新型コロナウイルスの感染拡大を受け、カミュ『ペスト』が異例の売り上げで話題になった。小説以外にも、過去の感染症の研究や歴史を扱った本もじわじわ売れている。全容がまだ見えないウイルスと向き合う手がかりを、本に求める読者が増えているようだ。 新潮社によると、『ペスト』は2月以降で15万4千部を増刷し、累計発行部数は104万部になった。ペストにより封鎖された街で、伝染病の恐ろしさや人間性を脅かす不条理と闘う人々を描く。フランスやイタリア、英国でもベストセラーになっているという。 日本の小説で、新型コロナによる混乱を「予言している」と注目が集まったのは、高嶋哲夫『首都感染』(講談社文庫)。中国で強毒性の新型インフルエンザが発生し、東京が封鎖される。2月以降、計6万4千部増刷した。講談社の担当者は「パンデミックが発生した場合に、何が起こるのか、どのように対処したら良いのかを、読んだ人が冷静に判断でき