伊藤沙莉主演のNHK連続テレビ小説『虎に翼』。日本初の女性弁護士、のちに裁判官となった三淵嘉子の実話をもとにしたドラマで、SNSなどを中心に反響を呼んでいる。 第9週(5月27日〜)は激動の展開だった。終戦を迎え、寅子は兄・直道や父・直言、そして夫・優三を失ってしまう。失意に暮れる寅子だが、公布された日本国憲法をきっかけにもう一度法曹界の道へ踏みだすことを決意する。 「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分または門地により、政治的、経済的または社会的関係において、差別されない」。寅子が読んだ憲法第14条の条文にはこう書かれている。 「モデルとなった三淵さんにとっても、主人公の寅子にとっても、日本国憲法は人生における最も重要なターニングポイントだった」と制作統括の尾崎裕和は話す。本作の魅力や画期性について、合同取材で聞いた。 ―優三さんが出征するときの寅子とのやりと
ネットフリックスが12月14日、実写ドラマ版『幽☆遊☆白書』の配信を開始する。5年の制作期間をかけた大作だ。 ネットフリックスは予算投下したオリジナル作品の制作に力を入れており、「日本発」の原作や企画からも世界的なヒットが出始めている。 2023年夏配信された『ワンピース』はその1つ。『幽☆遊☆白書』も同じ週刊少年ジャンプ発の著名作品として後に続けるか、注目が集まっている。 実は『幽☆遊☆白書』は、日本のネットフリックスから提案したプロジェクトの中でも、特別な要素を持っている。世界各地にあるVFXスタジオ(ネットフリックスの自社制作を含め、6カ国18社)の協力体制で作られた、非常に大規模なものだからだ。 配信開始まで詳細はお伝えできないが、トレイラーを見るだけでも、そのクオリティの一端は分かるのではないだろうか。 今回筆者は、『幽☆遊☆白書』のVFXが制作に携わったアメリカ・Eyeline
鳥山明は、縦の間白(コマとコマの間)より横の間白を広くとり読みやすくする工夫など、先鋭的な作品ではむしろダサく見えてしまう表現上の更新もしている。が、それが典型的に示すように、新しい革新的な表現に注目しがちな批評言説からは注目されにくい作風である。けれど、彼は間違いなくジャンプ最盛期の牽引役で、その後のジャンプ路線のシンボルだった。のちにジャンプを支える『NARUTO』の岸本斉史、『ワンピース』の尾田栄一郎ら、多くのジャンプ作家に影響を与えた。いわば読者を育て、そこから作家を生み出したのである。いいかえると、彼はジャンプの基準、範例のようにも見なされ、結果「明朝体」のように感じられるようになったのかもしれない。 鳥山明はとてつもない作業量をこなし、しかも締め切りを守った。その理由が、会社員を経験したので、〈原稿が遅れるといろんな人に迷惑がかかる〉*1と思ったからだという。ただ、絵を描くのが
麻雀漫画50年史 作者:V林田文学通信Amazonこの『麻雀漫画50年史』は書名の通り、70年代から現代(20年代)まで約50年の麻雀漫画の歴史を追った、オンリーワンの一冊である。僕は麻雀漫画全般に詳しいわけでも思い入れがあるわけでもないが、本書はとにかくおもしろかった。 「麻雀漫画」という狭いテーマを扱いながらも、作家や作品の関連を深く掘っていくことで小説や実際の麻雀業界、アニメ業界との関連もみえてくる。まず、そうした「麻雀を通してみる」ひとつの文化史としてそれ自体がおもしろい。そして、著者のスタイルは作品の概要を紹介するにとどまらず、作品が現代の鑑賞に耐えられるかといった率直な視点からも評していて、「麻雀漫画ガイド」としても機能している。 僕も知らない麻雀漫画が大量に紹介されていて、手に入るかどうかはともかく読みたい漫画が大量に増えた。たとえば世界を統合することが使命と信じる北島敬を主
若林恵(左)とtofubeats tofubeats(とーふびーつ) 1990年、神戸出身。音楽プロデューサー、DJ。中学時代から音楽活動を開始し、高校3年生の時に国内最大のテクノイベントWIREに史上最年少で出演。その後、“水星 feat. オノマトペ大臣”がiTunes Storeシングル総合チャートで1位を獲得しメジャーデビュー。 若林恵(わかばやし けい) 1971年生まれ。編集者。ロンドン、ニューヨークで幼少期を過ごす。平凡社で『月刊太陽』編集部に所属したのち、2000年にフリー編集者として独立。音楽ジャーナリストとしても活動。2012年に『WIRED』日本版編集長就任、2017年退任。2018年、黒鳥社(blkswn publishers)設立。 熊井:今回のトークの成り立ちから説明しますと、今回渋谷キャストの7周年を記念して、ブックレットをつくったんですよ。そのなかで若林さん
Round One’s arcade at the Danbury Fair mall in Connecticut. Photographer: Dina Litovsky for Bloomberg Businessweek 2021年11月、エリック・バニヤン氏は、かつて「フォーエバー21」の店舗があったショッピングモール「ダンベリーフェア」の空きスペースに日本人ビジネスマンのグループを案内した。フォーエバー21は19年の運営会社の経営破綻後、2つのフロアから成る6万平方フィートのスペースを明け渡した。米コネティカット州にある同モールからは百貨店のシアーズとロード・アンド・テイラーも撤退し、厳しい状況にあった。 同モールを所有するメイスリッチでリースを担当していたバニヤン氏は、百貨店が栄光を取り戻すわけではないことを認識していた。下着やTシャツを買うにはインターネットのほうが「より良
映画ライターの月永理絵さんが、新旧の映画を通して社会を見つめる新連載。第3回となる今回のテーマは、「誰かと暮らす」。 現在公開中の映画『人生に詰んだ元アイドルは、赤の他人のおっさんと住む選択をした』の主人公・安希子が56歳の男性と暮らすことで起きた“変化”とは? 誰かと暮らし、やがて一人で生きていく勇気を得る 全国公開中 映画『人生に詰んだ元アイドルは、赤の他人のおっさんと住む選択をした』 ©2023映画『人生に詰んだ元アイドルは、赤の他人のおっさんと住む選択をした』製作委員会 家は、自分を守ってくれる大事な場所。小さくても、住みづらくても、プラベートな空間を持つことは、人が生きていくうえで不可欠だ。ただし、誰とどんな形で暮らすのか、その選択は人それぞれ。ひとりで暮らす。パートナーや友人と暮らす。家族と暮らす。ペットと暮らす。もちろんそこには経済的な理由が大きく関わる。特に物価の高い都会で
映画ライターの月永理絵さんが、新旧の映画を通して社会を見つめる新連載。第9回となる今回のテーマは、「人はわかり合えない」。 年齢、性格、生い立ちすべてが異なる35歳と15歳。大好きだった父とわかり合えなくなった11歳の少年。大人と子ども、親と子だからではなく、“人と人”だからこそお互いを理解できない私たち――。6月公開の映画『違国日記』と『オールド・フォックス 11歳の選択』から、あたらしい人間関係を探ります。 「人と人は絶対にわかり合えない」に込められた希望 映画『違国日記』6月7日(金)より全国ロードショー ©2024 ヤマシタトモコ・祥伝社/「違国日記」製作委員会 どれだけ仲の良い友人同士でも、長い時間を共に過ごした家族でも、人と人が心からわかり合うのは難しい。ある一点に関しては意見が一致しても、別の点では意見が分かれるなんてよくあること。何度説明されようと、相手の行動がどうしても理
「弱者男性」と呼ばれる人々の実態と彼らが抱えている問題について、独自の定量/定性調査と豊富な資料から網羅的にまとめられた本で、「弱者男性」という言葉を取り巻く状況に興味がある人の入門書としてとてもわかりやすい良書でした。 近年ネットを中心に可視化されつつある「弱者男性」にまつわる問題ですが、現状支援やケアはほぼなく、社会構造的に弱い立場におかれているにもかかわらず、「有害」扱いされたり、嘲笑の対象になっているのが特徴です。 「社会構造的に弱い立場におかれている」人々の支援・地位向上・エンパワーなどを行ってきたフェミニズムとの相性も悪く、フェミニズムから派生した男性学でも同様の傾向です。 例えば、おおよそ1.5億の詐欺と詐欺幇助の罪で実刑判決を受けた「頂き女子りりちゃん」こと渡邊真衣被告の求刑に対して、フェミニスト弁護士の伊藤和子さんは「男性優位社会の秩序を乱した女子の朝憲紊乱の振るまいを一
今、じわじわと再注目されつつあるCDという媒体。直撃世代のミュージシャン/ライターであるKotetsu ShoichiroがCDを掘り下げる連載〈CD再生委員会〉の第2回は、Kotetsuの音楽仲間でもあるtofubeatsさんへのインタビューです。 *Mikiki編集部 ★連載〈CD再生委員会〉の記事一覧はこちら CDみたいに傷ついて飛んだ記憶(shing02“殴雨”)……。CDについての連載を始めた所、第1回から各方面より様々なリアクションをいただいております。まるでいつの間にか忘れていた記憶の扉が開いたかのように……! さて今回は、新作EP『NOBODY』をリリースしたばかりのtofubeatsさんをゲストに迎えます! ワタクシと同じく90年生まれのCDど真ん中世代、CDというテーマに絞ったインタビューは珍しくもかなりマニアックな内容になると思います! 新作のテーマだという〈J-CL
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加藤和彦という人は果たして、知性の人なのか、感性の人なのか? 今井裕が語る音楽家・加藤和彦 「SUKITA 刻まれたアーティストたちの一瞬」、「音響ハウス Melody-Go-Round」などのドキュメンタリー作品を手掛けた相原裕美監督の作品、「トノバン 音楽家 加藤和彦とその時代」をいち早く見せてもらった。以前から高橋幸宏の提案で、加藤和彦のドキュメンタリーを作っているらしい、ということは聞いていたが、60年代から加藤和彦の音楽作品の数々を聞いてきた人間にとって、あの多才な加藤和彦を映画にまとめるのは至難の業となるだろう、と危惧していた。しかし、完成した作品は、高橋幸宏を筆頭に、北山修、松山猛から、小原礼、高中正義、つのだ☆ひろなどのバンドメンバー、坂本龍一、清水信之などのミュージシャン、クリス・トーマスや元マネージャー、レコード会社スタッフなど、各時代の関係者や友人たちの証言をもとに、
映画『トノバン』が5月31日から公開される。音楽家・加藤和彦のドキュメンタリー映画だ。 少し前に、私も試写会に参加させていただいた。試写を観て、こういう映画はぜひ、生前の加藤和彦を知らない若い人にも観てもらいたいと思い、以下、加藤和彦の音楽家としての凄みについてまとめてみようと思う。 とはいえ、加藤和彦は、私が生まれた頃に音楽活動を始めているので、特にキャリア初期については、私自身も、リアルタイムでは接していない。 キャリア初期とは具体的には、ザ・フォーク・クルセダーズ(フォークル)から、有名な『あの素晴しい愛をもう一度』(1971年)を経て、サディスティック・ミカ・バンドに至る時期である。 そして、この、加藤和彦のキャリア初期の活動や作品こそが、私が個人的にハマった時期なのであり、また映画の中でも十分に時間が割かれているところだ。 というわけで今回は、この時期に焦点を絞って、彼の凄みをた
40代、50代のブロガー3人が考える「Web時代の理想の老い方」とは? #老いの準備 公開日 | 2024/05/31 更新日 | 2024/05/31 インターネットが社会に普及し始めて約30年。20代の頃からインターネット、Webに親しんできた世代も、今や40代や50代を迎えています。忍び寄る老いを前に、技術の進化や昨今のネット社会の殺伐とした空気感にとまどい、インターネットとの付き合い方を見直したいと考えている人もいるかもしれません。 また、インターネットがあらゆるインフラにとって欠かせないものとなり、老若男女問わず当たり前にインターネットを使える「Web時代の高齢社会」をどう生きるべきなのか、その中で生じる困難をどう克服するかなど、さまざまな不安や悩みが生じる頃合いでもあります。 今回、集まっていただいたのは、1990年代のインターネット黎明期から長くWebを活用してきた40代、5
世田谷区の八幡山に、雑誌専門の図書館、大宅壮一(おおやそういち)文庫がある。 マスコミ関係のリサーチ業務に携わったことがあるひとであれば、知らない人はいないだろう。 明治時代から現在まで、世に出た雑誌のうち、1万3500種類、約80万冊を収蔵している図書館だ。 そんな図書館のバックヤードツアーが、定期的に開催されているというので、行ってきた。 大宅壮一文庫をざっくりと説明 大宅壮一文庫は、昭和時代に活躍したジャーナリスト、作家であり、評論家でもあった大宅壮一が収集した雑誌や書籍などの蔵書を基として、1971(昭和46)年に設立された。 現在刊行されている主要な週刊誌、月刊誌などの定期刊行物と、休刊や廃刊となった過去の資料もふくめて保存してあり、実際に手にとって閲覧することが可能だ。(※全ての雑誌を所蔵しているわけではない) 大宅壮一文庫です ただし、普通の図書館とは違い、入館するのにひとり
数年前からニュースを真面目に追うのをやめた。SNSも自分の友人以外はほとんど見ないようにした。 現代社会は情報過多で疲れるし、どうせ自分には関係ないからだ。 社会問題に思いを馳せて、知り合いと話題にできるぐらいの知識を入れておくのは大人の義務なのかもしれないが、 どうせ、おれの半径5m以内で起こってない問題をおれがどうにかしようとすることはない。 ウクライナの戦争についても1mmもわからないが、とりあえず1000円だけ募金しといた。 親父が反面教師になった部分はある。 うちの親父は家で晩飯の時間にニュースを見ながらやれ誰々はアホだの不平も漏らす。 当然それで食卓が明るくなることはないし、世の中もよくなっていない。 「日本のどこかで殺人事件が起こったニュースを流しても、視聴者が似たような事件に遭遇する確率は非常に低いのだから いたずらに不安を煽っているだけ」という親父の意見には同意したが、自
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