成された「弁解録取書」という調書の修正を依頼したところ、警視庁公安部の捜査員が修正したふりをして署名させたと1審の東京地方裁判所が認定し、違法だと指摘しました。 この調書はその後、破棄されたことがわかっていますが、これについてメーカー側は、捜査員が故意に破棄した疑いがあるとして、今月中にも、公用文書毀棄などの疑いで捜査員らを警視庁に刑事告発する方針を固めたことが関係者への取材でわかり
イギリスの郵便局の会計システムの欠陥で郵便局長らが不当に訴追された事件について、経緯を調べているイギリス政府の調査機関による公聴会が開かれました。 この中でシステムを納入した富士通の幹部は、欠陥は早い段階で把握されていたものの、問題は20年近く続いていたという認識を示しました。 イギリスでは1999年から2015年までの間に、郵便局の窓口の現金と富士通が納入した会計システム上の残高が合わなかったなどとして、郵便局長ら700人あまりが横領などの罪で訴追されました。 その後、裁判所は郵便局長らが起こした集団訴訟のなかでシステムの欠陥を認定し、イギリス政府は独立した調査機関を設けて経緯を調べています。 19日、この機関の公聴会が開かれ、富士通の執行役員でヨーロッパ地域の責任者を務めるパターソン氏が「早い段階でシステムにバグや欠陥などがあったことを関係者全員が知っていた」と証言しました。 そして、
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3畳ほどの拘置所での日々。 いったいどのくらいの時間がたっただろうか。 技術者として、長年会社に貢献してきた男性の体調は日増しに悪化していきました。 幾度もの保釈請求は繰り返し却下。がんと診断されたあとも、精密な検査を受けさせてもらうことさえできませんでした。 亡くなってから半年後に、実質的な無罪の判断がなされました。 男性の命を奪ったものは何だったのか。 関係者の証言、2500ページに及ぶ資料を分析した先にみえたのは、命を軽視しているかのような司法手続きのありようでした。 (社会部記者 佐伯麻里) 相嶋静夫さん。 青春時代にラジオやアンプを作ることに夢中になり、大学に入ると、化学の実験に明け暮れました。 自分の得意なことが生かせるのではないかと機械メーカーに入社。 以来35年間、技術畑を歩みました。 客の要望に合わせた機械をなんとかして作ろうという熱い思いを持った技術者だったといいます。
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3年前、軍事転用が可能な機械を国の許可を得ずに不正に輸出したとして中小企業の経営者ら3人が逮捕・起訴され、1年近く勾留された後に起訴が取り消された「えん罪事件」。NHKは、警視庁公安部と、輸出規制の対象かどうか判断する経済産業省の担当者との協議を記録した警察の内部メモを入手しました。メモには、経産省の担当者が「ガサに入りたいというなら、裁判官が令状を出すのに足りる表現をしたいと思う」「できれば、ガサで得た情報で、他の件で立件してもらえればありがたい」などと、会社の機械が規制の対象にはならないという懸念を示しながらも、強制捜査を許容するような発言をしたと記されていました。 横浜市の化学機械メーカー「大川原化工機」の大川原正明社長ら3人は、3年前の2020年3月、軍事転用が可能な機械を国の許可を得ずに中国に不正に輸出したとして逮捕・起訴されましたが、2021年7月、国の輸出規制の対象に該当しな
大阪府警が20代男性を2回誤認逮捕した問題で、男性の代理人を務める森島正彦弁護士(大阪弁護士会)が11日、毎日新聞などの取材に応じた。男性は取り調べの際、検事や警察官から「犯人だ」と決めつける発言を繰り返されていたという。男性は42日間勾留されており、森島弁護士は「自白を迫る人質司法だ」と批判。府に損害賠償を求める訴訟を起こすことも検討するとしている。 府警などによると、最初の誤認逮捕は4月12日。知人の20代女性に危害を加えるメッセージを写真共有アプリ「インスタグラム」で送ったなどとして、守口署が脅迫や強要未遂の疑いで男性を逮捕した。5月2日には、女性のわいせつ画像をインスタグラムで女性の友人らに送ったとするリベンジポルノ防止法違反の疑いで同署に再逮捕された。送信者のIPアドレス照会は済んでいなかったが、男性から送信されたものだと女性が訴えた…
39年前、滋賀県日野町で起きた強盗殺人事件で、無実を訴えながらも無期懲役が確定し、服役中に死亡した男性について、大阪高等裁判所は、大津地方裁判所に続いて再審=裁判のやり直しを認める決定を出しました。 高等裁判所でも裁判のやり直しが認められたのは、服役中に75歳で亡くなった滋賀県日野町の元工員、阪原弘さんです。 阪原さんは、昭和59年に日野町で酒店を経営していた69歳の女性を殺害し、金庫を奪ったとして強盗殺人の罪に問われ、裁判で無実を訴えましたが、無期懲役が確定しました。 阪原さんは服役中の平成23年に病気で死亡し、遺族が代わって裁判のやり直しを求めていました。 大津地方裁判所は5年前「捜査段階での自白は強要された疑いがある」などと判断して、再審を認める決定をしましたが、検察が即時抗告していました。 27日の決定で、大阪高等裁判所の石川恭司裁判長は、遺体の遺棄現場で阪原さんが行った説明につい
実在の複数の事件から着想を得たフィクション『エルピス』 長澤まさみのドラマ『エルピス』では冒頭、こういう断り書きが出る。 「このドラマは実在の複数の事件から着想を得たフィクションです」 あくまでフィクションだが、扱っている事件は「実在の複数の事件」を参考にしている、ということだ。 なかなか珍しい断り書きである。 以下、本稿はドラマ『エルピス』のネタバレがあります。 長澤まさみの放つ圧倒的な説得力 このドラマが扱うのは「冤罪死刑囚」、舞台は「テレビ局の報道部」である。 長澤まさみはテレビ局のアナウンサー。 かつては期待された若手女子アナであったが、スキャンダルを起こして飛ばされ、視聴率の低いおちゃらけたバラエティ番組のニュースコーナーを担当している。 少々やさぐれており、ただ、向上心を失っていない姿も見せる。 等身大の30代アナウンサーを演じて、説得力に富んでいる。 このバラエティ番組の若い
https://www.nhk.jp/p/gendai/ts/R7Y6NGLJ6G/blog/bl/pkEldmVQ6R/bp/pvn7l6Xnbx/ 「平和で健康的な社会作りに貢献する」 そんな社是を掲げた中小企業の社長ら3人が、軍事転用の恐れがある機械を不正輸出したとして逮捕・起訴され、1年近い勾留を強いられました。うち1人は、勾留中に病が発覚し、無罪を訴えながら亡くなりました。 計り知れない犠牲を、企業や当人、家族にもたらした事件は、3人の逮捕から1年4か月後、突如、幕を下ろします。「起訴取り消し」。検察が起訴を取り消した極めて異例の事件として注目されることになります。 (第2制作センター 石原大史) 粉ミルクや粉末コーヒーを作る機械がなぜ? 容疑をかけられたのは、横浜市都筑区に本社を置く機械メーカー大川原化工機。従業員約90名の中小企業ながら、創業40年あまりの歴史と噴霧乾燥機の国
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大阪地検特捜部が捜査した横領事件で逮捕・起訴され、裁判で無罪が確定した東証1部上場の不動産会社の前社長が、捜査にあたった検事2人について取り調べで関係者を脅すなどして検察の描いたストーリーに沿う供述を引き出した疑いがあるとして、近く最高検察庁に刑事告発することを決めました。 検事2人を刑事告発するのは、東証1部上場で大阪に本社がある不動産会社「プレサンスコーポレーション」の創業者で前社長の山岸忍さん(59)です。 3年前、大阪地検特捜部が捜査していた大阪の学校法人の当時の理事長や会社の部下らが土地取引をめぐって21億円を横領した事件に、社長の山岸さんも関与していたとみなされ逮捕・起訴されました。 山岸さんは一貫して不正への関与を否定し、大阪地方裁判所は去年、検察が立証の柱とした部下の供述は「信用できない」と判断して無罪を言い渡し、その後、確定しました。 特捜部の捜査について弁護団が取り調べ
18年前、滋賀県東近江市の病院で患者が死亡したことをめぐり、再審=やり直しの裁判で無罪が確定した女性が、県などに損害賠償を求めている民事裁判で、県が「女性が患者を心肺停止にさせた」などとして、再審での無罪判決の内容を否定する主張をしたことについて、三日月知事は「極めて不適切な表現だった」と述べて女性に謝罪しました。 東近江市の湖東記念病院の看護助手だった西山美香さん(41)は、平成15年に入院患者が死亡したことをめぐり、殺人の罪で懲役12年の刑で服役したあと、去年、やり直しの裁判で無罪が確定しました。 西山さんは、滋賀県警などの不当な捜査で長期間拘束されたとして、滋賀県などに対し損害賠償を求める民事裁判を起こしています。 滋賀県は16日、大津地方裁判所で行われた非公開の進行協議で「患者を心肺停止状態に陥らせたのは西山さんだ」として、再審の無罪判決の内容を否定する主張をしました。 これについ
覚醒剤を使用した罪に問われた45歳の被告の男性に、名古屋地方裁判所は「採尿前に警察官が提供した飲み物に覚醒剤が混入されていた可能性がある」などとして無罪を言い渡しました。 愛知県東海市に住んでいた派遣社員の45歳の男性はおととし12月、尿から覚醒剤の成分が検出され覚醒剤を使用したとして逮捕・起訴されました。 男性は裁判で起訴内容を否認したうえで、逮捕前に警察署で採尿を求められ警察官から提供されたお茶や水を紙コップで20杯から30杯ほど飲んだ際に「お茶の濃さが毎回違っていて1度すごく苦いことがあった」と証言し、弁護士はお茶に覚醒剤が混入された可能性があるとして無罪を主張しました。 19日の判決で名古屋地方裁判所の板津正道裁判長は「採尿を促す際には未開封のペットボトルで飲み物を提供するという警察の要綱に従っておらず、異物が混ざるのを防ぐ対策が十分されていなかった」として、飲み物の提供方法に問題
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