春日武彦さんの『家族の違和感、親子の違和感』という本を読んでいる。ちょっと前に立ち読みで興味を持ったんだけど、改めて読むととても参考になる。パーソナル障害とか離人症とか依存症とか、そういった人たちの振る舞いや精神科医としての対応が、コンパクトにエッセイ風にまとめられている。 この本を読んでいて改めて感じるのは、「心が病んでいる」という状況について、今は誰が悪いということではなくて、「もれなく全員が悪い」ということだ。 例えば、不寛容な社会は間違いなくクソッタレだが、引きこもった末に自分以外の人間がクズだと断じ他人をこき下ろす人間だって間違いなく悪い。子どもや恋人に暴力を振るう人間はもちろん悪いが、そういう過去のトラウマに縛られて、人間関係を構築する時になにかと嫌われよう嫌われようとする人間も悪い。突き詰めれば突き詰めるほど、誰かが悪いとか誰も悪くないとかではなく「全員が悪い」というアウトレ