東京都杉並区で里子の女児=当時(3つ)=を虐待死させたとして、里親が逮捕された。この里親は容疑を否認している。ただ、里親を経験した人たちに聞くと、里子と信頼関係を築くのは容易ではなく、苦悩を深め、虐待の危険を身近に感じた体験を語る人も。問題を共有しにくいため孤立しがちになる里親の支援を求める声も上がっている。 (杉戸祐子、竹上順子、沢田佳孝) 「里親による虐待は『あってはならないこと』ではなく、『あっても不思議じゃない』と考えるべきだ」。三人の実子を育てながら、児童約百人の里親となってきた「全国里親会」評議員西川公明さん(68)=川崎市麻生区=は話す。 苦労は数知れない。一歳半で委託された女児は西川さんと妻(69)に懐かず、半年間、夫妻の顔を見ると泣きわめいた。背負って散歩すると、すれ違う人に両手を差し向けて叫び、助けを求めた。週一日、「泣かない日」をつくるところから始め、めったに泣かなく