新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の長期的な影響、特に脳への影響については、ほとんどわかっていない。誰にどのような症状が出るのかは、謎といっていい。 全世界の新規感染者数は8月上旬の現在、7日間平均で100万人前後となっている。感染の増加に伴い、長期的な後遺症の問題はますます大きくなりつつある。そうしたなか、2022年のアルツハイマー病協会国際会議(AAIC)で発表された研究が、この謎を解くカギを発見した可能性がある。それは「嗅覚の喪失」だ。 研究デザイン アルゼンチンの研究チームは、1年間の前向き研究を実施し、新型コロナウイルス感染症罹患に伴う中年および高齢者の長期的な認知機能障害について調査した。参加者766人は全員、アルゼンチン、フフイ州における新型コロナウイルス感染症の全検査データを記録する健康登録簿から無作為に選ばれた。参加者は、PCR検査の状況に応じて分類された。新型