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措置入院体験記前書き|小林エリコ/Eriko Kobayashi「私たち、まだ1回も人生を生き切っていないのに」発売中
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措置入院体験記前書き|小林エリコ/Eriko Kobayashi「私たち、まだ1回も人生を生き切っていないのに」発売中
二〇一六年七月。戦後最大の大量殺人事件が起きた。十九名刺殺、二十六人が負傷。犯人の男は「障害者は... 二〇一六年七月。戦後最大の大量殺人事件が起きた。十九名刺殺、二十六人が負傷。犯人の男は「障害者は必要ない」とのたまい、相模原市にある障害者施設に乗り込み入居者を切りつけた。 テレビでは、連日この事件のニュースが流れた。そして、加害者の男性が措置入院を経験していたことが公開された。 ほら、来た。 私は息を飲んだ。 この国では、凶悪な事件の犯人を精神異常者にしたがる。池田小学校の事件がいい例だ。小学校に乗り込み大量殺人を犯した犯人に精神科の通院歴があることをマスコミはこぞって報道した。犯人は精神科には通院していたものの、詐病であった。 そして今回、相模原市で起きた事件の問題点は措置入院である。措置入院とは精神科への強制入院のことだ。マスコミの論調は「措置入院の時に気がついて入院期間を長くしておけば、犯罪を未然に防げたのではないか」だった。そんなことをされたら措置入院をした患者すべてが退院できな