『岡義達著作集』(吉田書店)を恵贈される。金字塔と言うべき出版。編集にあたられた永森誠一先生をはじめとする方々、版元の吉田書店に心からの敬意を表する。 本書を手にして深い感慨を抱いている。かつて、岡先生の書籍出版を企画しながら、わたしは一つも実現できなかったからである。もう三十数年前のことである。先生とお会いするのは、いつも神田須田町の喫茶店「きくむら」。午後3時から5時まで。昼ながら缶ビールをゆっくり飲みながら、もっぱら先生のお話しをお聞きする役割に徹した。 お会いしたのは、先生が出版を希望された『政治と演技』の打ち合わせをするためである。そして、『政治と演技』の次に先生が出したいのは、『政治と事件(イベント)』、『政治と情報(インテリジェンス)』ということも話され、これらのおよその内容についてもお聞きした。 わたしの方から先生にお願いしたのは、当時品切れであった岩波新書の『政治』の復刊