おいらの症例は、これまでに少なくとも2回医学系の学会で発表されているようだ。そのどちらも、フォンタン再手術を受けた病院の医師による発表である。研究のデータとして使う際には、事前に同意書の記入を求められる。おいらも研究者の端くれだから、おいらの情報が研究に活用されて未来に役立つのはとても嬉しいので、なんのためらいもなくサインした。 一つは、今から4年半以上前においらが初めてその病院にかかった頃の状況を報告したものだ。子供の頃のAPCフォンタン手術後、20年以上通院せず定期的診察を怠った(ドロップアウトした)結果、不整脈、PLE等のフォンタン術後症候群を発症したことを報告していた。発表の結論では、定期的フォローアップの必要性を説いていた。実際、その病院の主治医の先生からは「あなたは診察に来るのが少し遅すぎた。」と言われてしまい、先生としてももっと早くきていればあるいは定期的診察をしていればと、
フォンタン再手術後から、おいらのサチュレーションの値が少し下がっているのがずっと気になっていた。手術前は96%ほどだったが、手術後は93%ほどしかいかなかった。先日、今診てもらっている医者にそのことを聞いたところ、ようやくそのメカニズムがわかった。 その原因とは、心臓を流れた血液が本来右心房に流れるところを、手術で左心房に流すように変更したためだった。冠動脈を通って心筋に行き渡った血液は、酸素が消費されて静脈血になる。その血は冠静脈を通り、本来は右心房に戻ってくる。右心房には全身からの静脈も流れ込んでくるので、それと一緒に肺に送られて再び酸素が与えられ、動脈に生まれ変わる。しかし、フォンタン循環の人は、静脈の流れが極めて遅いため、右心房にたくさんの血が流れ込むと鬱血してしまう危険がある。うっ血は静脈の血圧を高め、心臓に負担になる上、PLEなどのさらなる合併症の原因になる。だから、冠静脈はこ
フォンタン手術は、先天性心疾患に対する手術の中でも特に革命的であった。1971年にフランスのフォンタン医師が、二心室修復の不可能な先天性心疾患に対する根治手術としてこの手術法を考案した。それまでは、そうした心疾患を持つ子供たちになすすべき手はなく、彼らの運命は絶望的でしかなかっただろう。フォンタン手術を受けられるかどうかは、まさに生きるか死ぬかの選択であった。 そもそも、先天性心疾患といっても、実はいろいろなタイプのものがある。生まれつき心臓や心臓につながる血管に何らかの奇形をもつ病気を、一括りに先天性心疾患とよんでいる。比較的多いのが、2つの心房の間や心室の間に穴があいている、中隔欠損症という病気。これらは穴の大きさによって重症度が違うけど、他の奇形がなければ2心房2心室があるので、穴を塞ぐことができれば正常の心臓の形に修復することができる。 そして、より複雑な奇形があるものが多数のタイ
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く