伝説の投資家ジム・ロジャーズが「読者の質問」に答えます 日経平均株価は5万円、6万円とまだまだ上昇する?
伝説の投資家ジム・ロジャーズが「読者の質問」に答えます 日経平均株価は5万円、6万円とまだまだ上昇する?
アイジャはそれまでもたくさんのイマジナリーフレンドを作ってきたが、彼女が2歳になる頃に現れた「ニナ」は、他とは明らかに違っていた。 アイジャによるニナの説明はつねに一貫していた。アイジャいわく、ニナは悪い人たちが自分を捕まえにくること、そして食糧が足りなくなることを恐れているという。ときにはアイジャ自身がニナとして話すこともあった。 母親のマリーがフードプロセッサーを使っていたときのことだ。アイジャはその音に怯え、「戦車をここから出して!」と叫んだ。なぜ娘が「戦車」という単語を知っているのか、マリーは不思議に思った。 またあるときには、アイジャはこう言った。「ニナの腕には数字が書かれていて、それがニナを悲しくさせるの」。そしてその数字が書かれていたと思われる場所を指差しながら、「ニナは家族が恋しいの。ニナは家族と引き離されちゃったのよ」と言った。 ホロコーストのことなど何も知らないはずの娘
増え続ける暴力事件 かつて家だった場所とその周辺に木材、断熱材、被覆材の破片が飛び散り、ぐちゃぐちゃに散乱している。吹き飛んだ窓ガラスの跡には、ギザギザになった破片だけが残っている。カーテンや衣服が散乱し、爆発の威力に押し流されている。 「ニュースで見るような、外国の戦争の現場のようです」と地元住民は言う。 しかし、ここは紛争地帯ではない。スウェーデン第4の都市ウプサラの、かつては平和だった地区だ。昨年9月28日に爆発が起こり、新人教員のソハ・サード(24)が巻き込まれて死亡した。この攻撃は、犯罪組織のメンバーの親戚と思われる隣人を狙ったものだった。 9月末にスウェーデンのウプサラで起きた爆発事件の現場 スウェーデンでは昨年後半、ウプサラとやその南に位置する首都ストックホルムで凶悪な暴力事件が相次いだ。9月から10月にかけての最悪の時期には、毎日のように銃撃や爆破、手榴弾による攻撃が起きて
低成長を続ける日本経済が回復する兆しはなかなか見えず、世界3位を維持してきた名目GDPも2024年2月にドイツに抜かれた。欧州議会の顧問などを務める経済学者ダニエル・グローは日本経済低迷の原因を独自に分析し、欧州諸国に「同じ失敗をするな」と警鐘を鳴らす。 日本はもっと、よくなっていいはずだ。 労働者の教育レベルは高く、かつよく訓練されているし、社会全体としての投資額は多くの先進諸国を上回っている。たとえば日本における研究開発費はGDPの3.3%を占め、最近まで米国よりも高かった。にもかかわらず、日本経済は相対的に低迷しつづけている。 ドイツ人経済学者で欧州政策策定協会の所長でもあるダニエル・グロー。欧州各国の政府や中央銀行の顧問を経て、現在は欧州議会の顧問を務める。米シカゴ大学で経済学の博士号を取得。専門は金融・財政政策、為替レート、気候変動など Photo: Puramyun31 / W
ガブリエル・ズックマンの答え 同じ「ベーシック・インカム」という言葉を使っていても、二つの大きく異なるものを指しているということがあります。第一のベーシック・インカムは、保守派が提唱することが多いものですが、これは社会保障制度を通じた所得再配分の大部分を廃止し、その代わりにベーシック・インカムという単一制度で、国民全員に一律で現金を給付するという構想です。 それに対し、もう一つのベーシック・インカムは、革新派が提唱することが多いものですが、これは既存の社会保障制度を通じた所得再配分を維持しながら、それに加えて国民全員に現金を支給するというものです。累進的な所得税を財源とするので、高所得者はベーシック・インカムのために支払う額のほうが、ベーシック・インカムで受け取る額よりも大きくなります。逆に低所得者は、支払う額よりも受け取る額のほうが大きくなります。 後者のベーシック・インカムが実現可能で
叱る、お願いする、約束する、罰を与える──何をやっても言うことを聞かない子供を前に、途方に暮れる親は世界中にいる。心理学や児童精神医学を専門とするアラン・カズディン教授は、そうした親に、子供が「思った通りに行動してくれる」方法を伝授しているという。そのメソッドについて、仏紙「フィガロ」が取材した。 「成果が出る手法」をまとめた育児書 3歳の子供が皿の上でエンドウ豆を潰し、それを入念に広げている。 「いい加減にしなさい。早く豆を食べなさい」 母親の注意は、これでもう三度目だ。それでも子供はむずかる。 「ちゃんと食べなさい。そうしないと……」 今度は父親が脅しの言葉を口にした。すると途端に子供は癇癪を起こし、わめき散らす。わめきたいのはこっちだと親は思うが、夕食の時間が台無しになってしまったことに変わりはない。 「イェール育児センター」のアラン・カズディンは、親たちからそんな話を毎日聞かされて
トルコ系クルド人が集住する埼玉南部、通称「ワラビスタン」を英誌が取材。外国人労働者に依存しながらも彼らを歓迎しない日本の移民政策は愚策だと指摘している。 クルド人の数が10年で4倍に 東京の北にある埼玉県蕨(わらび)市の教室で、11歳の少年が日本語でおしゃべりしながら「川」と「木」の漢字を書く練習をしている。別に珍しくもない光景だ。その少年、ボランが日本人ではなくクルド人ということを除けば──。 蕨市とその周辺地域には約2000人のトルコ系クルド人が暮らしており、その数はこの10年で4倍に増えた。通りにはケバブ屋が軒を連ね、ゴミの分別方法がトルコ語で書かれている。地元では「ワラビスタン」と呼ばれている地域だ。 このコミュニティは、ここ数十年における日本の最大の社会的変化のひとつを物語っている。高齢化が進んで労働人口が減少する日本では、新たな人材が切実に求められているが、日本の政治家はいまな
台湾積体電路製造(TSMC)の工場建設が日本で始まってから、地元の熊本県菊陽町は賃金や地価の高騰、人材不足など、さまざまな問題に直面しているという。世界的な半導体製造企業の進出は、最低賃金が日本で4番目に低い熊本県の経済をどう変えるのか。現地を取材した英紙は、「菊陽町の変化は、日本が抱える課題の縮図だ」と指摘する。 熊本県菊陽町で始まった新たな時代を、地元の人々は「TSMCショック」と呼ぶ。 2022年4月、半導体受託製造の世界最大手・台湾積体電路製造(TSMC)が日本国内初となる工場の建設を開始した。以来、この小さな町とその経済は劇的に変化しつつある。 吉本孝寿・菊陽町長は本紙の取材にこう語る。 「TSMCの到来は寝耳に水でした。菊陽町が突然、有名になってしまって、まるで私たちの町が赤ん坊から急に大人になったようです」 「TSMCショック」は日本の課題の縮図 半導体の供給をめぐる地政学的
ウクライナとロシアの戦闘において重要な役割を果たしているのが、偵察から攻撃までを遠隔でおこなうドローンだ。両陣営ともにドローンを積極的に使用していることが報じられている。 英紙「ガーディアン」が、ウクライナで最も活躍しているドローン操縦士の一人を取材。彼はウクライナ軍に所属しない民間人だ。軍に入らない理由、ドローン任務の重要性などを聞く。 ウクライナのドローンの「エースパイロット」 2022年にウラジーミル・プーチンがウクライナへの全面的な侵攻を開始する前、32歳のオレクサンドルは物流会社のIT担当として働いていた。「我々の会社は英国にも大きな倉庫を持っているから、あなたも知っていると思いますよ。私は行ったことありませんが」と彼は言う。 こんにちの彼の高い名声は、多国籍企業でソフトウェアの不調を解消する能力によるものではない。最前線での戦果の数々が、彼をウクライナ最凶の「カミカゼ」ドローン
クーリエ・ジャポンのプレミアム会員になると、「ウォール・ストリート・ジャーナル」のサイトの記事(日・英・中 3言語)もご覧いただけます。詳しくはこちら。 米国は中国の軍事技術開発を担う大学からの留学生を締め出している。一方、同盟国である日本はこうした留学生を受け入れている。両国の対応の違いが、大学でのスパイ行為に道を開きかねないと危惧する見方が一部にある。 日本は中国人留学生を歓迎する姿勢をあらわにし、政府当局者や大学関係者は、米政府の制限強化を受け、代わりの留学先を探す学生を喜んで受け入れると話す。自由な知的交流や科学的交流の重要性をその理由に挙げている。 「中国の学生から見ると、アメリカは(門戸を)閉ざした、拒否する、採らないというふうに見えている。日本はむしろウェルカム」な姿勢だ。東京大学の相原博昭副学長はそう指摘する。
2023年5月、米紙「ニューヨーク・タイムズ」は「長い間埋もれていた韓国の歴史」として、韓国政府によって米軍兵士との性行為を強いられた女性たちについて報じた。被害者女性たちはインタビューで、売春がおこなわれた「基地村」での恐ろしい経験や、韓国政府が自分たちをどのように利用し、見捨てたかについて語っている。 1977年、17歳だったチョ・スンオクは、ソウル北部の東豆川(トンドゥチョン)で3人の男に誘拐され、売春あっせん業者に売り飛ばされた。 チョは高校入学を目前に控えていたが、バレリーナになる夢を追う代わりに、常に監視下に置かれながら近くのクラブへ売春に通う5年間を強いられた。彼女の客は米軍士だった。 「慰安婦」という婉曲表現は、通常、第二次世界大戦中に日本軍により性行為を強いられた、朝鮮人や他のアジア人女性を指して使われる。 しかし、1945年に日本の植民地支配が終わった後も、韓国では女性
戦争が始まる前から「汚職大国」として悪名高かったウクライナ。同国は犯罪集団が暗躍する「マフィアの楽園」でもあったが、侵攻をきっかけに、世界各地の犯罪集団に大きな影響を及ぼすほどの変化が起きているという。 戦争で切れたロシアン・マフィアとの縁 18世紀以来、密輸品が流れ込んできたウクライナ南部の港湾都市オデーサには「密輸博物館」がある。ここで展示されるのは、ロシア帝国に持ち込まれた真珠やピストルから最近の略奪品までだ。しかし、2022年2月に勃発した戦争によって「港が閉鎖され、すべて止まりました」と、オーナーのアレクサンドル・オトデルノフは言う。 しかし、来なくなったのは観光客だけではない。オデーサは、ウクライナとロシアを中心とし、アフガニスタンからアンデス山脈にまで至る広大な犯罪ネットワークをつなぐ重要な拠点だったのだ。このネットワークは「ヨーロッパでもっとも強力な犯罪生態系」の一部である
ノーベル経済学者のダニエル・カーネマンが、人の幸福度は年収7万5000ドル(約1000万円)を超えると横ばいになると提唱したのは2010年のこと。だが今回、新たな研究で、その定説を覆す結果が得られたという。 2人の学者の「敵対的共同研究」 哲学者や経済学者、社会科学者たちが長年にわたり、解を見つけようとしている1つの問いがある。 「幸せはお金で買えるのか」というものだ。 米国人のほとんどにとって、答えは「イエス」のようだ。 この結論を導き出したのは、ダニエル・カーネマンとマシュー・キリングスワースという2人の著名な研究者で、3月に「米国科学アカデミー紀要」に共同研究を発表した。その結果によれば、大半の人は稼ぎが多いほど幸せになれるという。 これまでは一般的に人は収入が多いほど幸せになるが、年収7万5000ドルを超えると幸福度は横ばいになると言われてきた。いわゆる「7万5000ドルで頭打ち」
愛車は子供用キックボード 豪ベサングラのガソリンスタンドで、3人が揉めていた。“彼”にランチを買ってあげるのは自分だ、と。隣町ジューニーの駅では、髭をたくわえた男性が声をかけ、彼を家に泊めた。 オーストラリアの裏道沿いにある町々で暮らす人たちが彼に提供しようとするのは、熱いシャワーや暖かいベッドばかりでなく、ビールやハンバーガー、そして心からの、目が潤むほどの会話だった。そのほとんどはグーグル翻訳を介してなされた。 三船涼圭──通称“うに”が、モーターのない子供用のキックボードで約4000キロに及ぶ旅を始めておよそ1ヵ月半(註:3月17日時点)が過ぎた。“うに”の見込みではあと6ヵ月はかかるという。
この記事は、ベストセラーとなった『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』の著者で、ニューヨーク大学スターン経営大学院の経営学者であるスコット・ギャロウェイによる連載「デジタル経済の先にあるもの」です。月に2回お届けしています。 人類の起源は30万年前にさかのぼる。以来、長きにわたり人類の大半は30代前半までしか生きられず、深い裂傷や骨折は死の宣告に等しかった。だが1800年頃に、状況は一変した。富、平均寿命、そして人口が爆発的に増加したのだ。過去200年間で、一人当たりGDPは15倍になり※1、私たちは今や曾祖父母の2倍長生きし、人口は10億人から80億人へ、8倍にも増加している。 1798年、トーマス・マルサスは世界的な人口増加による人類の終末を予言した※2。だがその予言は外れた。私が子供の頃、マルサスの時代から人口が4倍になった後、ポールとアン・エーリックが『人口が爆発す
「ウクライナとの戦争に反対」と書かれたプラカードを掲げるモスクワの市民。開戦当初は、ロシア国内で戦争反対の声をあげる人々もいたが、プーチン政権によって弾圧された。2022年2月24日、モスクワ Photo: Konstantin Zavrazhin / Getty Images ウクライナにロシアが全面侵攻を開始してから1年になる。日本の読者にとって重要な記事を海外メディアから厳選しお届けしているクーリエ・ジャポンでは、現地の被害状況から世界各国の動き、経済への影響、知識人による大局的な考察に至るまで、この戦争に関するさまざまな情報を掲載してきた。 残念ながら、戦争がすぐに終結する兆しはいまだ見えず、国際政治・国際経済への影響などもさらに長期化するだろう。クーリエ・ジャポンでも、引き続きこの戦争に関連した世界の動きをお伝えしていくことは言うまでもない。 戦争に関する情報を得ることは重要だ。
領土をめぐる限定戦争から、グローバルな経済の衝突へ ──ウクライナでの戦争に関する本を日本では出版したのに、フランスで出版していないのはなぜですか。 日本人が反ロシアなのは、ヨーロッパ人に引けを取りません。ただ、今回の戦争は日本から地理的に遠く離れたところで起きているので、そこまでの切迫感がありません。日本人は私たちヨーロッパ人ほどウクライナに感情的になっているわけではないのです。 それに日本での私のステータスは、ここフランスとはまったく異なります。フランスでは、私の評判は「クレイジーな反逆児野郎」という荒唐無稽なものになっていますよね。しかし日本に行けば、私は大手新聞各紙や主要雑誌に発言が載る人類学者、歴史家、地政学者として評判もよく、書いた本はすべて日本語に翻訳されています。私は日本では落ち着いた雰囲気のなかで自分の考えを述べられるのです。 だからまずは日本の雑誌を相手にそれをして、そ
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