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第4回 『小林秀雄全作品』を売る者の悲劇
思わぬ本に出会う、それがブックオフを歩く楽しみだ。そこで出会った意外な本をいったい誰が売ったのか... 思わぬ本に出会う、それがブックオフを歩く楽しみだ。そこで出会った意外な本をいったい誰が売ったのか、それはどんな経緯で売られたのか、考えると楽しみは尽きない。それもまた、ブックオフを楽しむ戦術かもしれない。そしてその奥には、ブックオフから醸し出される悲劇が見えることだってある。前回までの連載と少しテイストは異なるが、これもまた一つの「戦術」だ。ブックオフをめぐる想像と思考の旅を楽しもう。 『小林秀雄全作品』との邂逅 それはブックオフ上野広小路店でのこと。いつものように店内を物色していると突然それは現れた。 『小林秀雄全作品』 日本を代表する評論家、小林秀雄が生涯で残した莫大なテキストが、全28巻の中にすべて収められている。そのすべてがこの棚にあるのだ。 壮観だ。奥付を見るとすべて同じ版だから、きっと誰かが一度に売ったのだ。しかし一体誰だ、これを売ったのは。試しに一冊取って中を見る。驚くべきこ