冬の感染拡大期を迎えた新型コロナウイルスについて、急性期症状が収まった後も心臓の細胞にウイルスが残存した場合、心不全のリスクを潜在的に高める可能性があることがiPS細胞を用いた実験で判明し、理化学研究所などの研究グループが発表した。コロナ感染に起因する深刻な心不全が、今後目立つようになる可能性もある。研究成果は22日、米科学誌「アイサイエンス」電子版に掲載された。 新型コロナに感染すると、発熱などの急性期症状が収まった後も少量のウイルスが体内にとどまる「持続感染」を起こすことがあり、後遺症との関係も指摘されている。 グループはiPS細胞を使い、心臓に網目状に広がる血管や心筋細胞などの組織を模倣したシートを作成。少量の新型コロナウイルスに感染させることで、心臓にウイルスが残存しつつも表面的には心機能や組織が問題なく維持される持続感染の状態を再現した。 持続感染のないシートを一時的に低酸素状態