丸山健二Twitterの炎上、あるいは『鬼滅の刃』と価値基準について 小説の「言語」とアニメの「非言語」をめぐる《反措定(アンチテーゼ)》 大槻慎二 編集者、田畑書店社主 もう昨年のことになるが、12月のはじめ、Twitterのタイムラインに流れてくる荒れた言葉の数々を見て、「困ったことになったな」と内心で呟いていた。 いわゆるその“炎上”は、作家の丸山健二さんがTwitter上で発信した次のような文章が引き起こしたものだった。 少年期を過ぎたならば、アニメやゲームという非現実の世界からは完全に手を引かなければならず、さもなければ、自立や自律とはいっさい無縁な、不気味極まりない子ども大人として異様にして異常な人生を送るだけならまだしも、社会全体と国家全体を尋常でない集団に仕立て上げ、暴力の狂気を迎える。 その「荒れた言葉」たちの内容は充分に予測できたものとはいえ、あまりにヒステリックな負の