2020年11月にマーベラスから発売された『天穂(てんすい)のサクナヒメ』(企画・開発:えーでるわいす、以下、『サクナヒメ』)は、稲作シミュレーションとアクションRPGを組み合わせた独特なシステムと、その異常なまでの作り込みで話題を呼んだ。それに加えて、うまくデフォルメされた和風なグラフィックや、主人公サクナのキャッチーなかわいさなどもあいまって遊びやすさとディープさをもった人気作になった。 なかでも、神話や民俗学好きな筆者の視点からすると、「神の強さ」と「人の弱さ」を同時に体験できることが、このゲームの面白さの肝であるように思う。 日本神話やギリシャ神話といった神々の神話では、神は自然現象をつかさどる手の届かない強さをもつと同時に、親近感のわく人間臭い人格を持っている。そうした神話と同じように、サクナもめちゃくちゃ強い神であると同時に、人間臭くもあるという魅力的なキャラクターだ。 しかも